デモに揺れる師走のバンコク
でも、市民生活は日々平穏

バンコク

『ニュースクリップ』より転載

原発問題、TPP、増税、そして都知事の選挙資金問題など。日本の政治は相変わらず迷走している。一方、反政府デモで揺れるタイの政治はこれまた暴走の繰り返しだ。
11月末には反政府デモ隊の一部と政府支持派の間で闘争が起き、はじめての死者、そして50名を超える負傷者がでた。
この時から世間の反政府デモに対する状況が大きく変わった気がする。
政府が深夜の外出を自粛するよう呼びかけた為に賑やかなはずの12月のバンコクの繁華街は閑散となった。また日本人学校が数日、臨時休校した。今月14日に開催予定だった『日タイ交流ラムウォン盆踊り大会』も開催中止になった。
こう書くとかなり悲壮感が漂う。しかし実は、庶民の生活に大きな影響が出ているわけではない。大概の人がちゃんと職場へ赴き普通に仕事をしている。郵便物も通常通り配達され、コンビニも普段通りの24時間営業。物資の物流に大きな乱れも見られない。
バンコクに住む人々は至って普通の暮らしをしている。デモ隊や政府支持者に対して中立な立場をとるタイ人もかなりいる。
なのに、日本からは「大丈夫なのか?」と心配するメールや電話が今でも絶えない。2年前の洪水の時もそうだった。新聞やテレビは局地的にしか報道しないので、あたかもタイ全体が混乱しているように感じるのだろう。
タイ国政府観光庁は、政治的混乱により12月から1月にかけて、タイを訪れる観光客は大幅に減少する見込みを発表している。実際にバンコクの観光スポットであるカオサン通りはホテルの予約率が30%まで下がっているという。12月としては異例の状態だ。
インラック首相は下院の解散を決議し、選挙へと踏み切った。しかし反政府デモを主宰するステープ元副首相からは現政権へ歩み寄る姿勢は一切伺えない。まだまだこの状態がしばらく続くのだろうか?
師走。1年の最後の月、12月。
日本の迷走。タイの暴走。
街を走り回るのは教師だけで十分じゃないか。傍観者の日本人はそう思うのである。

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『ニュースクリップ』より転載

 

中村蒸一 Profile

ph7

タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。
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