月別アーカイブ: 2017年1月

街が真っ赤に彩られる
春節がやって来た

春節の飾り

やっと正月気分が抜けて、普段通りの調子を取り戻してきたかな。そう思っていた途端に、今年は春節がやって来た。なんとなく、調子を狂わされる。春節は旧暦のお正月なので、毎年どの日になるかは決まっていない。今年は早めの1月28日が元日のようだ。中華系の企業では1月27日から2月2日まで休みになるところが多い。但し、国の祝祭日ではないので公共機関、一般企業などは普段通りである。東南アジアでは、韓国、北朝鮮、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシア、モンゴル、そしてブルネイも春節は国の祝祭日なのだとか。タイと日本だけがちょっと例外のようだ。いや、タイにはソンクランというタイの正月があるから、春節を祝祭日にすると休みだらけになってしまう。だから春節は敢えて祭日ではないのかもしれない。それでも、華僑の人たちは、しっかりと春節の間は休む。そして、とことん春節を祝う。春節が近くなり、軒先に赤色や金色の正月飾りが飾られているのを見て、はじめてここの家が中華系だったのかと気づかされることがある。タイの中華系の人たちは、かなり同化が進んでいて、中国語を全く話せない人も多い。そして、彼らのほとんどは中華系というよりもタイ人としての意識が強いのだ。だから、春節になってはじめて彼らの先祖が中華系だと知ることになるのである。中には中国語名を持ち、華人としての矜持を持っているタイ人もいなくはないが。あのタクシン首相がそうだった。

さて、この原稿を書いている1月27日は春節の前日で大晦日。街中では大掃除に精を出している中華系の人たちをたくさん見かけた。大晦日に大掃除をすると厄災が祓われると信じられているからだ。逆に元日は掃除や洗濯などをせず、のんびりと過ごすのが本来の春節だと聞く。新年にお皿などを割ったりすると縁起が良くないと料理もしない。昔は日本のおせちように前もって用意した料理を正月は食べていたらしい。最近はスーパーなどで買ってきたお正月用のお惣菜を食べたり、外食に出かけたりする家庭が多いようだ。

獅子舞が街を練り歩いたり、アンパオ(紅包)と呼ばれるお年玉が配られたり。タイの春節を見ていると、なんとなく日本の正月に近い気がする。しかし、真っ赤な飾りだけは、やっぱり中国ならではだと思う。

バンコクのデパートでは春節の期間中、中国本土から訪れる観光客向けのブース作りが急ピッチで進められていた。日本だけでなく、中国も今や正月には海外旅行というのが主流になってきているようだ。

タイのお年玉袋

赤がまぶしい、春節に配られるお年玉袋、アンパオ(紅包)

春節用品の特別ブース

ショッピングセンターには、春節用品の特別ブースが設置

 

 

中村蒸一 Profile

ph7

タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」

食べたいものを食べたいだけ
タイ人も大好き「食べ放題」

タイスキ

毎年恒例の日本慰安旅行。今年もやっぱり北海道が一番人気だ。私の会社では勤続5年目のタイ人従業員を日本旅行へ招待している。いわゆる福利厚生の一環である。日本で本物の日本食を存分に味わってもらうこと。各地で日本のおもてなしに触れてもらうこと。市場やスーパーで並んでいる食材を見てもらうこと。慰安旅行とはいえ、実は遊びだけではない。ちょっとしたミッションも課している。時にはお取引先の酒蔵を訪ね、蔵見学をすることもある。大人の修学旅行気取りの旅を毎回楽しんでいるのだ。しかし、行き先と行く時期はできる限り、参加者の希望に合わせるようにしている。雪を見たことがないタイ人にとっては、やはり冬の北海道は魅力的なようだ。しかし、実は花より団子だったりもする。雪よりも冬の北海道の味覚が楽しみなのだ。実際、北海道旅行から戻った従業員が一番印象に残ったと口にするのがカニ食べ放題などのバイキング・ディナーだ。自分が食べたいものを、食べたいだけ食べられる。

しかも、旅先の日本でのことだ。見る喜びよりも、食べる喜び。そこに日本での旅行の思い出を感じるらしい。

カニ食べ放題に大満足

北海道ならではのカニ食べ放題に大満足!

 

さて、日本では食べ放題のことをバイキングと呼ぶことが多い。しかし、タイではビッフェと呼ぶのが普通だ。そして、タイ人はこのビッフェが大好きなのだ。タイにおける日本食ブームの火付け役になった『オイシイ・レストラン』。その勝因もビッフェ形式にある。それまで敷居の高かった日本料理が定額で、食べたいだけ食べられる、タイではじめてのビッフェ形式の日本食レストランが『オイシイ・レストラン』だったのだ。

今では日本食だけでなく、いろいろなビッフェ形式のレストランがタイには軒を連ねている。タイ人が大好きなタイスキのビッフェといえば『ホット・ポット』というチェーン店だ。タイスキだけでなく、天ぷらや寿司、刺身、点心なども味わえるのが、この店のポイント。タイスキに日本料理を取り入れているのが人気の秘密のようだ。価格は場所により多少差異はあるが、1人399バーツと手頃である。

他にも焼肉ビッフェの店もスクンビット界隈では繁盛している。こちらはタイ人だけでなく日本人にも人気だ。

ただビッフェ・レストランは食べ放題だが時間制限がある。90分という店が一般的なようだ。そして食べ残した場合ペナルティもある。当たり前と言えば当たり前だが。

タイのビッフェ・レストラン。実は日本人にとっても穴場かもしれない。頼んだものとは違ったものが出てくる。そんな不安もビッフェ・レストランではない。是非、タイに来た際には、タイスキのビッフェを楽しんでみたらどうだろう。

ホット・ポットレストラン

バラエティ豊かな日本料理も楽しめる『ホット・ポット・レストラン』。

焼肉ブッフェレストラン

焼肉ブッフェ・レストラン。「Japanese BBQ」の文字が見えます。

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」

旧年のニュースを振り返り
新年へ思いはせる

いたる所に設けられた追悼の祭壇

待たぬ月日は経ち易い。2016年もあっという間に過ぎ去ろうとしている。12月28日ぐらいからバンコク都内は人が少なくなって、閑散としてきた。それでも30日まで仕事をしている人も多い。銀行や官庁は12月31日から1月2日まで3日間が休み。3日からは通常通りになるので、日本の正月とはちょっと違った感じだ。

そしてタイの大晦日といえば、カウントダウンと新年を祝う打ち上げ花火である。しかし、今年は服喪期間中とあってカウントダウンのイベントは中止になり、王宮前広場からの花火も上がらないという。その代り、ろうそくの灯で新年を祝う「キャンドルナイト・オブ・サイアム」が王宮前広場では執り行われるようだ。ろうそくの灯で迎える新年もなかなか雰囲気があって素敵だと思う。

さて、2016年のタイはどうだったのか?タイの現地新聞が発表する今年の十大ニュースを軸に振り返ってみたいと思う。

1位はプミポン国王の崩御。タイの国民が悲しみに暮れた今年一番のニュースだ。そして2位が皇太子さまの国王即位。12月1日にワチラロンコン皇太子がチャックリー王朝の10代目国王に即位されタイに新しい国王が誕生した。3位は新憲法草案が国民投票で承認されたこと。これは現軍事政権を承認するタイ国民の意思表示となった。4位は俳優ポーさんがデング熱で死去したこと。タイでは一般的な病気であるデング熱。そのデング熱が原因で死に至ることもあるという事実に多くのタイ国民が衝撃を受けたようだ。5位はタイ産コメ価格の10年ぶりの低価格。タイ政府が大量の在庫米を抱えていることが原因で、農民の中にはバンコクで米を直販する人も現れた。6位はスクムパン、バンコク知事の罷免。東京都知事だけでなくバンコクの知事も大きな問題を抱えているようだ。7位はリオ五輪でのタイ選手の躍進。前回のオリンピックに比べ金メダルを2つ増やし、メダル獲得数も参加国中57位だった前回から35位と大きく躍進した。8位はポケモンゴーの大流行。日本だけでなくタイでも社会現象化し話題となった。9位は都市鉄道パープルラインの開通。日本企業が受注し製造した都市鉄道がバンコクに登場し歓迎された。これは現地に住む日本人としてもうれしいニュースだった。最後の10位はネット規制法の承認。国民の半数以上が監視対象となり、表現の自由を侵害する法案として賛否両論が巻き起こった。施行は来年の4月だ。

こうして振り返ってみると、イギリスのEU離脱やアメリカ大統領選挙が入っていないのは意外だった。タイ人にとっては、外国のことより、まずは我が国タイのことが一番気になるのだろう。それが普通かもしれない。

さて、来年はどんな一年がタイで待ち受けているのだろうか? 読者の皆様に取って来る2017年が素晴らしい1年になることを祈念致します。

タイの年末ギフト

タイでは恒例の年末ギフト。いろいろなものを詰め合わせて贈ります。

街頭の電飾看板も追悼のメッセージが

街頭の電飾看板でもプミポン国王追悼のメッセージが

ちょっと控えめな今年のツリー

クリスマスツリーにも国王逝去の影響が。例年に比べると装飾が控え目

 

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」