思わぬところに落とし穴
パスポート狂騒曲

再入国許可証とビザ

かれこれ8年ぶりだと思う。今月末に所用でベトナムのハノイに行くことになった。ネットでベトナムの入国に関して調べると、日本人はビザなしで15日間は滞在できるようだ。しかしタイ人の場合はビザなしでも30日の滞在が認められている。タイ人のほうが日本人より好待遇なのだ。しかし、気になったのがベトナム入国時にパスポートの有効期限が日本人でもタイ人でも6か月以上あることがビザなしの入国の条件になっていることだ。慌てて自分のパスポートを確認すると、有効期限は2017年2月14日まで。なんと5か月しか有効期限は残っていない。たった2泊3日だし、往復の航空券も手配できている。ほんの1か月足りないだけだ。何とかならないものかと思い、ベトナム大使館に電話をしてみた。すると入国はできるが事前にビザを取得してくれとの返事だった。やれやれ。ビザを申請するのは面倒だしなぁ・・・・・・。少し悩んだ挙句、新しく旅券を更新することにした。

タイに在留届を出している邦人はタイの日本大使館領事部で旅券の更新手続きをすることができる。所用期間は3日間。費用は5年有効のもので3080バーツ、10年有効のものは4480バーツだ。今回は10年有効の旅券に更新した。日本だと10年有効の旅券は1万6000円である。しかしタイでは今のレートだと1万3440円の計算になる。為替の関係とはいえ、ちょっと得した気分だった。しかし、喜んでばかりはいられない。旅券を更新したらやらなければならないことがある。それは、旧旅券の中にある業務滞在ビザや再入国許可を、新しい旅券へ移し替える手続きだ。これはタイの入国管理局へ行って手続きする必要がある。自分でやることも可能だが、手間と時間を考えた挙句、馴染みの代行業者へお願いすることにした。それでも必要書類や委任状などを用意しなくてはならない。とりあえず書類も揃ったし無事に終わるかと思いきや、やっぱりスムーズにはいかなかった。業務滞在ビザは問題なく移し替えることができた。しかし、再入国許可は申請した場所でしか移し替えの手続きができないという。たまたま今年の再入国許可は入管本部ではなく、スワナプーム空港で取得していた。全く役所というところは融通が利かないところである。結局、再入国許可はスワナプーム空港の入管窓口まで出向いて自分で手続きをしてきた。手数料は掛からないが、空港と事務所の往復に3時間も掛かった。

新しく旅券を申請してから1週間。業務ビザや再入国許可の移し替えに、これほど奔走させられるとは・・・・・・。これでやっと新しい旅券でベトナムへ旅立てる。なんか部屋の引っ越しを終えたような達成感があった。

空港の再入国許可窓口

スワンナプーム空港にある再入国許可窓口。はるばるやって来ました。

旅券の更新完了

無事にパスポートの更新完了。予想以上に手間がかかりました。

 

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スーパーを歩けばわかる
日本食の圧倒的な存在感

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今年は関東や東北が台風の当たり年なのだろうか? 台風が来ると一番気になるのが飛行機の事だ。日本からの訪問客の便に台風の影響が出なければ良いのだがと気をもむ。先週も日本から大学生3人が観光に来ることになっていた。空港へ迎えに行ったのだが、飛行機は離陸したが台風の影響で1時間半近く遅れての到着だった。また帰りの便も台風10号を追いかけるような感じで帰っていった。最悪の場合は成田ではなく、別の空港に降りるかもしれない、ダイバードという条件での離陸だった。

そんな台風に振り回された大学生と4日間一緒に過ごした。観光や買物を満喫した彼らが一番びっくりしたのがバンコクに日本食レストランが林立していることだ。「なんでこんあに日本食レストランばかりあるんですか」「なんでタイ人は日本食がこんなに好きなんですか」 なんでだろう。タイに住んでいるともう当たり前の風景なので、こんなものだと思うしかない。もはや日本食はブームではないのだ。もうタイの社会にしっかり溶け込んでいる。ちなみに日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)タイ国支部の発表によるとタイにある日本食レストランの数は2713店で前年比3.6%増だそうだ。

ここまで日本食レストランが増えると日本の食材を買える店も多くなって当然だ。昔からタイ在住の日本人にお馴染みの『フジスーパー』だけでなく、『トップス』や『ビッグC』などのローカルのスーパーでも日本の食材を買うことができる。なかでも凄いのが『マクロ』だ。『マクロ』は業務卸が専業のメガ・スーパーで、日本にも店舗がある『コストコ』のような感じの店舗である。飲食店はもとより、小売店の店主などが商品を仕入れにくる。基本は箱売り、ケース売りで、事前に会員登録して会員カードを掲示しなければ買うことができない。そんな『マクロ』に日本食材の一角が設けられたのは5年ぐらい前だろうか。醤油やドレッシングなど調味料がメインだが、近くの冷凍庫にはタコ焼きや鰻の蒲焼、〆サバ、海老、とび子、ワサビと寿司のネタを中心にかなりの品揃えである。しかも、それらはちゃんと業務用なのだ。そして売れ行きも悪くなく、どんどん回転している感じなのが凄い。ちなみに私もここマクロで週に1回は仕入れをする。

タイで19年前に飲食店をはじめた頃は「無い、無い、無い」の連続だった。今ではこんなところで、こんなモノが買えるのかとビックリする事が多い。タイに日本食店が2713店もあれば当然なのかもしれないが・・・・・・。

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所狭しと商品が並ぶ業務用メガ・ストア『マクロ』

 

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意外や意外?仏教国タイに
根付く西洋の縁起担ぎ

13階がないビルの案内板

タイに在住して19年目。日本へ一時帰国した際に、ついついやってしまうことが2つある。一つはタクシーのドアを自分で開けたり、閉めたりすることだ。その度に運転手さんから怪訝そうな顔をされる。タイには自動ドアのタクシーは一台もない。自分で開けて、閉めるのが常識だ。逆に自動ドアになっている日本のタクシーの方が世界的に見ても特異だと思うのだが・・・・・・。

そして2つ目は電話に出る時、つい「ハロー」と言ってしまう事だ。実家に居る時、家の電話でも、ついそれをやってしまった。電話を掛けて来た妹からは「掛け間違ったかと思った」と思わず切られそうになった。

染みついた習慣というのは本当に恐ろしいものだ。

タイでは電話に出る時「ハロー」と言って出る。これは英語の「Hello」から来ている。でもなぜハローというようになったのかは定かではないようだ。この他にもタイ人が普段タイ語の感覚で使う英語はいくつかある。「シュア?」(Sure / 本当・本気)とか「ショー」(Show / 見せる)、「ティービー」(TV / テレビ)などなど。

またタイでは意図的に「13」という数字を使わないことが多い。典型的なのはビルと飛行機。タイ、特にバンコクの高層ビルやマンションには13階がない場合がほとんどだ。実際にはあるのだけれど欠番だったり、AAとか――の表示になっていたりする。そしてタイ国際航空とバンコクエアウェイズには13番という座席が存在しない。また空港の荷物受け取り台も13番は欠番になっている。

ビルの階数や飛行機の座席に13がないのは言うまでもなく、キリスト教徒の方が忌み嫌う番号だからだ。仏教国であり、仏教徒が9割を占めるタイで、そこまでこだわる必要があるのか。日本人である自分は不思議に思った。しかし、これこそがタイ人なりの「おもてなし」であり、気遣いなのだろう。

そういえば、タイ料理にも面白い料理がある。「カオ・パット・アメリカン」だ。日本語に訳すと「アメリカ風炒飯」になる。ケチャップライスに目玉焼きとフライドチキン、ソーセージがセットになった料理である。店によってはハムが添えられていたりもする。要はモーニングセットのトーストがケチャップ・ライスになっただけだが、タイ人は朝だけでなく昼でも夜でも食べる。日本人である私には、お子様ランチようにも見えた。でも食べて見ると案外うまいし、味のバランスも良い。

カオ・パット・アメリカン。この料理にはタイ人のアメリカはきっとこうなんだ!という思いがギュッと詰まっている気がする。

アメリカ風炒飯

これぞアメリカ風チャーハン「カオ・パット・アメリカン」。盛り付けもちょっとおしゃれに。

 

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タイでは王女様も夢中!?
根強い人気の切手収集

タイの記念切手

3か月に1回、お店で使える優待券をお客様に郵送している。その際に記念切手を貼って出しているのだが、受け取ったお客様からタイの記念切手がきれいなのにビックリしたという声を頂くことがある。確かにタイの記念切手は綺麗で芸術的なデザインのものが多い。時に使うのがもったいないなぁと思う時があるぐらいだ。
実は中学生の時、切手収集が趣味だった。記念切手が発行されるたびに足早に郵便局へ通っていたのを覚えている。大人になったら「月に雁」や「見返り美人」の切手を買うのが夢だったりもした。しかし、大学進学で実家を離れてからは記念切手を買いに郵便局へ行くことは全くなくなった。切手収集以外の趣味が見つかったからだ。あのころ集めた切手はきっと実家の押し入れの奥に今でも眠っていることだろう。
果たして今、日本には切手収集が趣味だという人が、どれほどいるのだろうか? 趣味の王道ともよばれた切手収集。ここタイでは切手収集が趣味という人は多い。郵便局によっては記念切手専用の窓口があり、切手収集家たちでいつもにぎわっている。収集だけでなく、私のように使うために記念切手を買いに来る人も最近は多いようだ。
窓口の横の壁には発行予定の記念切手の図案と発売日など詳細がポスターになって掲示されている。少なくとも月に1回は新しい記念切手がタイでは発行されているようだ。タイ国内の郵便料金は、はがきが2バーツ、封書が25グラムまで3バーツである。だから発行される記念切手は額面3バーツのものが多い。時に語呂が良いとしてタイ人に人気の5バーツや9バーツの記念切手、そして海外向け絵はがき(航空便)用の15バーツの記念切手も発行されている。とにかくタイの記念切手はバラエティ豊かなのだ。
タイ王室のシリトン王女は、大の切手収集家として国民によく知られている。王女は海外へ出かけると自分宛てに現地の切手を貼った手紙を出すことでも有名だ。そんな王女の収集した切手やタイ国内の切手、そして世界の切手を見ることができる博物館がバンコクにはある。<サムセンナイ切手博物館>だ。
BTSサパンクワイ駅の真ん前にある建物なので迷うことはないと思う。週末にはこの建物の1階で古切手市が行われていて、切手収集家で賑わうようだ。
サムセンナイ博物館、実は話を耳にするだけで、いまだ行かずにいる。そこに行ってしまえば、切手収集に没頭した頃の思いが再発するのではないか・・・・・・。とりあえず今は郵便局どまりの状態なのだ。

タイの郵便局

ひときわ目立つピンクの建物が郵便局です。

 

記念切手告知のポスター

郵便局に入ると記念切手告知のポスターが貼られていました。

 

 

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やはりタイ人は「日本食」が大好き
日本大使公邸での懇談会

網走牛のしゃぶ

7月13日、所用でバンコクの日本大使公邸へ出向いた。網走市主催の食の懇談会が公邸で開催され、その招待を受けていたのだ。
バンコクの日本大使公邸では日本の地方自治体主催の催し事が開催されることが多い。大使公邸内には50畳ほどの舞台を備えた広間が設けられている。立席なら80名は余裕ではいるのではないだろうか? 今回の懇談会も、その広間で行われた。会は午後12時からのスタートだったが、公邸には30分前には着くようにした。なぜなら、大使公邸前に着いても中に入るまでが結構大変なのだ。招待状やパスポートの掲示が必要で、内部との照合に時間が掛ることもある。分厚い高さ4メートルほどの鉄壁が2重に設けられており、その門の開け閉めにも時間が掛るのだ。
ここまで大使公邸の警備が厳重になったのは、あの事件以降だと思う。
今から13年前、北朝鮮からの脱北者10名がタイの日本大使館に駆け込んで韓国への亡命を求めた事件が起きた。通常、脱北者はタイに渡った後は韓国大使館へ向かう。しかし、あの時は警備体制の厳重な韓国大使館ではなく、まさかの日本大使館が駆け込み場所として狙われたのだ。あの事件以降、日本大使館だけでなく、大使公邸や日本人学校までも警備体制が厳重になった記憶がある。現地に住む日本人としては面倒だな、厄介だなと思う。しかし、いつ、どこで、どんなテロが起きるか分からないこの現代。警備や警戒を厳重にすることは不可欠なのだ。
さて、今回参加した網走市の食の懇談会の話題に戻ろうと思う。参加者は40名ほどだった。世界遺産に登録された知床はタイ人にも人気の観光地であり、網走の知名度も高い。だからか、タイ人のバイヤーさんからは、様々な質問が飛び交い、会場は大いに盛り上がった。日本の、そして網走の食材が、ここまでタイ人に注目されているのか。そう思うと日本人として本当に嬉しくなる。
セミナーの後の昼食会では、網走の食材を使った料理が振る舞われた。もう、これは絶品のものばかり。なかでも、タイ人に一番人気だったのが網走和牛のしゃぶしゃぶ。そして、和牛を使った握り寿司だ。この2つはあっという間に参加者のお腹の中へと収まってしまった。
久しぶりの大使公邸。タイ人の日本食に対する色々な思いを耳にし、お腹だけでなく心も満たされた午後だった。

官邸入口・玄関は撮影禁止

この建物が日本大使公邸。入口、玄関は警備上の都合により撮影禁止です

会場内の様子

懇談会の様子。日本、タイ両国の参加者のスピーチからスタートしました

 

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チェンマイ出張の愉しみは
土地ならではの美食にあり!

カオソイ

チェンマイからバンコクまで飛行機で1時間。しかし、空港からバンコク市内の事務所まで昨日は、なんと2時間半も掛かった。空港を出たのが午後6時半。事務所に着いたのは午後9時。空路の移動時間より、陸路の移動時間の方が長いとは・・・・・・。雨季のバンコクの渋滞は半端ないのだ。ひと月に2回はチェンマイへ出張しているが、一番疲れるのが空港から事務所への移動のような気がする。慢性的な渋滞。タクシーの運転手さんのストレスが少しは理解できるようになった。

しかし、チェンマイ出張の時の楽しみもある。それは、やはりチェンマイならではの料理。ところ変われば、もの変わる。チェンマイにもおいしものがたくさんある。なかでも、一番有名で人気があるのが、カオソイと呼ばれる麺料理だ。カオソイとは、直訳するとカオ(米)、ソイ(細く刻む)で米を細かく刻んだものという意味になる。でも、実は全く米は入っていない。小麦粉で作った平べったい中華麺がカレー風味のスープに入っていて、その上には揚げた麺がのっている。華南菜の漬物や玉ねぎ、マナオ汁などの薬味を好みで加えて食べる。茹でた麺と揚げた麺を一緒に味わう、独特の食感が癖になる麺料理だ。ココナッツミルクの甘みがカレーのスパイシーさをやわらげ、日本人にも好まれる麺料理ではないだろうか。

ちなみにカオソイの語源は、この料理を最初に作ったタイ北部の少数民族であるシャン族が、すべての麺料理をカオソイと呼んでいることに由来しているのだとか。

以前、タイ人のスタッフと日本を旅行した際に、焼きそばは、そばと呼ぶのになんで中華麺が入っているのかと聞かれたことがある。彼はてっきり蕎麦が入っているものと思っていたらしい。日本では麺のことを「そば」と表現することがある。日本人には当たり前の焼きそばや中華そばという言葉も外国人にとっては紛らわしい表現なのかもしれない。

それと同じようにカオソイもタイ語を理解する外国人にしてみればヘンテコな名前である。しかし、タイ人にはごく普通の北タイの名物麺料理なのだ。

このカオソイ、バンコクでも食べることができる。でもやっぱり本場のタイ北部で食べるのがお薦めだ。札幌味噌ラーメンが札幌で食べるとおいしいのと同様、名物は本場で味わうのが一番。北タイで食べるカオソイは本当に個性的な味わいで、旅の良い思い出になること間違いなしだと思う。

 

カオソイの薬味

カオソイは、小皿に乗って出てくる薬味を加えて、好みのテイストにアレンジして食べるのが醍醐味です。

 

チェンマイ名物料理のセット

チェンマイ名物料理の盛り合わせ。『チェンマイ・ソーセージ』など、いろいろな味が試せるお得なセット。

 

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時代とともに成熟する
タイのビール業界

空港内のバービア

日本への出張ではタイ国際航空に乗ることが多い。その移動中の楽しみといえば、機内食とその前に出されるビールだ。タイ国際航空のキャビンアテンダントはビールをリクエストすると、コップに氷を入れてくれる場合が多い。昔はよく「氷を入れますか?」と聞かれることが多かった。しかし、最近では何も聞かれることなく氷入りのコップでビールが出てくる。完全にタイ人扱いなのだ。素直に喜んでいいのか、ちょっと複雑な気分である。
ただビールに氷を入れて飲むのは好きなほうだ。日本ではありえないだろうが、タイではビールに氷を入れて飲むのが、実は一般的だったりする。ちょっと昔までは冷蔵庫が普及していなく、常温のビールを氷の入ったグラスで飲むのがタイでは普通だった。その名残で今でもタイのビールは濃い目なのだ。
さて、そんなタイのビール市場だが、最近は3つの大きな流れが出てきている。1つ目は低価格ビールの人気沸騰だ。日本の発泡酒と同じような価格を抑えたビールで、とにかく安く飲んで酔いたいという人に支持されている。『アチャ』や『チアーズ』といった銘柄で普通のビールのより3割安めの価格設定になっている。労働者クラス向けのビールという印象がかなり強いビールだ。
2つ目は日本と同じく低カロリービールの登場である。日本ほど色々な種類はないが、カロリー控えめのビールは健康志の高まりもあって存在感が増してきている。実は私も家で飲むときはライトビール派である。しっかりコクもあって、アルコール度数も5度と気持ちよく酔える『サンミゲル・ビール』が一番お薦めだ。
さて、最後の流れは日本ビールの人気が高まっていることだ。10年以上前にアサヒのスーパードライがタイで現地生産されたが、人気はいまいちだった。しかし、日本食の人気が高まるにつれ、「日本食には日本のビール」という流れができたのだろう。今では日本食レストラン以外でもアサヒビールを飲むタイ人を見かけることもある。ハイネケンと同じようなプレミアムビールとしての地位をタイでもアサヒビールは築いている。そんな、アサヒを追い越せとキリンも3年ほど前からタイで現地生産を開始。今ではベトナムからの輸入品であるサッポロとキリン、そして老舗のアサヒと3種類の日本ビールをタイでは楽しむことができる。
日本の本家のビールとはちょっと違った味だが、タイでしか味わえない日系のビール。タイに来たらぜひお試しあれ。

ライトビアも人気

蒸一さんお気に入りの『サンミゲル』のライト(左)と、日本でもおなじみ『シンハー』ブランドのライト

日本のビール

3ブランドの日本ビールがそろい踏み。キリンは『ラガー』ではなく『一番搾り』!

 

 

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日本からも続々参戦!
国際的な食品見本市

日本企業のブース

今年も『タイフェックス』の時期がやってきた。1年に一度開催されるタイ最大級の国際総合食品見本市。タイへの販路拡大を目指す飲食関連企業がアジアをはじめ世界中から集まるイベントだ。この見本市への参加は毎年恒例の行事になっている。

開催される場所は、これも毎年同じでバンコクに隣接するムアントンタニ県の<インパクト・エキスハビジョン・センター>だ。頭が痛いのは、そこまでの移動手段である。バンコクの中心部であるスクンビット地区からは、なかなかタクシーはムアントンタニ県まで向かってくれない。日本と違ってバンコクのタクシーは近距離を何回もこなすのを好む。日本より安いとはいえ初乗り運賃を何回も倒すほうが彼らは儲かるのだ。

ならばどう移動するのが良いのか?以前タイ人に聞くと、BTSとよばれる高架鉄道でモーチット駅まで行き、そこからシャトルバスで向かう方法が一番効率的だと教えてくれた。費用も安い。高架鉄道の運賃は乗る駅に拠るがモーチット駅からのシャトルバスは32バーツだ。ただ乗り合いのために定員になるまで待たされるのと、狭い車内で15分ほど辛抱しなくてはいけないが・・・・・・。

今年も、もちろんこの方法で会場へ向かった。着いたのは昼過ぎ。会場はかなりの人だ。試食や実演があるゾーンはまるで山手線の通勤ラッシュのようで、歩くことさえできない状態になっている。売り込むほうも、それを聞くほうも真剣勝負。新しいもの好きなタイ人のバイヤーは目の色が違う。何か良いもの、変わったもの、ウケるものを仕入れてやろう。こんなに真剣な眼差しのタイ人を目にする機会は、そうあるものではない。

そして、お決まりだが日本のブースへも足を運ぶ。ジェトロさんによると46の日本企業が今年は出店したそうだ。かなりの数である。それだけ多くの日本企業がタイ市場への進出を望んでいることに驚く。そして、多くのタイ人バイヤーたちが日本の出店企業さんと真剣に商談しているのを見ると、やっぱり日本人として嬉しくなる。今年は和牛のコーナーが、かなりの賑わいを見せていた。日本に旅行に行き、日本のお肉のおいしさに気付いたタイ人は多いと思う。

かれこれ会場で3時間。毎年のことながら『タイフェックス』は良い刺激になっている。1年に一度の大人の遠足が今年も終わった。

和牛のブース

和牛のブースは大盛況。いろいろなブランド牛がお目見えしています

インパクト会場

『タイフェス』の会場、<インパクト・エキスハビジョン・センター>

 

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がまだせ、熊本、大分!
支援の輪はタイにも広がる

案内板

その日は、偶然ながらも東京にいた。日本での仕事を片付け、翌日にバンコクへ戻る前夜の4月14日。上野のホテルでテレビを見ながらビールを飲んでいると、テレビに字幕が走った。熊本で大地震発生。しばらくすると、テレビ番組が地震の速報番組に切り替わってしまった。これはただ事ではないぞ。
すぐに手元の携帯電話から実家の鹿児島に電話を掛ける。だが、回線がパンクしているのか繋がらない。ホテルのロビーに降りて、公衆電話から掛け直すと難なく繋がり実家の無事を確認することができた。公衆電話は災害に強い。一般の電話回線や携帯電話より優先的につながると東日本大震災の時に言われていたが本当だったのだ。
翌日バンコクへ戻ると会う人、会う人が日本の地震のことを、そして私の実家のことを心配してくれる。
「熊本が何処かわからないが、日本がまた大変なことになっているぞ。君の実家は大丈夫か?」
最初はその気遣いが嬉しかったが、余りに頻繁に続くと少々疲れる。
「心配して頂きありがとう。もし大丈夫じゃなかったら今ここに居ないから」。
そう答えると、『そうだな』と多くのタイ人は笑って頷いてくれる。
今回の熊本地震が起きた4月14日と15日はソンクラン休暇中で九州にも多くのタイ人観光客が訪れていたようだ。タイの外務省は熊本や大分で地震により足止めを余儀なくされていたタイ人127人を救出し、タイ国際航空の協力のもと福岡より全員を帰国させたと発表している。海外で災害が起きると自国民の安否を確認し援助に向かうのはどの国の政府も同じなのだ。
先週はお付き合いのあるアメリカンスクールからチャリティーの依頼があった。同スクールには日本人の生徒も在籍している。そんな縁から学校をあげて熊本地震の被害者へ義援金を贈るためのチャリティーを開催することになったようだ。
当日はタイの方々だけでなく、現地に住む日本人やアメリカンスクールの関係者が300名以上も駆けつけ会場は熱気に包まれた。タイ人だけでなく世界中の人がここバンコクで日本のことを、熊本のことを思ってくれている。そのことが日本人として本当に嬉しかった。
当日の売り上げに心ばかりの気持ちを加えて4000バーツの義援金をアメリカンスクールに託した。
がまだせ(がんばれ)、熊本。タイでも多くの人が熊本のいち早い復興を祈っている。

チャリティー会場

アメリカンスクールのチャリティ・バザー会場の様子

 

こんな動きもタイで

バンコクの日本人向けのショップのチラシでも熊本応援セール

 

 

 

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タイ人も日本人も心躍る
“限定商品”の魔力

dav

販売戦略とは分かっていても、季節限定とか数量限定と書かれていると、つい買いたくなる。なかでも日本に出張した際に期間限定のビールなどをコンビニで目にすると、もう迷う暇などない。今買わず、いつ買うのだ! 思わずガッツポーズをしてしまう。日本へ行くのは年間8回もない。そして滞在するのは長くても1週間。そんな日本での期間限定品との対面である。それはもうお宝を見つけた様な気分で、日本へ行った際の楽しみの一つでもあるのだ。

この”何何限定”という言葉、実は日本人だけでなくタイ人も好きな言葉だと思う。タイの市場にも色々な限定品があふれている。中でも限定品の宝庫と言えばコンビニの代表格、セブン・イレブンじゃないだろうか。

今月から発売になったマンゴー牛乳(パスチャライズ果汁牛乳)はタイ人の大好きなマンゴーの品種『モンムアン・オックロン』を使った新商品である。販売期間はこのマンゴーが収穫できる4月から6月までの3カ月間限定。しかも買えるのはセブン・イレブンのみと販売場所も限定なのだ。この商品を製造するのはCP明治乳業。セブン・イレブンの親会社であるCPグループの商品だからこそできる販売戦略だろう。

この他にもカルビーが作る海苔巻風味のさくらえびせん、日清の豚骨カップ・ラーメンなど、セブイ・イレブンでなければ買えないものが色々ある。これらはPB(プライベート・ブランド)という位置づけではない。しっかりと製造者のブランドが表記されているのでセブン・イレブン限定品という位置づけなのだ。ご丁寧にも「オンリー・アット・セブン」と英語での表記まである。

またタイには、タイでしか買えない日系ブランドの商品というのもある。地域限定商品というやつだ。代表格なのが、グリコのポッキー、トムヤムクン味ではないだろうか。元々はグリコがタイ人向けに現地で生産し販売していた商品である。しかし、日本人の間でタイ土産として評判になるや、お土産用の特別パーケージが登場するまでになった。日本での受けも良く、「お土産に買ってきて!」と頼まれることも多いようだ。

ちなみに個人的にはグリコのポッキー、マンゴー味がお薦めである。1箱12バーツ(36円)と手頃な価格にも関わらずタイらしいマンゴーの味が手軽に味わえる。

何はともあれタイに来たら、是非タイでしか買えない日本のお菓子を探してみたらどうだろうか。お宝なお土産になることと思う。

 

日本での限定品

こちらは日本でよく見られる「限定商品」。季節限定に地域限定とさまざま

 

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タイ限定のグリコの『プリッツ』と『ポッキー』。見つけたら即買いですね

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