街が真っ赤に彩られる
春節がやって来た

春節の飾り

やっと正月気分が抜けて、普段通りの調子を取り戻してきたかな。そう思っていた途端に、今年は春節がやって来た。なんとなく、調子を狂わされる。春節は旧暦のお正月なので、毎年どの日になるかは決まっていない。今年は早めの1月28日が元日のようだ。中華系の企業では1月27日から2月2日まで休みになるところが多い。但し、国の祝祭日ではないので公共機関、一般企業などは普段通りである。東南アジアでは、韓国、北朝鮮、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシア、モンゴル、そしてブルネイも春節は国の祝祭日なのだとか。タイと日本だけがちょっと例外のようだ。いや、タイにはソンクランというタイの正月があるから、春節を祝祭日にすると休みだらけになってしまう。だから春節は敢えて祭日ではないのかもしれない。それでも、華僑の人たちは、しっかりと春節の間は休む。そして、とことん春節を祝う。春節が近くなり、軒先に赤色や金色の正月飾りが飾られているのを見て、はじめてここの家が中華系だったのかと気づかされることがある。タイの中華系の人たちは、かなり同化が進んでいて、中国語を全く話せない人も多い。そして、彼らのほとんどは中華系というよりもタイ人としての意識が強いのだ。だから、春節になってはじめて彼らの先祖が中華系だと知ることになるのである。中には中国語名を持ち、華人としての矜持を持っているタイ人もいなくはないが。あのタクシン首相がそうだった。

さて、この原稿を書いている1月27日は春節の前日で大晦日。街中では大掃除に精を出している中華系の人たちをたくさん見かけた。大晦日に大掃除をすると厄災が祓われると信じられているからだ。逆に元日は掃除や洗濯などをせず、のんびりと過ごすのが本来の春節だと聞く。新年にお皿などを割ったりすると縁起が良くないと料理もしない。昔は日本のおせちように前もって用意した料理を正月は食べていたらしい。最近はスーパーなどで買ってきたお正月用のお惣菜を食べたり、外食に出かけたりする家庭が多いようだ。

獅子舞が街を練り歩いたり、アンパオ(紅包)と呼ばれるお年玉が配られたり。タイの春節を見ていると、なんとなく日本の正月に近い気がする。しかし、真っ赤な飾りだけは、やっぱり中国ならではだと思う。

バンコクのデパートでは春節の期間中、中国本土から訪れる観光客向けのブース作りが急ピッチで進められていた。日本だけでなく、中国も今や正月には海外旅行というのが主流になってきているようだ。

タイのお年玉袋

赤がまぶしい、春節に配られるお年玉袋、アンパオ(紅包)

春節用品の特別ブース

ショッピングセンターには、春節用品の特別ブースが設置

 

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」