旧年のニュースを振り返り
新年へ思いはせる

いたる所に設けられた追悼の祭壇

待たぬ月日は経ち易い。2016年もあっという間に過ぎ去ろうとしている。12月28日ぐらいからバンコク都内は人が少なくなって、閑散としてきた。それでも30日まで仕事をしている人も多い。銀行や官庁は12月31日から1月2日まで3日間が休み。3日からは通常通りになるので、日本の正月とはちょっと違った感じだ。

そしてタイの大晦日といえば、カウントダウンと新年を祝う打ち上げ花火である。しかし、今年は服喪期間中とあってカウントダウンのイベントは中止になり、王宮前広場からの花火も上がらないという。その代り、ろうそくの灯で新年を祝う「キャンドルナイト・オブ・サイアム」が王宮前広場では執り行われるようだ。ろうそくの灯で迎える新年もなかなか雰囲気があって素敵だと思う。

さて、2016年のタイはどうだったのか?タイの現地新聞が発表する今年の十大ニュースを軸に振り返ってみたいと思う。

1位はプミポン国王の崩御。タイの国民が悲しみに暮れた今年一番のニュースだ。そして2位が皇太子さまの国王即位。12月1日にワチラロンコン皇太子がチャックリー王朝の10代目国王に即位されタイに新しい国王が誕生した。3位は新憲法草案が国民投票で承認されたこと。これは現軍事政権を承認するタイ国民の意思表示となった。4位は俳優ポーさんがデング熱で死去したこと。タイでは一般的な病気であるデング熱。そのデング熱が原因で死に至ることもあるという事実に多くのタイ国民が衝撃を受けたようだ。5位はタイ産コメ価格の10年ぶりの低価格。タイ政府が大量の在庫米を抱えていることが原因で、農民の中にはバンコクで米を直販する人も現れた。6位はスクムパン、バンコク知事の罷免。東京都知事だけでなくバンコクの知事も大きな問題を抱えているようだ。7位はリオ五輪でのタイ選手の躍進。前回のオリンピックに比べ金メダルを2つ増やし、メダル獲得数も参加国中57位だった前回から35位と大きく躍進した。8位はポケモンゴーの大流行。日本だけでなくタイでも社会現象化し話題となった。9位は都市鉄道パープルラインの開通。日本企業が受注し製造した都市鉄道がバンコクに登場し歓迎された。これは現地に住む日本人としてもうれしいニュースだった。最後の10位はネット規制法の承認。国民の半数以上が監視対象となり、表現の自由を侵害する法案として賛否両論が巻き起こった。施行は来年の4月だ。

こうして振り返ってみると、イギリスのEU離脱やアメリカ大統領選挙が入っていないのは意外だった。タイ人にとっては、外国のことより、まずは我が国タイのことが一番気になるのだろう。それが普通かもしれない。

さて、来年はどんな一年がタイで待ち受けているのだろうか? 読者の皆様に取って来る2017年が素晴らしい1年になることを祈念致します。

タイの年末ギフト

タイでは恒例の年末ギフト。いろいろなものを詰め合わせて贈ります。

街頭の電飾看板も追悼のメッセージが

街頭の電飾看板でもプミポン国王追悼のメッセージが

ちょっと控えめな今年のツリー

クリスマスツリーにも国王逝去の影響が。例年に比べると装飾が控え目

 

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」