バンコクのど真ん中で
椀子そばバトル開催!

やっと終わった・・・・・・。その安堵感は、今じわり、じわりと、何とかやり遂げた達成感に変わろうとしている。2月10日から12日までバンコク中心部、セントラルワールドで開催された『ジャパンエキスポタイランド2017』。このイベントに裏方として3日間参加してきたのだ。当初、イベント参加への話をいただいた時には断ろうと思っていた。毎日が通常の業務をこなすだけで精一杯だし、人手の余裕もない。しかし、「アジア最大級の日本文化の祭典を、どうか支えて欲しい」というひと言を聞いて断ることはできなかった。日本に興味を持ち、日本が大好きなタイの人たちが心待ちにしている年1回のビッグ・イベントである。そのイベントを少しでも盛り上げることができたら・・・・・・。

引き受けた業務はイベント敷地内でブースを開設する岩手県の支援だった。なかでも一番の任務は11日に特設ステージで行われる椀子そば大会の裏方である。大会で使う椀子そばはもちろん、機材やスタッフまで用意しなくてはならない。いくら一杯ごとのそばの量は少ないとはいえ、1200杯の椀子そばを用意するのは本当に骨が折れた。大会開始までの時間を逆算してそばを茹でる。そしてスタッフ総出で椀子そばへ仕立てた。果たして椀子そば競争みたいな、日本でもマイナーなイベントがタイ人に受けるのか? 正直、そんな不安がないわけでもなかった。しかし、いざステージでイベントがはじまると、それは全く杞憂に終わる。ステージに上がったタイ人の挑戦者たちは真剣そのもの。ステージはもちろん、観客席も大いに盛り上がり、大会が終わっても参加したいという人が次々と押しかけ、実行員会は嬉しい悲鳴をあげていたのだ。これには本当に驚いた。きっとタイの人たちは参加、実体験型の日本のアクティビティーに飢えていたのだろう。

今年で三回目の開催となったジャパンエキスポには3日間で約60万人の人が訪れたようだ。特設ステージにはAKB48やピコ太郎さん、ダンプ松本さんなど数多くの有名人が日本から駆け付け会場を盛り上げていた。

ステージ以外では、飲食ブースや物販ブース、また観光ブースと色々なブースが設けられ、時間帯によっては歩くのも困難なぐらいの混雑だった。そんな会場内でタイ人から注目を浴びていたのが日本の着ぐるみ。いわゆる「ゆるキャラ」である。実は岩手県のゆるキャラ『とうふっち』の中にはうちの会社のスタッフが入っていた。もし人手が足りなければ自分が入ろうと覚悟していたのだ。しかし、幸か不幸か入ることなくイベントは終了。あぁ、一度入っておけばよかった。今となって変な後悔をしている自分が今ここにいる。

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」

街が真っ赤に彩られる
春節がやって来た

春節の飾り

やっと正月気分が抜けて、普段通りの調子を取り戻してきたかな。そう思っていた途端に、今年は春節がやって来た。なんとなく、調子を狂わされる。春節は旧暦のお正月なので、毎年どの日になるかは決まっていない。今年は早めの1月28日が元日のようだ。中華系の企業では1月27日から2月2日まで休みになるところが多い。但し、国の祝祭日ではないので公共機関、一般企業などは普段通りである。東南アジアでは、韓国、北朝鮮、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシア、モンゴル、そしてブルネイも春節は国の祝祭日なのだとか。タイと日本だけがちょっと例外のようだ。いや、タイにはソンクランというタイの正月があるから、春節を祝祭日にすると休みだらけになってしまう。だから春節は敢えて祭日ではないのかもしれない。それでも、華僑の人たちは、しっかりと春節の間は休む。そして、とことん春節を祝う。春節が近くなり、軒先に赤色や金色の正月飾りが飾られているのを見て、はじめてここの家が中華系だったのかと気づかされることがある。タイの中華系の人たちは、かなり同化が進んでいて、中国語を全く話せない人も多い。そして、彼らのほとんどは中華系というよりもタイ人としての意識が強いのだ。だから、春節になってはじめて彼らの先祖が中華系だと知ることになるのである。中には中国語名を持ち、華人としての矜持を持っているタイ人もいなくはないが。あのタクシン首相がそうだった。

さて、この原稿を書いている1月27日は春節の前日で大晦日。街中では大掃除に精を出している中華系の人たちをたくさん見かけた。大晦日に大掃除をすると厄災が祓われると信じられているからだ。逆に元日は掃除や洗濯などをせず、のんびりと過ごすのが本来の春節だと聞く。新年にお皿などを割ったりすると縁起が良くないと料理もしない。昔は日本のおせちように前もって用意した料理を正月は食べていたらしい。最近はスーパーなどで買ってきたお正月用のお惣菜を食べたり、外食に出かけたりする家庭が多いようだ。

獅子舞が街を練り歩いたり、アンパオ(紅包)と呼ばれるお年玉が配られたり。タイの春節を見ていると、なんとなく日本の正月に近い気がする。しかし、真っ赤な飾りだけは、やっぱり中国ならではだと思う。

バンコクのデパートでは春節の期間中、中国本土から訪れる観光客向けのブース作りが急ピッチで進められていた。日本だけでなく、中国も今や正月には海外旅行というのが主流になってきているようだ。

タイのお年玉袋

赤がまぶしい、春節に配られるお年玉袋、アンパオ(紅包)

春節用品の特別ブース

ショッピングセンターには、春節用品の特別ブースが設置

 

 

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食べたいものを食べたいだけ
タイ人も大好き「食べ放題」

タイスキ

毎年恒例の日本慰安旅行。今年もやっぱり北海道が一番人気だ。私の会社では勤続5年目のタイ人従業員を日本旅行へ招待している。いわゆる福利厚生の一環である。日本で本物の日本食を存分に味わってもらうこと。各地で日本のおもてなしに触れてもらうこと。市場やスーパーで並んでいる食材を見てもらうこと。慰安旅行とはいえ、実は遊びだけではない。ちょっとしたミッションも課している。時にはお取引先の酒蔵を訪ね、蔵見学をすることもある。大人の修学旅行気取りの旅を毎回楽しんでいるのだ。しかし、行き先と行く時期はできる限り、参加者の希望に合わせるようにしている。雪を見たことがないタイ人にとっては、やはり冬の北海道は魅力的なようだ。しかし、実は花より団子だったりもする。雪よりも冬の北海道の味覚が楽しみなのだ。実際、北海道旅行から戻った従業員が一番印象に残ったと口にするのがカニ食べ放題などのバイキング・ディナーだ。自分が食べたいものを、食べたいだけ食べられる。

しかも、旅先の日本でのことだ。見る喜びよりも、食べる喜び。そこに日本での旅行の思い出を感じるらしい。

カニ食べ放題に大満足

北海道ならではのカニ食べ放題に大満足!

 

さて、日本では食べ放題のことをバイキングと呼ぶことが多い。しかし、タイではビッフェと呼ぶのが普通だ。そして、タイ人はこのビッフェが大好きなのだ。タイにおける日本食ブームの火付け役になった『オイシイ・レストラン』。その勝因もビッフェ形式にある。それまで敷居の高かった日本料理が定額で、食べたいだけ食べられる、タイではじめてのビッフェ形式の日本食レストランが『オイシイ・レストラン』だったのだ。

今では日本食だけでなく、いろいろなビッフェ形式のレストランがタイには軒を連ねている。タイ人が大好きなタイスキのビッフェといえば『ホット・ポット』というチェーン店だ。タイスキだけでなく、天ぷらや寿司、刺身、点心なども味わえるのが、この店のポイント。タイスキに日本料理を取り入れているのが人気の秘密のようだ。価格は場所により多少差異はあるが、1人399バーツと手頃である。

他にも焼肉ビッフェの店もスクンビット界隈では繁盛している。こちらはタイ人だけでなく日本人にも人気だ。

ただビッフェ・レストランは食べ放題だが時間制限がある。90分という店が一般的なようだ。そして食べ残した場合ペナルティもある。当たり前と言えば当たり前だが。

タイのビッフェ・レストラン。実は日本人にとっても穴場かもしれない。頼んだものとは違ったものが出てくる。そんな不安もビッフェ・レストランではない。是非、タイに来た際には、タイスキのビッフェを楽しんでみたらどうだろう。

ホット・ポットレストラン

バラエティ豊かな日本料理も楽しめる『ホット・ポット・レストラン』。

焼肉ブッフェレストラン

焼肉ブッフェ・レストラン。「Japanese BBQ」の文字が見えます。

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旧年のニュースを振り返り
新年へ思いはせる

いたる所に設けられた追悼の祭壇

待たぬ月日は経ち易い。2016年もあっという間に過ぎ去ろうとしている。12月28日ぐらいからバンコク都内は人が少なくなって、閑散としてきた。それでも30日まで仕事をしている人も多い。銀行や官庁は12月31日から1月2日まで3日間が休み。3日からは通常通りになるので、日本の正月とはちょっと違った感じだ。

そしてタイの大晦日といえば、カウントダウンと新年を祝う打ち上げ花火である。しかし、今年は服喪期間中とあってカウントダウンのイベントは中止になり、王宮前広場からの花火も上がらないという。その代り、ろうそくの灯で新年を祝う「キャンドルナイト・オブ・サイアム」が王宮前広場では執り行われるようだ。ろうそくの灯で迎える新年もなかなか雰囲気があって素敵だと思う。

さて、2016年のタイはどうだったのか?タイの現地新聞が発表する今年の十大ニュースを軸に振り返ってみたいと思う。

1位はプミポン国王の崩御。タイの国民が悲しみに暮れた今年一番のニュースだ。そして2位が皇太子さまの国王即位。12月1日にワチラロンコン皇太子がチャックリー王朝の10代目国王に即位されタイに新しい国王が誕生した。3位は新憲法草案が国民投票で承認されたこと。これは現軍事政権を承認するタイ国民の意思表示となった。4位は俳優ポーさんがデング熱で死去したこと。タイでは一般的な病気であるデング熱。そのデング熱が原因で死に至ることもあるという事実に多くのタイ国民が衝撃を受けたようだ。5位はタイ産コメ価格の10年ぶりの低価格。タイ政府が大量の在庫米を抱えていることが原因で、農民の中にはバンコクで米を直販する人も現れた。6位はスクムパン、バンコク知事の罷免。東京都知事だけでなくバンコクの知事も大きな問題を抱えているようだ。7位はリオ五輪でのタイ選手の躍進。前回のオリンピックに比べ金メダルを2つ増やし、メダル獲得数も参加国中57位だった前回から35位と大きく躍進した。8位はポケモンゴーの大流行。日本だけでなくタイでも社会現象化し話題となった。9位は都市鉄道パープルラインの開通。日本企業が受注し製造した都市鉄道がバンコクに登場し歓迎された。これは現地に住む日本人としてもうれしいニュースだった。最後の10位はネット規制法の承認。国民の半数以上が監視対象となり、表現の自由を侵害する法案として賛否両論が巻き起こった。施行は来年の4月だ。

こうして振り返ってみると、イギリスのEU離脱やアメリカ大統領選挙が入っていないのは意外だった。タイ人にとっては、外国のことより、まずは我が国タイのことが一番気になるのだろう。それが普通かもしれない。

さて、来年はどんな一年がタイで待ち受けているのだろうか? 読者の皆様に取って来る2017年が素晴らしい1年になることを祈念致します。

タイの年末ギフト

タイでは恒例の年末ギフト。いろいろなものを詰め合わせて贈ります。

街頭の電飾看板も追悼のメッセージが

街頭の電飾看板でもプミポン国王追悼のメッセージが

ちょっと控えめな今年のツリー

クリスマスツリーにも国王逝去の影響が。例年に比べると装飾が控え目

 

 

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高級な輸入品も人気
いまタイでは自転車が熱い!

輸入自転車専門店

今年の10月、社員旅行でベトナムのハノイを訪れた。かれこれ8年ぶりのハノイ。まずは立派になった空港に驚かされた。昔の面影を全く感じることのない新空港。タクシーで街へ向かう途中にバイクの大洪水を見た時、やっと「やっぱりベトナムだよな」と、妙に安心したほどだ。

そんなハノイでエコツーリズムに参加した。最近ハノイで人気を集めているツアーだと聞いたからだ。しかし、何のことはない。田舎の湖畔を自転車で観光するいわゆるサイクリングツアーなのだ。しかも、ごく普通の婦人用自転車なのでスポーツ感は全くない。早さや距離を競うことなく、ただガイドの後を追いかけるようにペダルをこぐ。自転車で遠足に行っているような感じだった。その辺の緩さが人気なのだろう。参加したタイ人のスタッフは思いのほか満足したようだ。

ハノイエコツアー

そういえば、ここ数年タイでもサイクリングがトレンドというか、人気のスポーツとして注目されている。20年前にタイに来た当初は自転車に乗るタイ人をバンコクでは見かけることはなかった。ちょっとした距離でもバイクや車で移動するのがタイ人だ。歩かない。歩こうとしない人たちなのである。

そんなタイ人が自転車に乗るようになるとは正直ビックリしている。通勤とか通学で自転車に乗るというよりは、趣味や娯楽として乗っている人たちが大多数ではあるが・・・・・・。

確か3年ぐらい前から深夜、街中をサイクリングしているグループに遭遇するようになった気がする。日中は車の量も多いし、また何より暑い。だからサイクリングも夜間なのだろう。夜間のサイクリングなんて、タイならではかもしれない。

そして、これまでになかった自転車専門店がバンコク市内に何件もオープンしている。中には輸入自転車専門の店舗もあり、日本製の自転車も人気のようだ。価格も小型バイク同じぐらいのものもあり、それなりに売れているというから驚く。こだわりの自転車でサイクリングに参加するのは、ある意味ステータスなのかもしれない。そして自転車によるロードレースの大会も最近は盛んだ。どちらかと、マラソンより人気があるぐらいの感じだと思う。

自転車レースの大会も

そんなタイ人のサイクリストたちの間で注目を集めている場所が日本にあるらしい。瀬戸内海にある、<しまなみ海道>だ。富士山や北海道の流氷、そして桜よりも、海の上の街道を自転車で駆け抜けるのがウケている。いわゆるサイクリストたちの聖地になっているのだと聞く。

タイ人が日本でサイクリングを楽しむ。日本を訪れるタイ人たちの目的もどんどん変わっているようだ。10年ひと昔とは良く言ったものだと思う。

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トリリンガルも夢ではない?
タイの充実した子育て環境

発表会もありました

タイの幼稚園で行われた発表会の一コマ

今年も残すところ1カ月。月並みだが、1年、また1年と歳月の流れる速さに唖然としてしまう。タイには日本のような四季がない。だから尚更そう感じるのかもしれない。そして、この時期になると気になるのが日本の新語、流行語大賞だ。今年一年、日本では何が起きて、何が問題になったのか。それを浮き彫りにしてくれているのが、新語や流行語だったりする。今年も30の言葉が流行語にノミネートされていた。その中で一番衝撃を受けた言葉が、「保育園落ちた日本死ね」という言葉だった。子供を育てながら働かざるを得ない母親の切実な悩み。そして、未だに具体的な子育て支援の対策を打ち出せていない政府や自治体の現状。決して心地良い言葉ではないが、日本の今がこの言葉には凝縮されている。ここタイではありえない言葉だ。

タイにも保育所や幼稚園にあたる公営の施設がある。市町村や区の運営のものや、お寺などの宗教団体、また病院が運営するものなど形態は様々だ。その他にも、民間の幼稚園や外国人向けのインターナショナル校もある。どの施設に通わすかは、両親の判断次第になる。中には幼稚園に通わせず自宅でヘルパーさんを雇い子育てする人もいる。

我が家の息子は私の判断で、日本語教室のある私立のインターナショナル幼稚園に通わせている。ここにはタイ語教室、英語教室、日本語教室の3つの教室があり500人ほどの園児が通っている。ここの幼稚園に決めた理由は日本人の先生たちが非常に熱心なのと環境が良いこと。そして自宅から近く送り迎えがしやすかったからだ。一年の半分が雨季で渋滞が激しいバンコクでは、この送り迎えがしやすいと言うのが非常に重要だったりする。月謝はタイのローカールの園に比べると倍以上だが、日本の普通の保育所並の負担で済むのはタイならではである。

我が家の場合は、母親がタイ人なので2歳半から日本語環境に慣らすために、ここの幼稚園の日本語教室に通わせた。しかし、なかには両親とも日本人なのに、同じ園の英語教室通わせている人もいる。駐在としてバンコクに滞在する人たちだ。いずれ日本に帰れば日本語はいくらでも勉強できる。せっかく海外にいるのだから「幼児期から英語教育を」というのが彼らの考えなのだ。これもありだなと思う。

何はともあれ、ここタイの子育て環境は恵まれていると思う。タイ人であれ、外国人であれ、幼児教育で困ることはない。ありがたいことだと思う。

一方、日本で暮らす外国人の子供たちの場合はどうなのだろう? 余計なお世話かもしれないが、ちょっと心配に思う。「保育所落ちた日本死ね」の言葉が頭をよぎる。

5月には鯉のぼりも

5月になると幼稚園でも鯉のぼりがはためきます

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航空会社の個性が光る
機内食の愉しみ

崎陽軒のしゅうまい弁当

日本へ出張する時のちょっとした楽しみ。それは移動中の空港で買う駅弁だ。人によっては空港で買う弁当を「空弁」と呼ぶ人もいる。確かに空港でしか買えない弁当は空弁でもいい。でも、私のこだわりは鉄道駅でも売られている名物の駅弁を空港で買うことなのだ。一番のお気に入りは『崎陽軒』の「シュウマイ弁当」。横浜駅の名物弁当を羽田空港で見つけた時は不思議なぐらい嬉しかった。しかも値段は駅で買うのと同じ830円である。列車の中で食べる弁当を飛行機の中で食べる。確かに風情は列車より劣る。だが、限られた日本での移動時間に懐かしい名物弁当を味わえるのは、何ともいえない贅沢な時間なのだ。

ここタイには駅弁も空弁もない。だから飛行機や長距離バスでは機内食や車内食が出されることが多い。日本の国内線飛行機ではドリンクのサービスしかない。しかし、ここタイでは国内線であっても機内食ないしは「おやつ」が出てくる。LCCと呼ばれる格安航空会社は有料だが、タイ国際航空やバンコク・エアウェイズは無料だ。その辺で、LCCとの差別化を図っているような気もする。なかでも、バンコク・エアウェイズの機内食は自らを「アジアのブティック・エアライン」と呼ぶだけあって、気合が入ったものが多い。バンコクとチェンマイ間はたった50分ほどのフライトだが、ちゃんとホットミールが出てくる。量は少なめだが、やはり温かい料理というのはお腹だけでなく心まで満たされる気がする。しかも、フライトの時間帯によって料理が変わっていたりする。イサーン風干し肉ともち米の機内食が出てきたときは、タイらしさが全開で、タイ料理が好きな人には堪らないだろうなと思った。

一方、タイ国際航空はサンドウィッチやパンケーキなどの軽食系が多い。機内食と言うよりは「おやつ」である。バンコク・エアウェイズと違い大型機材での運航が多いタイ国際航空の場合、短時間でホットミールを出すというのは無理があるのだろう。しかし、先月、「キンジェー」と呼ばれる菜食週間に、バンコクからチェンマイへ飛んだ時のタイ国際航空の機内食はちょっとビックリした。なんとベジタリアン仕様の稲荷寿司と豆乳が機内食として出てきたのだ。しかも、なかなかの味である。時に、こんな感じで期間限定バージョンの機内食に出会えるのも飛行機に乗る時の楽しみだったりする。

さて、次はどんな変わった機内食が登場するのだろう? チェンマイ出張の時の楽しみは、やっぱり機内食かもしれない。

PGの機内食 イサーン料理

バンコク・エアウェイズのイサーン風機内食

稲荷寿司の機内食

タイ国際航空は稲荷寿司と豆乳には蒸一さんもビックリ

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タイでは大人も子供も魅了
冷たいスイーツを賞味あれ

流しのアイス屋さん

道行く人に声を掛ける、流しのアイスクリーム屋台のおじさん

 

ゴールデンウイークと言えば、年に一度の大連休。小学生の頃はこのゴールデンウイークが待ち遠しかった。学校が休みになるのは、もちろんだが、それ以外にも、ある楽しみがあった。それは近所の駄菓子屋さんで、アイスクリームが買えるようになることだった。故郷である鹿児島ではゴールデンウイークになると再稼働する。初夏のちょっと汗ばむ陽気の中、家族で食べるアイスクリームは子供ながらに至福のおいしさだった記憶がある。今では年中いつでもアイスクリームが買えるが、昔は完全なる季節商品で1本50円が相場だった。

ここタイでもアイスクリームは一年を通して買うことができる。しかも、お店まで行かなくても流しのアイスクリーム売りが路地の中まで売りに来る。『ネスレ』などメーカーのアイスを軽快な音楽を流しながらバイクで売りに来ると、どこからともなく人が集まって来る。

また、昔ながらの手作りのアイスを手押し車で売りに来るアイス屋も健在だ。こちらは1杯10バーツと価格が安いことに加え、もう一つの売りがある。それは”アイスサンド”を注文できることだ。アイスサンドとは名刺サイズのコッペパンにアイスクリームを挟んで食べる東南アジア流のアイスの食べ方だ。タイだけでなく、シンガポールやマレーシアでも見かけたことがある。

最初はパンにアイスクリーム?とビックリしたが、食べてみると絶妙な食感がたまらない。ぼそぼそとしたパンにアイスクリームのしっとりした甘さが口の中でゆっくりと融合していく。子供だけでなく大人も大好きなタイを代表するスイーツの一つかもしれない。

さて、今年に入ってタイのアイスクリーム市場に大きな動きがあった。一つは日本で大人気のアイスバー『ガリガリ君』の現地生産がはじまったことだ。価格は1本20バーツ。現地の相場より若干高いが日本ならではの柚子やピーチといったフレーバーがタイ人の子供たちにも受けている。

そして、万を期してと言う感じで登場したのが『グリコ』のアイスクリーム。こちらも現地生産で、日本でも有名な『パリッテ』は1個40バーツと普通のアイスクリームの倍の価格である。いわゆるプレミアムアイスだが、販売開始当初は売切れが続出。しばらくは1人3個までと販売制限が掛けられていたほどだ。

これまでは『ネスレ』『ウォール』『マグノリア』と欧米系のアイスが主流だったタイ。そこに日系2社が新たに参入してくれたのは日本人としては嬉しいし、期待するところだ。でも、その一方で、昔ながらのアイス売りが消えなきゃ良いなとも思う。アイスサンドはタイにはなくてはならないスイーツなのだ。

 

アイスサンドは記念切手の絵柄にも

アイスサンドは記念切手の絵柄にも採用されるほどの人気ぶり

 

ガリガリ君

日本が誇る『ガリガリ君』がタイを席巻する日が

 

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プミポン国王が崩御の報に
悲しみに沈むタイの人々

ATMにも追悼の画像が

会議が終わり、書類を鞄にしまおうとしていた時だった。「プミポン国王がお亡くなりになったらしい」。経理のタイ人スタッフが今にも泣き崩れそうな顔で教えてくれた。間もなく会社を閉める午後6時前。会社のスタッフもこれから帰宅するところだった。街中は相変わらずの渋滞で、路地の中まで車が連なっている。普段と変わらないバンコクの夕暮れ時の風景だ。自宅へ戻りテレビを付けると全てのチャンネルがプミポン国王を追悼する特別番組になっている。これをみて、やっぱり本当だったのかと、はじめて実感が湧いてきた。確か、昭和天皇が崩御された際もそうだった気がする。日本の全てのテレビ番組が特別番組になって吃驚した記憶が、かすかに蘇ってきた。今から28年前だから中学生の頃のことだ。

多分、タイ国民も心の準備は出来ていたはずだと思う。しかし、いざ現実になると、まさかという思いと、持って行き場のない悲しみに多くの人が心を震わせている。近所の食堂の女将さんはテレビの前で泣いて仕事が手に着かない様子だった。10月13日の夜はタイ国民にとってもそうだろうが、私にとっても忘れ難い一夜になった。

プラユット首相は、政府機関や国営企業、教育機関は14日から30日間半旗を掲げ、公務員、国営企業職員は一年間服喪すると発表。一般の国民には娯楽的な活動を30日間は自粛するように呼び掛けている。

一夜明けた14日は政府機関や公務員は公休日になった。街中を歩くタイ人の多くが黒い服を着て国王の逝去をいたんでいる。普段は騒がしい建築現場も黒の幕が掛けられ休業になっていた。コンビニ、ショッピングセンターなどの商店や飲食店は店内で流す音楽の音量を落としながらも普段通り営業している。アルコールの販売に関しては、それを自粛しているスーパーや飲食店もある。しかし、あくまでも自粛であり法的な規制によるものではない。

テレビは15日になって通常の放送になったが娯楽番組は依然として自粛の状態にあるようだ。

街中のATMやタイ企業のホームページは国王追悼のメッセージが表示され、白黒の表示だったりする。コンサートやサッカーの試合、伝統行事も取り止めが目立つ。服喪の感覚がなんとなく日本に近いなと思ったりもした。

この国に縁を頂き、住み仕事をさせていただき19年。プミポン国王の御冥福を心からお祈りし、哀悼の意を表したいと思います。

追悼の祭壇

 

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LCCの相次ぐ就航で
甦ったドンムアン空港

ドンムアン到着ゲート

そうか、もう10年も経つのか。スワナプームにあるバンコク国際空港の開港は2006年9月28日。今年は開港10周年の節目の年なのだ。しかし、それを祝うような雰囲気を空港内で感じることはない。目につくとすればタイ国際航空の創業56周年とか、日本航空のバンコク線就航60周年といった祝賀メッセージぐらいだ。たかが10年ということなのだろうか?

新バンコク国際空港が開港した際に、社員旅行でシンガポールへ行った。飛び立った空港は閉港間近のドンムアン、旧バンコク国際空港。そして戻って来たのは開港したてのスワナプームの新バンコク国際空港だった。新空港では預けた荷物が、なかなか出てこなく途方に暮れたのを覚えている。それでも新旧の2つの空港をまたいだ旅行は意図したものではなかったが貴重な思い出となった。

バンコク国際空港がスワナプームに移ってからドンムアン空港は閉港されるはずだった。しかし、相次ぐ施工不良などのトラブルと増え続ける利用客に対処するために、なんと翌年2007年からドンムアン旧空港は再開港したのだ。しかし、当初はほとんど利用客がいなかった。それから5年後、ドンムアン空港に新風を呼び込んだのは航空会社『エアアジア』だった。『エアアジア』がドンムアン空港をハブ空港として利用し出すと他のローコストキャリア(LCC)と呼ばれる航空会社も追随したのだ。ドンムアン空港は格安航空ターミナルとして新たに生まれ変わったのである。

そんなこともあって、昨年ぐらいからドンムアン空港に友人や知人を迎えに行くことも多くなった。『エアアジアX』や『スクート』などが日本路線を就航させているからだ。ドンムアン空港がスワナプーム空港と違うのはツアー客が少ないことだろうか。ツアー会社やホテルなどの出迎えはほとんど目にしない。来る人も出迎える人も個人がほとんどだ。

そんなドンムアン空港のレストラン街に今年、日本食レストランがオープンした。ファーストフードの形態で価格もお手頃である。それにしても本格的なラーメンや牛丼がまさかドンムアン空港で食べられるようになるとは・・・・・・。

スワナプーム空港の開港10周年よりも、どんどん活気づくドンムアン空港の方が気になって仕方がない。『ライオンエアー』や『ベトジェット』などといったアセアン諸国のLCCが続々とタイ国内線へと進出してきている。

果たしてタイに新幹線は本当に必要なのだろうか? 地方に空港を整備する方が経費的にも理にかなうような気がしてならない。

ドンムアン改装されて綺麗に

ターミナルの内観も改装されてきれいになりました。

ドンムアン内の牛丼屋

手ごろな値段で人気の牛丼屋が進出!

 

 

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