月別アーカイブ: 2015年9月

知ってました?タイの
「VAT」と「マイナンバー制」

タイの領収書

タイの領収書には商品ごとに課税(T)、または免税(N)が明記されています

日本へ戻るとやっぱりホッとする。時間通りに来るバス。整備された歩道。何を買おうか目移りするコンビニの総菜コーナー。手入れの行きとどいた公園。そしてホテルでも家庭でも蛇口の水をそのまま飲む事ができる。タイではありえない事が、日本では当たり前だったりする。日本を訪れているタイ人の旅行者たちも、きっと彼らなりの「凄い」を日本で見つけているのだろう。

しかし、そんな日本だがタイに負けている面も実はある気がする。日本には消費税があるが、タイには消費税はない。「えっ!」と思われるかもしれない。しかし、これは事実である。飲食店などで加算される7%の税金のことを消費税だと勘違いして、タイにも消費税があると思っている日本人は多い。しかし、あの7%の税金は消費税ではなく付加価値税なのである。英語でValue Added Tax (VAT)と呼ばれるものだ。

タイの付加価値税は文字通り付加価値のあるものに対して基本掛けられる税金である。従って、野菜や精肉、果物、お米など加工されていないものには税金は掛らない。

またタイの場合、新聞や書籍など学術的出版物なども課税の対象外となっている。

付加価値税は消費税と違って国民の生活に欠かせない食料の部分が非課税になるので庶民に優しい税制だと思う。

日本では消費税の引き上げによる救済処置としてマイナンバーを使った税金還付が議論されている。しかし、これは誰が考えてもナンセンスな処置で、現場が混乱するのは目に見ている。しかも還付金額には上限があるのだという。日本もタイの付加価値税の様に食料品など免税品目を設ける方が良いのではなか? タイの税制の方が日本より遥かに優れている気がしてならない。

あとマイナンバーだが、タイではもう何十年も前から普通に使われている。タイ人は16歳になるとバット・パシャション(国民証明証)の交付を受ける。これには国民番号が記載されており、この番号を一生使う事になるのだ。つまりマイナンバーである。この番号は銀行で口座を開設したり、会社に就職したり、結婚したりとあらゆる場で必要になってくる。たとえ海外に居てもパスポートにはID番号が併記され、マイナンバーから離れることはできない。

何かと規則が緩そうなタイだが、実は日本より進んでいる点も結構あるのだ。

 

パスポート

パスポートには、生年月日の横に必ずマイナンバーが記載されています

 

E-TAX

タイではE-TAXが普及。毎月の付加価値税の納付はインターネットから申請し銀行から納税金額を振り込めば完了します

 

中村蒸一 Profile

ph7

タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」

高級店から庶民派まで
バンコクの「ラーメン」大戦争

山小屋ラーメン185B

福岡県香春町に本店がある筑豊ラーメン『山小屋』のラーメンは185バーツ

 

日本人の誰もが愛して止まない。そんな日本の国民食といえばラーメンとカレーではないだろうか。

「ライスカレー人間というのは、現状維持型の保守派が多くて、ラーメン人間というのは欲求不満型の革新派が多い。それはライスカレーが家庭の味であるのに比べてラーメンが街の味だからかもしれない」

寺山修二は著書『書を捨てよ、町へ出よう』(1967年)でこのような一節を残している。カレーライスではなく、ライスカレーという呼び方に時代を感じる。しかし、それぐらい前からカレーとラーメンが日本の国民食だったことが証明されているようで私はこの一節を今でも鮮明に覚えている。

さて、そんな日本人の国民食「ラーメン」がここバンコクで凄いことになっている。なんと120店舗以上のラーメン店がバンコク都内にはあるという。北は北海道、南は熊本まで、日本の各地のラーメンをバンコクで食べる事ができるのだ。ただ面白い事に、醤油味や味噌味で知られる地方のラーメン店にも、必ずと言っていいほど豚骨味のラーメンメニューが用意されている。それはタイ人が醤油や塩といったあっさり系の味よりも、こってりとした味を好むからだ。そう、バンコクのラーメンブームを支えているのは豚骨味なのだ。

福岡県筑豊の『山小屋』は都内だけでなくバンコク国際空港の国内線ゲートにも店舗があり人気だ。

昨年は福岡の『博多一風堂』が高級デパートである<セントラル・エンバシー>に1号店をオープンさせ、半年後には<エンポリアム>にも支店をだした。値段も1杯220バーツからと決して安くはない。しかし今でも週末には両店には行列ができる。ホテルのラウンジのような高級な店内は正直、一人で入るのがはばかられる。今やラーメンは高級料理でもあるのだ。日本の『一風堂』の雰囲気と価格を知っている身としては本当に複雑な心境だ。

そんな高級店があるかと思えば、デパートの地下食堂にブースを構えるラーメン店もある。店の名前もラーメンの名前も『熊本ラーメン』。果たして、どこがどう熊本なのか悩むが味はやっぱり、こってりの豚骨味だった。

果たして、まだまだバンコクのラーメンブームは続くのだろうか? 寺山修二的に考察するとバンコクの人たちは欲求不満型で革新的な人が多いと言う事になるのだろう。確かにと思う。

 

九州じゃんがらラーメン200B

『九州じゃんがらラーメン』は東京の会社。ラーメンは200バーツ

熊本ラーメン95B

謎(?)の『熊本ラーメン』。サヤエンドウが浮いています。このラーメンは95バーツ

 

中村蒸一 Profile

ph7

タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」