コラム01」カテゴリーアーカイブ

混迷が続くタイの政治状況
不穏なうわさもチラホラ

バンコク

新しい年が明けて10日が経った。乾期らしく涼しい日が続いている。タイを旅行するには今がベストシーズンだ。しかし観光客の姿は例年以上に少ない。言うまでもなく、反政府デモの影響だ。テレビから流れてくる報道は重苦しい内容ばかり。タイへの出張を見合わせている日系企業も日増しに増えているようだ。果たしてタイの政治はどうなるのだろうか?

反政府デモ隊を率いるステープ元副首相は今月13日にバンコク都を封鎖すると宣言している。これまで以上に幹線道路にある交差点や政府機関の封鎖が行われる模様だ。バンコク日本人学校は13日を臨時休校することに決定。シンガポール航空やキャセイ航空、香港航空は13日からバンコク線の運航を取りやめ、ないしは減便すると発表している。

バンコク国際空港を運営するタイ空港公社は13日以降、フライト時刻の4時間前までに空港に到着するよう利用客への呼びかけをはじめた。色々なところでバンコク封鎖による影響がではじめてきている。

また13日が迫るにつれ14日に軍部が軍事クーデターを実行するのではないかとの憶測も巷でささやかれはじめた。「13日のデモで何者かが発砲し、それを理由に軍がクーデターに乗り出す」「国際社会の反発を避けるため、クーデター後、市民が兵士に花を渡す」「占い師がクーデターの実行日に14日を選んだ」「クーデター後に設置される政権はタクシン派を弾圧し、反タクシン派の野党民主党が選挙で勝てる状況になれば1年で選挙を行う。無理そうであれば任期を延長する」などなど。

果たしてXデーは来るのか?  2月2日の解散総選挙に向け、街中には選挙の看板が並び始めている。仲裁者が不在の現状を嘆くタイ人の声も多い。果たしてクーデターなのか選挙なのか。13日になってみなければ分からない。

「13」という数字がいつになく不吉に感じる。

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。
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インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」

あけましておめでとうございます
さて、タイの「お正月」を数えてみると

ソンクラーン

+ ウィタラディット県クンタパオ村のソンクラーン photo from Wikimedia Commons

 

タイでは1年間に正月が3回やって来る。いや、厳密に言うと5回あるらしい。

まずは日本でもお馴染みの西暦によるお正月。日本では年末から年始にかけて1週間ほど正月休みをとる。しかし、タイでは大晦日と元日の2日間が祭日なだけである。銀行なども1月2日から普通に営業している。日本の正月のようなおめでたい雰囲気はほとんどない。遠出をせずゆっくり家で過ごすというのがタイの年末年始の一般的な過ごし方のようだ。

続いてくる正月は旧暦の正月。日本では旧正月と呼ばれているが、タイでは中国正月と呼ばれる。中華系の人はこの期間しっかりとお休みをとる。祭日ではないが、中華系の会社はことごとく休業になる。この期間に休んでいる会社は中華系がオーナーであると思ってほぼ間違いない。

そして4月にやってくるのはタイで一番大きな正月であるタイ正月。水掛けで有名なソンクラーンだ。4月の13日から15日が祝日になる。この3日間を挟んで1週間から10日休む会社が多い。

バンコクへ出稼ぎにきている地方の人はソンクラーンになると、こぞって故郷へ帰る。だから日本の正月と同様、民族大移動が起きる。ソンクラーンは一年でタイが一番賑やかになる時期だ。朝から酒を飲み、街中で水を掛けあって祝う。これを目当てにタイに来るツーリストも居る。しかし現地に駐在する日本人の多くは部屋に籠るか、日本へ一時帰国する。または近隣諸国へ家族で旅行する人も多い。

理不尽に水を掛けられるソンクラーンが嫌いな日本人はどうも私だけじゃないらしい。

あと残り2つの正月はイスラム正月とヒンズー正月である。

タイには南部をはじめイスラム教徒が実はかなりいる。彼らにとって正月と言えばイスラム暦による正月なのだ。

そして忘れてはならないのが印僑と呼ばれる人たち。華僑ほど人口は多くないがインド系タイ人はヒンズー正月を祝う。実はそれがどんな正月なのかは知らない。一度ご招待に授かれたらと思っている。

何はともあれ色々な正月がタイにはあるものだ。一年に一度しか正月のない日本。

5回はともかく3回も正月がやってくるタイは本当におめでたい国だと思う。

謹賀新年。サワディーピーマイ!

 

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デモに揺れる師走のバンコク
でも、市民生活は日々平穏

バンコク

『ニュースクリップ』より転載

原発問題、TPP、増税、そして都知事の選挙資金問題など。日本の政治は相変わらず迷走している。一方、反政府デモで揺れるタイの政治はこれまた暴走の繰り返しだ。
11月末には反政府デモ隊の一部と政府支持派の間で闘争が起き、はじめての死者、そして50名を超える負傷者がでた。
この時から世間の反政府デモに対する状況が大きく変わった気がする。
政府が深夜の外出を自粛するよう呼びかけた為に賑やかなはずの12月のバンコクの繁華街は閑散となった。また日本人学校が数日、臨時休校した。今月14日に開催予定だった『日タイ交流ラムウォン盆踊り大会』も開催中止になった。
こう書くとかなり悲壮感が漂う。しかし実は、庶民の生活に大きな影響が出ているわけではない。大概の人がちゃんと職場へ赴き普通に仕事をしている。郵便物も通常通り配達され、コンビニも普段通りの24時間営業。物資の物流に大きな乱れも見られない。
バンコクに住む人々は至って普通の暮らしをしている。デモ隊や政府支持者に対して中立な立場をとるタイ人もかなりいる。
なのに、日本からは「大丈夫なのか?」と心配するメールや電話が今でも絶えない。2年前の洪水の時もそうだった。新聞やテレビは局地的にしか報道しないので、あたかもタイ全体が混乱しているように感じるのだろう。
タイ国政府観光庁は、政治的混乱により12月から1月にかけて、タイを訪れる観光客は大幅に減少する見込みを発表している。実際にバンコクの観光スポットであるカオサン通りはホテルの予約率が30%まで下がっているという。12月としては異例の状態だ。
インラック首相は下院の解散を決議し、選挙へと踏み切った。しかし反政府デモを主宰するステープ元副首相からは現政権へ歩み寄る姿勢は一切伺えない。まだまだこの状態がしばらく続くのだろうか?
師走。1年の最後の月、12月。
日本の迷走。タイの暴走。
街を走り回るのは教師だけで十分じゃないか。傍観者の日本人はそう思うのである。

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『ニュースクリップ』より転載

 

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贈り贈られるタイの年末商戦
かつての主役はウイスキーでしたが・・・

バンコク タイのコト・モノ事情

 

11月の後半に入るとタイでもクリスマスの飾りつけがはじまる。クーラーがガンガンにきいたデパートで見る巨大なクリスマスツリー。タイに来た当初はかなり違和感を覚えた。日中の温度が30度前後。多少涼しくなったとはいえ「クリスマス」という気温ではない。

日本人としての季節感と現実のギャップに脳の情報処理が追いつかない感じだった。

そしてクリスマスの飾りつけと同時にはじまるのが年末商戦だ。日本のお歳暮と同じように、お世話になった方へ贈り物をする習慣がタイにもある。ただ違うのは贈り合う期間が年始まで続くこと。そして大概、贈り先へ代表者がお伺いして手渡しすることだろうか。日本のように宅配便がないとはいえ、タイの方が昔ながらなのである。

だから12月になるとこちらから挨拶に伺ったり、また逆にご挨拶の訪問が増えたりと普段以上に忙しくなる。それがタイの12月なのだ。

そしてタイの年末ギフトの定番と言えばギフト・バスケット。篭に入った盛り合わせである。お菓子やジャム、インスタントコーヒーなど食料品の詰め合わせが一番多い。

高級感のある輸入菓子などを入れ込みながら、いかに見栄え良く篭に詰め合わせるか? それが売り場の担当者の腕の見せどころなのだろう。売り場の隅でギフト・バスケット作りに四苦八苦している風景はこの季節ならではである。

そして価格は日本の松竹梅じゃないが、3段階ぐらいに分かれている場合が多い。1000バーツ以下、1500バーツ前後、2000バーツぐらいの価格が一般的だろうか。

数年前まではギフト・バスケットの主役は高級ウイスキーだった。今ではアルコール販売時間の規制が厳しくなって全く見かけなくなってしまった。その代わりに篭に鎮座しているのは「ツバメの巣」など高級健康食品だ。

酒より健康食品。これも時代の流れなのだろうか。生活が豊かになると、そうところにも変化が表れてくるのだろう。

酒好きにとっては年末の楽しみが減ってちょっと寂しいが喜ぶべきことなのかもしれない。

 

タイのモノ・コト事情

+ きれいにラッピングされたギフト・バスケット。食品は根強い人気のようですね。

 

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タイを舞台に勃発した
コンビニ大戦争!

ローソン外観

タイでは企業の製品名が一般名称として浸透し、通常の会話で使われることが多い。「マ・マー」といえば即席麺、「コフィメイト」とはコーヒークリームパウダー、「メックス」はステープラーのことである。

またタイで「セブン」といえばコンビニエンス・ストアのことを意味する。「ラーン・カイコォーン・プゥート・イシップシー・チュモン(24時間営業のお店)」という言い方ももちろんある。でもテレビや新聞以外ではほとんど使われることがない。日本人がコンビニエンス・ストアを「コンビニ」と呼ぶのと同じ感覚だろうか。

タイでコンビニを意味する「セブン」という言葉。これは言うまでもなく『セブン・イレブン』の「セブン」から来ている。その『セブン・イレブン』をタイで最初に展開したのはタイの大手財閥、チャルーン・ポカパン・グループ. (CPグループ)だ。今年は店舗数が6800店舗を超え、タイでコンビニ業界の首位に立っている。

これを追うのが同じくタイの大手財閥サハ・パタナピブン・グループが展開する『108ショップ』である。その『108ショップ』が今年の3月から新たな展開をはじめた。日本のコンビニ大手、『ローソン』との共同会社『サハローソン』を設立。既存店を『ローソン108』へと改装し、順次『ローソン』ブランドでコンビニの展開を図っている。

『セブン』が圧勝だったタイのコンビニ業界。そこに突如現れた青い看板。店舗内で作るおにぎりや日本の和菓子、おでん、そしてUCCのコーヒー。タイの『ローソン』は日本ブランドで『セブン』を追撃する戦略のようだ。

一方『セブン』は自社ブランドの『セブンセレクト』を拡充。これまで以上にブランド力を高める戦略に出てきている。1993年にタイに進出してきた『ファミリーマート』は、『セブン』の陰に隠れて目立たない存在だった。しかし、『ローソン』の進出を機に新たなテコ入れを図る気配も出てきている。

いよいよタイもコンビニ戦国時代に突入なのか? 日本人としては『ローソン』に期待したい。ただ、おにぎりやおでんがタイ人に支持されるかは微妙な気がする。

よもぎもち

+ 『ローソン108』のよもぎ大福は、16バーツ(およそ50円)。タイ人にウケるか?

 

おにぎり2

+ おにぎりは、サケが29バーツ(およそ90円)、豚角煮は40バーツ(およそ120円)。タイでは決して安い値段ではありません。サイズが小さいのでいっそう割高感があるかも。

 

 

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かつては運河が張り巡らされた
「東洋のヴェネチア」バンコク

バンコク 運河

「天使の都」と言われるバンコクは「水の都」でもある。「東洋のヴェネチア」と呼ぶ人もいる。チャオプラヤ川下流のデルタ地帯にある地の利から、バンコク都内にはその昔、運河が縦横に張り巡らされていた。今の時代と違って車がなく、船で街の中を移動していた時代は、きっと優雅だったに違いない。ヴェネチアの風情がきっとあったのだろう。

都市化が進んだ今では、多くの運河が埋め立てられ道路になった。だからか、バンコクの路地は狭くて入り込んでいる。行き止まりになる路地が多い。それが運河の名残だと知る若い人はそう多くはない。

ただ運河がバンコクから全て消えたかというと実は違う。観光地として有名な水上マーケットは運河の中にあり、今でも庶民の生活を支える市場が設けられている。
また都市部であるスクンビットの路地の奥にも運河がまだひっそりと残っている。プラトナーム桟橋からラムカムヘンの郊外までを結ぶセンセープ運河がそれだ。

このセンセープ運河には乗り合いの水上ボートが庶民の足として活躍している。運河を走る水上ボートは車のように渋滞に巻き込まれる心配がない。朝晩、交通渋滞がひどいバンコクでは迅速に移動できる裏ワザ的な移動手段の一つでもある。

特に伊勢丹のあるセントラルワールドからスクンビット55(トンロー)周辺までの移動にはタクシーに乗るより早く、しかも安く移動できる(料金は距離によって8バーツから18バーツまで)。

ただし、運航時間が平日は午後8時まで、土日は午後7時までと夜中は利用できない。大雨や強風などの天候不良の際はすぐに運休になる。運河の中といえども、ボートは安全第一なのである。

またボートの乗り降りの際は多少の運動神経とバランス感覚も必要かもしれない。運河の水は周辺の生活汚水が流れ込んでいて、時に異臭を放っている。決して快適な交通手段ではないことも付け加えておく。

でも水上ボートはバンコクの庶民の足だ。ボートに乗って会社や学校に通う。ボートに乗って買物に出かける。東洋のヴェネチアと呼ばれた面影が運河の隅に今でも潜んでいる。バンコクはやっぱり面白い街だと思う。

バンコク タイ

+ 運河に面した家々では、花の鉢を置いたりデコレーションをつけたり、舟客の目を楽しませる試みも

 

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雨季の終わりを告げる菜食週間
タイは「黄色い季節」を迎える

バンコク 菜食週間

 

日本では秋の気配が感じられる頃だろうか? タイでは暦が9月から10月に変わると幾分暑さが和らぐ。そうなると雨季の終わりがいよいよだとタイの人は言う。
そしてお約束のキン・ジェー、菜食週間がはじまるのだ。
菜食週間と書いたが、実際の期間は1週間ではない。旧暦の9月1日から9日までの9日間行われるタイの仏教行事の一つである。今年は10月5日から13日までが菜食週間だった。この菜食週間になるとタイの街中が明るくなる。なぜなら菜食を意味する「齊」と書かれた黄色の旗があちこちの店先、道端を埋め尽くすからだ。それにいろんな食品に「齊」バージョンがお目見えして、スーパーの中までも黄色で染まってしまうのだ。
菜食週間中は、肉や魚はもちろんのこと卵や牛乳などの動物由来のものも口にしないのが決まりだ。だからタイ料理に欠かせないナム・プラー(魚醤)も魚を原料にしているので料理に使えない。そして厳密に菜食を守る人は野菜であっても刺激の強いニンニクやネギも食べるのも避ける。もちろん日本料理に欠かせないワサビはもってのほかだ。
それ以外にも上下、白い服装で過し、賭博や性交渉もこの期間は慎むのが本来の決まりだとか。守るか、守らないかは本人次第だが。
この期間になると困るのが野菜の価格が高騰することだ。これは需要と供給の関係だから仕方ない。もう一つ困るのが、肉を扱わざるを得ない飲食店の客足が落ちることだ。
老舗のタイレストランは心得たもので、ちゃんと菜食用のサイド・メニューを用意している。しかしフレンチやイタリアン、日本食などのレストランは対応できない店がほとんどである。そんな飲食店の店主にとっては辛抱の9日間なのだ。
だからか? 菜食期間中にこそ焼肉屋さんへという日本人もいる。普段以上にお店の人が歓迎してくれ、サービスも満点だとか。
タイの菜食週間は人それぞれ色々な楽しみ方があるようだ。

 

菜食週間 バンコク

+ なんとカップ麺の「菜食週間」バージョンも登場。商魂たくましい!

 

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三島由紀夫の小説『暁の寺』で聞こえる
あの声はいずこへ?

ワット・アルン バンコク

タイを代表する寺院の一つにワット・アルンがある。10バーツ硬貨の裏側に描かれているお寺だ。日本人には暁の寺と書いた方が分かりやすいかもしれない。
「バンコクは雨季だった。」
この言葉ではじまる三島由紀夫の著書『暁の寺』はこの寺院が舞台で、ご存じの方も多いと思う。
「日は対岸の暁の寺の彼方へ沈んでいた。しかし、巨大な夕焼けは23の高塔を影絵に縁取るほかは、トンブリの密林の平たい景観の上の、広大な空を思うさま鷲掴みにしていた。
密林の緑はこのとき光を綿のように含んで、まことのエメラルドの色になった。舢板がゆきかい、鴉(からす)は騒がしく、川水は汚れた薔薇色にたたずんでいた」
ここまで日本語を細微かつ優麗に使いこなすのは三島ならではだと思う。実際にチャオプラヤ川から眺めるワット・アルンは今も三島が書いた雰囲気のまま佇んでいる。ただ1つだけ違うのは騒がしいカラスがいない事だ。
バンコクに住んで16年になる。しかし未だにカラスの姿を見たことも、鳴き声を聞いたこともない。嘘だろうと思うが事実である。バンコクにはカラスがいない。なぜだろう?
1つ思い浮かぶのが、バンコクのごみ収集のシステムだ。バンコクのごみ収集車は大概深夜から早朝にかけて回ってくる。渋滞を生まない。渋滞に巻き込まれない。この2つが深夜に収集する理由なのは想像するに難しくない。収集する方も暑い昼間より涼しい深夜の方が収集しやすいだろう。バンコク都はごみを出す時間を午後6時から深夜3時までと条例で定めている。
だからかどうかは分からない。でもバンコクには鴉がいないのだ。もしかしたらタイの鴉は日本へ出稼ぎに行っているのかもしれない。東京など日本の大都会もバンコク同様ごみ収集を深夜にしてみたらどうだろう。鴉が減るかどうかは分からない・・・。でも泥棒などの犯罪は少しは減るような気がする。

 

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あんなものまで付いてくる!
タイはおまけ天国

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意外かもしれないが、タイはおまけ天国である。何かにつけておまけが付いてくる。
「おまけを制する者が市場を制する」
タイではそういうことらしい。おまけと聞いてグリコしか思い浮かばない日本人にはピンとこないかもしれない。しかし、おまけはタイの市場を知る大きなキーワードなのだ。
タイの人々にとって、どんなおまけが付いてくるかは物を買う時の大きな判断基準の一つになっている。
一番オーソドックスなのは、粗品進呈型のおまけである。コーラの大瓶を3本買うと特製のグラスが1個付いてくるといったパターン。これはひと昔まえの日本でもよく見かけた販促方法である。このほかにもインスタントラーメンに特製の丼、お菓子に定規、洗剤にタオルなどなどといた様々なおまけがある。とにかく多種多様、大した金額のものではないがなぜか消費者の心をくすぐるおまけが多いのはさすがだと思う。
個人的にビックリしたおまけはコンドミニアムを買うとトヨタの乗用車が1台付いてくるというおまけ。なかなかのスケールでかいおまけもタイにはある。
もうひとつタイで主流のおまけがある。1個買うともう1個進呈というおまけだ。食料品や日用雑貨に多い。どうせなら半額で売れば良いのにと思う。しかし在庫処分や賞味期限が迫った場合は効果的な販促方法かもしれない。なにせ数がさばける。これもタイ人が大好きなおまけのパターンだ。
このほかにもバイキングスタイルのレストランに4人で来ると1人分が無料というおまけも結構人気があった。新車で自動車を買う1年間の任意保険やガソリン代が無料というおまけも今では結構主流かもしれない。
とにかくタイは、おまけありきなのだ。今後どんなおまけが登場するのかちょっと楽しみでもある。
一方あんまり嬉しくないおまけもあるので要注意。タイ人の嫁さんを貰ったら連れ子がいて、いきなり2児のパパになったというおまけ。ついでに両親の賭博の借金まで背負わされたとか。これは笑い話にもならない、タイらしいおまけの話である。タイで結婚する場合は事前のおまけ調査をお忘れなく。

 

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タイではまだまだ現役
公衆電話をめぐる事情

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公衆電話ボックス。今、日本では滅多に見かけることがなくなった。公衆電話自体も駅や公共施設以外ではなかなかお目に掛ることはない。

子供の頃、外出する時は、いつでも家に電話を掛けられるよう10円玉を数枚持たされた。それが何時しかテレホンカードになり、今や電話機自体を持ち歩く時代である。一家に一台が一人一台になった。そして、街から公衆電話ボックスが消えたのである。

ここタイも2000年以降、携帯電話が急速に普及した。家に固定電話がなく、携帯電話だけの人も珍しくない。それほどまでタイで携帯電話が普及した一番の要因はプリペイド方式の導入ではないだろうか。

面倒な手続きがいらない。基本料金が掛らない。また電話会社にしてみれば電話代の取り逃しのリスクはゼロ。請求書を郵送する手間もいらない。双方にとって良いことずくめの方式なのだ。

これはあくまでも個人的な憶測である。タイでは携帯電話の利用者の7割から8割がプリペイド方式なのではないだろうか。

プリペイドの支払いは街の中のコンビニやスーパーなどで簡単にできる。しかも20Bからと少額なのはタイならでは。

しかし、これほど携帯電話が普及しても公衆電話や公衆電話ボックスが街から消える気配はない。日本とは違うのである。何故か?

プリペイド方式では残額がなくなっても着信は可能なのだ。月末近くになるとお金が無くなり携帯電話が着信専用になる。そんなタイ人は少なくない。そんな人たちは自分から電話を掛ける時、公衆電話を使う。タイの公衆電話は1Bから掛けることができる。上手く使えば携帯電話よりも通話料が安くなる。  そのことを彼らはちゃんと知っているのだ。

携帯電話と公衆電話の共存。携帯電話が普及することで、公衆電話の新たな需要が生まれる。なんともタイらしい共存だと思う。

 

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