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時代とともに成熟する
タイのビール業界

空港内のバービア

日本への出張ではタイ国際航空に乗ることが多い。その移動中の楽しみといえば、機内食とその前に出されるビールだ。タイ国際航空のキャビンアテンダントはビールをリクエストすると、コップに氷を入れてくれる場合が多い。昔はよく「氷を入れますか?」と聞かれることが多かった。しかし、最近では何も聞かれることなく氷入りのコップでビールが出てくる。完全にタイ人扱いなのだ。素直に喜んでいいのか、ちょっと複雑な気分である。
ただビールに氷を入れて飲むのは好きなほうだ。日本ではありえないだろうが、タイではビールに氷を入れて飲むのが、実は一般的だったりする。ちょっと昔までは冷蔵庫が普及していなく、常温のビールを氷の入ったグラスで飲むのがタイでは普通だった。その名残で今でもタイのビールは濃い目なのだ。
さて、そんなタイのビール市場だが、最近は3つの大きな流れが出てきている。1つ目は低価格ビールの人気沸騰だ。日本の発泡酒と同じような価格を抑えたビールで、とにかく安く飲んで酔いたいという人に支持されている。『アチャ』や『チアーズ』といった銘柄で普通のビールのより3割安めの価格設定になっている。労働者クラス向けのビールという印象がかなり強いビールだ。
2つ目は日本と同じく低カロリービールの登場である。日本ほど色々な種類はないが、カロリー控えめのビールは健康志の高まりもあって存在感が増してきている。実は私も家で飲むときはライトビール派である。しっかりコクもあって、アルコール度数も5度と気持ちよく酔える『サンミゲル・ビール』が一番お薦めだ。
さて、最後の流れは日本ビールの人気が高まっていることだ。10年以上前にアサヒのスーパードライがタイで現地生産されたが、人気はいまいちだった。しかし、日本食の人気が高まるにつれ、「日本食には日本のビール」という流れができたのだろう。今では日本食レストラン以外でもアサヒビールを飲むタイ人を見かけることもある。ハイネケンと同じようなプレミアムビールとしての地位をタイでもアサヒビールは築いている。そんな、アサヒを追い越せとキリンも3年ほど前からタイで現地生産を開始。今ではベトナムからの輸入品であるサッポロとキリン、そして老舗のアサヒと3種類の日本ビールをタイでは楽しむことができる。
日本の本家のビールとはちょっと違った味だが、タイでしか味わえない日系のビール。タイに来たらぜひお試しあれ。

ライトビアも人気

蒸一さんお気に入りの『サンミゲル』のライト(左)と、日本でもおなじみ『シンハー』ブランドのライト

日本のビール

3ブランドの日本ビールがそろい踏み。キリンは『ラガー』ではなく『一番搾り』!

 

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」