タイではまだまだ現役
公衆電話をめぐる事情

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公衆電話ボックス。今、日本では滅多に見かけることがなくなった。公衆電話自体も駅や公共施設以外ではなかなかお目に掛ることはない。

子供の頃、外出する時は、いつでも家に電話を掛けられるよう10円玉を数枚持たされた。それが何時しかテレホンカードになり、今や電話機自体を持ち歩く時代である。一家に一台が一人一台になった。そして、街から公衆電話ボックスが消えたのである。

ここタイも2000年以降、携帯電話が急速に普及した。家に固定電話がなく、携帯電話だけの人も珍しくない。それほどまでタイで携帯電話が普及した一番の要因はプリペイド方式の導入ではないだろうか。

面倒な手続きがいらない。基本料金が掛らない。また電話会社にしてみれば電話代の取り逃しのリスクはゼロ。請求書を郵送する手間もいらない。双方にとって良いことずくめの方式なのだ。

これはあくまでも個人的な憶測である。タイでは携帯電話の利用者の7割から8割がプリペイド方式なのではないだろうか。

プリペイドの支払いは街の中のコンビニやスーパーなどで簡単にできる。しかも20Bからと少額なのはタイならでは。

しかし、これほど携帯電話が普及しても公衆電話や公衆電話ボックスが街から消える気配はない。日本とは違うのである。何故か?

プリペイド方式では残額がなくなっても着信は可能なのだ。月末近くになるとお金が無くなり携帯電話が着信専用になる。そんなタイ人は少なくない。そんな人たちは自分から電話を掛ける時、公衆電話を使う。タイの公衆電話は1Bから掛けることができる。上手く使えば携帯電話よりも通話料が安くなる。  そのことを彼らはちゃんと知っているのだ。

携帯電話と公衆電話の共存。携帯電話が普及することで、公衆電話の新たな需要が生まれる。なんともタイらしい共存だと思う。

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。
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