おしゃれでリーズナブル
フード・トラックに注目

フードトラック

ソンクランを控えた週末。急遽、チェンマイへ飛ぶことになった。どうしても現地入りしなければならない仕事が重なったのだ。

その日、チェンマイの空港へ着いたのは午後8時過ぎだった。空港を出てタクシー乗り場まで移動するだけで額に汗が流れる。暑い。日が暮れているのに、日中の様な暑さだ。一年で一番暑い時期とはいえ、バンコク以上の熱気に思わず足がすくむ。

そして、暑さ以上にびっくりしたのが空気の悪さだ。もしかしたら、この異様な暑さもヘイズと関係あるのだろうか。「ヘイズ」とは、英語で乾いた微粒子の浮遊により視界が悪くなる「煙霧」を意味する。タイの北部ではこの時期、焼畑によるヘイズが毎年のように起きて問題なる。交通渋滞の激しい大都会バンコクの空気より、田舎であるチェンマイの空気が悪いとは皮肉な話だが事実だ。

そして、空気が悪いとは言え、チェンマイの人は夜になると、お決まりの様に野外でビールを飲む。観光客の西洋人たちも同じように野外が好きなようだ。

定宿のゲストハウスの前は駐車場なのだが、ソンクランが近いからかビアガーデンになっている。仕事が終わり部屋に荷物を下ろすと、すぐにビアガーデンへ向かった。熱帯夜、野外で飲むビールはやはり格別だ。氷を入れて飲む生ビール。最初はかなり抵抗があったが、今では氷なしだと逆に物足りない。慣れとは本当に恐ろしいものだ。

そして、そこのビアガーデンには料理を売るフード・トラックが5台ほど集まっている。どれもこれもおしゃれな感じだ。タイのいわゆる屋台とは違う。売っている料理もピザやハンバーガーなどといった洋風のものが多い。そう、ここ数年フード・トラックという販売形態がタイでは人気を呼んでいる。初期投資が安く、通常の店舗と違って家賃も掛らない。そして2人から3人で運営するので身軽だ。だから経営者は若いタイ人の起業家が多い気がする。固定の店舗をもつ前に市場調査を兼ねてフード・トラックに挑戦する人も少なくない。起業家精神が旺盛なタイ人にとって、フード・トラックは新しいビジネスモデルでもあるのだろう。

屋台よりちょっとおしゃれで、お値段は普通のお店より安い。メニュー数は少ないが、その分、店主こだわりの味を気軽に味わうことができる。もし、街角でフード・トラックを見かけたらぜひトライして欲しい。

 

ヘイズでどんより霞む

「ヘイズ」でどんよりと霞むチェンマイ空港

 

生ビール150B肉のサラダ60バーツ

フード・トラックの料理を満喫。生ビールは150バーツ、肉のサラダ60バーツと値段はお手ごろ

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」

商売は決して楽じゃない
だから「危機」を「転機」に

次々とオープンするショッピングモール

バンコク市内には、ショッピング・モールが次々とオープンしています

 

タイは景気が良いのか、悪いのか。果たしてどうなのだろう。政府や金融機関が発表する数字は景気を判断する基準にはなっても、それが全てとは限らない。自動車の販売台数が落ち込んでいても、日本行きの飛行機はタイ人の観光客で満席だったりする。街中では乗用車より高い大型バイクを運転するタイ人の姿も、ちらほら見受けられるようになった。儲かって笑っている人がいれば、損して苦しみ泣いている人もいる。きっといつの世も、どの国でも同じことなのだろう。

さて、こんな話をタイでよく聞く。借りていた店舗の契約更新の時期が来る。すると家賃を倍に上げられた。そして敷金も追加で払わなくてはいけなくなった。とてもじゃないが、事業を続けて行くことができない。泣く泣く事業を撤退せざるを得なかった。そんな話だ。

運もある。景気が良いからとか、悪いとかの問題だけでもない気がする。この国の地主が皆そうだとは思わない。しかし、真綿で首を絞めるような地主もこの国には少なからずいる。タイでは日本と違って、借主の権利など認められないし、保護もされない。これはタイ人同士でも同じだ。

タイで事業に関わって18年目。経営者は孤独だ。決断をすることは苦悩でもある。だが、苦しい時間があってこそ、人が育ち、会社が伸びるのだ。お客様のため、従業員のため、会社のためと思いやってきた事が巡り巡って自分の為になってきた気がする。利己ではなく利他の精神。時には辛く、苦しいかもしれない。それでも自分のためだけに生きることはしない。それは品格のある生き方を身につけることだと思う。いや、そうだと信じてタイで頑張ってきた。しかし、品格より金。それがタイの現実なのだろうか・・・・・・。

実は私も理不尽な家賃の値上げと一向に進まない契約更新に悩まされている。覚悟はしていたが、やはり辛い。しかし、危機は転機でもある。恐がるな。この現実をドキドキしながら突き進んで行こうと思う。成長するチャンスが今、目の前に迫って来ているのだ。

 

高級バイク屋いつもお客が一杯

いつもにぎわっている高級な輸入バイクのお店。景気がいい人はいいのです

 

家賃の値上げに耐えられず撤退したお店

実際に家賃の値上げに耐えられず、撤退したお店。さびしい佇まい

 

 

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早くて安いのがモットー?
タイの車検はお手軽です

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雑な仕事に見えますが、車検を受けた証明になる大事な紙テープなのです

日本の3月と言えば年度末で一区切りつけなくてはならない忙しい月である。学生は進級が控えていたり、また卒業を迎えたりすることだろう。しかし、ここタイは一年で一番長い休みである夏休みを迎える月なのだ。だから日本の7月の様な感じである。なにせ一年で一番暑い時期やってくる。そしてタイ正月とも呼ばれるソンクランも来月には控えている。幼稚園に通う我が家の息子は18日が修了式。夏休みになったら日本へ連れて行ってねと毎日のようにおねだりがはじまった。とにかく夏休みが待ち遠しくてたまらないらしい。

さて、そんな3月だが忘れてはいけない事が一つある。車の車検だ。去年は車検を受けずに陸運局へ行ってしまい出戻りになった。タイの場合は新車を購入してから7年目を迎えると車検を受ける必要がある。逆にいえば車を買ってから6年間は車検を受ける必要がない。だから、つい車検を忘れてしまうのだ。

日本で車検を受けると車種にもよるが、それなりに時間と費用がかかる。しかし、タイの車検はいたって簡単だ。街中にある陸運局認定の民間車検場に車を持ち込む。そして係員に自動車登録証を差し出し車検を受けたい旨を伝えるだけで良い。装備や装置の点検、そして足回り、ブレーキなどの点検のあと排ガスのチェックをすれば検査は完了。最後に車両から車両番号を紙テープに写し取る。なんとも原始的な手法だが、この車両番号を転写した紙テープが実は車検で一番重要なのだ。車検終了証書に、その紙テープが付いていなければ証書として通用しないからだ。

今回の車検は午後の3時過ぎに行ったので待つ必要もなく約30分で終了。空調の効いた待合室で待っているとあっという間に終わる。そして検査の費用はたったの200バーツ(700円)だ。安い。日本の車検の様に部品交換などは全くしてくれない。必要最低限の検査だけなのだ。でも、それで十分じゃないかと思う。

ちなみに車検にかかった時間は30分だったが、事務所から車検場まで行くのに30分、そして車検場から事務所へ戻るのにかかった時間は1時間半。たった30分のために2時間の時間を犠牲にしなければならない。バンコク市内を車で移動するという事はそう言う事なのだ。

学校が夏休みに入るとバンコクの渋滞は幾分緩和される。あぁ早く夏休みよ来てくれ。息子じゃないが夏休みが待ちどおしい。

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たどり着くのもひと苦労
年に一度の入管参り

ビザ延長のスタンプ

今年も、またその日がやってきた。朝8時。自宅から一番近い高架鉄道(BTS)の駅、プロンポン駅へ向かう。噂には聞いていたが、朝の高架鉄道は東京の通勤電車並みの混み具合だ。あまりの混雑にびっくりしながらも隙間を見つけて体を車内へ潜り込ませる。とりあえず終点のモーチット駅まで移動。約30分で着いたが、実はここが最終目的地ではない。モーチット駅からはタクシーに乗り換えてスーンラチャカン(政府合同庁舎)があるジェンワッタナへ向かう。渋滞はしていないが、それでも30分は掛かる距離だった。なにせ合同庁舎の敷地の中が広い。日本の団地が2つから3つは収まるぐらいの広さなのだ。だから、その敷地内で行く先を間違えると、とんでもないことになる。

私が向かったのは入国管理局の庁舎。その日は1年に1度の入国管理局へ出頭する日だったのだ。入国管理局への出頭は業務ビザの更新には欠かせない。ビザ延長のための書類審査と簡単な質疑応答、そして写真撮影が行われる。それに掛かる時間は15分程だろうか。しかし、その順番が来るまでが大変なのだ。私が受け取った待ち番号札は「643番」。その時点で窓口が呼び出している番号は「223番」。約420人待ちだった。最終的に掛かった待ち時間は、おおよそ2時間半。書類の最終確認をして署名をした後は、普段はなかなかできない読書に没頭することができた。毎年のことなので、その辺は心得ている。人によっては、朝方行って終わったのは夕方という人もいる。私は朝方着き、なんとか正午過ぎに入国管理局を後にすることができた。

肝心のビザは延長が認められる予定だが、とりあえず審査中ということで1か月の延長の許可をもらう。正式に1年のビザが下りるのは来月になる。やはりここはタイ。そうすんなりと事は進まないのだ。

タイで外国人が働くには就労ビザに加え労働許可証が必要になる。まずは就労ビザを取得、または延長してから、労働許可を取るか延長する。それが一般的な流れだ。就労ビザは入国管理局。労働許可証は労務省と管轄が違う。それぞれの庁舎へ出向いて手続きが必要になる。ややこしい。そもそも、日本には労働許可証という制度がない。だから日本人の中には就労ビザを取得すればタイで働けると勘違いしている人もいる。注意が必要だ。

さて毎年の入国管理局参り。ここの官舎の中庭が凄い。無意味とも思える空間が広がっている。正直、東京ドームに行ったことはない。だから憶測だが、ドーム2個分ぐらいの無意味な空間が広がっているのだ。もし意味があるとすれば、失業対策だろうか。これだけの敷地内を掃除、維持するには最低でも20人は必要だろうなと、お節介な想像をしてしまう。やっぱりタイはアメージングな国だ。

入管の中庭

ただっ広い入管の中庭。横断するのも大変そうです

入管のビザ部門

ようやくたどり着いた入管のビザ発給部門

 

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旅行の記念にどこで何を買う?
タイ人が選ぶ日本土産あれこれ

旭川雪まつり

氷点下4℃。冬の北海道としては温かいほうだとガイドさんはいう。吐く息が白くなる。タバコを吸っているようだとタイ人らは大はしゃぎ。雪を見るのも、触るのも初めて。そして、氷点下の世界もまた初めてなのだ。

私の会社では勤続5年目のタイ人社員を日本旅行へ連れていくことにしている。春の花見のシーズンの日本も人気だが、やはり冬の北海道に行きたいという希望が一番多い。今年は4人のタイ人社員と2月8日から11日まで北海道旅行を楽しんだ。今回は『札幌雪まつり』と『旭川雪まつり』の2か所の雪まつりを楽しむ、ちょっと贅沢な旅行だった。

ちなみに札幌雪まつりは漢字の「祭り」ではなく、ひらがなで「まつり」と表記するよう実行員会で取り決めされているのだとか。理由は宗教色を排除するためらしい。些細なことかもしれないが、いかにも日本らしい配慮だなと思った。

『旭川雪まつり』は札幌の雪まつりに比べ規模は小さい。しかし、氷の滑り台やスノーモービルで遊ぶスノーバナナなど親子で楽しめるアクティビティが充実している。家族で行くには、札幌の雪まつりより旭川の雪まつりのほうが楽しいかもしれない。何より人が少なく動きやすい。私らもそうだったが、旭山動物園に行ったあと立ち寄るには最適の場所ではないだろうか。

さて、日本旅行の楽しみといえば観光、食事、そしてお買い物である。果たして日本を旅行するタイ人は何をお土産として買っているのか? それをどこで買うのか? 気になる方は多いのではないだろうか?

うちの社員は『ドン・キホーテ』と『イオンモール』でお土産を買うことが多い。ドンキもイオンも免税対応だし、タイ語の案内や店内放送もある。そして何よりタイ人が買いたいと思うものがたくさんあるし安く買えるのだ。まずは何といっても日本のお菓子類。抹茶味やワサビ風味の『キットカット』やチョコレートはもう定番ではないだろうか。そして『カリカリ梅』や駄菓子の『うまい棒』もかなり人気がある。続いて日本のインスタント麺。タイのインスタント麺にはない高級感が受けているようだ。

季節によってはイチゴやブドウなど日本産の果物を抱え込むように買って帰るタイ人を『イオンモール』ではよく見かける。女性だと化粧品やサプリメント、男性だと日本の焼酎やウィスキー。そして『オニツカタイガー』のスポーツシューズも、まだまだお土産アイテムとしては人気のようだ。

タイ人の場合、中国人の様な爆買いをすることは少ない。おむつや粉ミルクにも全く興味がない。食べ物。おいしいもの。珍しいもの。日本製。それがタイ人の日本土産のツボの様な気がする。

 

ドン・キホーテ

インバウンドに力を入れる『ドン・キホーテ』の店頭。訪日外客は平均して日本人の6.5倍のお金を使うそうです

カリカリ梅

カリカリ梅をつくるには、収穫して間もない新鮮な青梅が必須。海外でつくるのは難しいかもしれませんね

 

 

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タイの寒い日は麺に限る!
お気に入りの一杯を探せ

ベトナム麺1杯45B

蒸一さんのお気に入りはベトナム麺。こちらは1杯45バーツなり

新しい年が明けても暑い日が続いていた。例年だと12月と1月は乾期で一番寒くなる時期なのだが・・・・・・。しかし、今週に入って、乾期にはありえない長雨が上がるとタイの気候は急変する。先週まで34℃だった気温が20℃以下まで急に下がったのだ。日本を襲った大寒波に比べれば、それほどの気温ではない。しかし、タイ人にしてみれば堪える寒さだったようだ。街中では夜になると焚火で暖をとる人も見かけた。火事にならなければ良いのだが。余計な心配をしてしまう。実際、地方では乾期の焚火による火災も少なくない。タイ人の場合、火や火事に対する恐怖より、寒さへの恐怖の方が勝るらしい。

さて、日本で寒くなると恋しくなるのは鍋料理だろうか? ここタイでは何だろう? タイスキをはじめ鍋料理は寒くなくても年中食べたくなる。会社のスタッフに聞いてみると、温かい麺類が食べたくなると言う意見が多かった。なるほど。確かに、手軽に温まるには麺類が一番だ。個人的にはベトナム麺が寒い時期には食べたくなる。

タイには色々な麺料理があるが、なかでも、このベトナム麺は結構個性的な麺料理である。タイ語では「クイティアオ・ベトナム」とか「クイジャップ・ユアン」、「ピァーク・セン」と看板に書かれている事が多い。しかし一般的には「クイジャップ」呼ぶことが多い気がする。

このベトナム麺、ルーツはベトナムにあるのだろうが、実はベトナムのフォーとはほぼ別物なのだ。なにせメインの具材はイサーン地方のムーヨーと呼ばれる豚ハムである。これにパクチー、刻みネギ、椎茸、揚げた赤タマネギなどを薬味としてのせてだす店が多い。人によっては玉子を入れる。豚骨と鶏ガラのスープにちょっと、とろみのある麺は日本人にも受ける味だと思う。なにせ唐辛子を自分で入れない限りは辛くない。タイで人気のトムヤム麺と違って辛いのが苦手な人も安心して食べる事ができる麺だ。

ちなみにイサーンのウボンラチャタニ県は、このベトナム麺、クジャップがお土産として一番人気だという。だからウボンラチャタニ県出身の従業員が帰省した後は、賄いでクイジャップが出る事が多い。街中の食堂で食べるクジャップも良いが、賄いのクジャップのほうがやはりおいしく感じる。従業員は「本場の味だから旨いんです」と言う。ベトナム麺の本場はタイのイサーン?

タイのベトナム麺。日本の「中華そば」や「支那そば」みたいな存在なのだろうか。

フードコートのベトナム麺屋

フードコートにもベトナム麺屋は出店しているので、気軽に食べられます

 

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2015年重大ニュースも発表!
大盛り上がりの新年会

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2016年が明けて、早くも2週間余り。今年も会社のスタッフとの楽しい新年会で一年がはじまった。最初はチェンマイ店の新年会。弊社では一番新しい支店だったが、早いもので今年はもう4年目を迎える。現地で働くスタッフたちも絆が深まってきているようだ。今年のチェンマイ店、新年会の目玉は毎年恒例のプレゼント交換だった。このプレゼント交換は各自が決められた予算内でプレゼントを用意し抽選で交換相手を決めるというもの。予想外な人からの、思いがけないプレゼントに会場は大いに盛り上がる。きれいな包装紙で梱包された箱の中からは、なけなしの現金が出てきたかと思えば、意味不明のぬいぐるみが出てきたり。中には避妊具を仕込ませてあるプレゼントもある。予算よりも中身のユニークさを競うのもプレゼント交換の醍醐味なのだろう。

続くバンコクでの新年会では、これまた恒例のベストドレッサー賞が会を盛り上げる。新年会に参加者している人の中で誰が一番お洒落か?それを投票で決めるのだ。優勝者へは会社から金一封やビール2ダースなどといった賞品も贈られる。それを目当てに新年会の当日は仕事を休んでお洒落に精をだすスタッフもいるぐらいだ。気になる優勝者は今年もオカマのアムちゃんだった。

とにかくタイ人は宴会上手というか楽しみ上手だ。些細なことでも盛り上げる不思議なパワーを持っている。

そして、今年の新年会ではタイ人スタッフから2015年、タイの重大ニュースなどの発表もあった。日本のように十大ではなく、多くてせいぜい5つ。しかも、真面目なニュースではなく、ニュース裏側なのが面白い。この発表を聞いていると去年のタイがどうだったというより、タイがどんな国なのか、ちょっとわかる気がする。ちなみに寅次郎のスタッフが選ぶ2015年の重大ニュースは・・・・・・

●バンコク爆弾テロ事件。指名手配された男が手配写真通りの容姿で逮捕された奇妙さ。そして国外逃亡者がいるにもかかわらず、事件から2ヶ月で捜査が打ち切られた異常な結末。

●有名俳優がデング熱で足を切断。足を切断したのは有名俳優のポー・テッサディさん。デング熱の病状が悪化すると足を切断することもあり得ると言う事実が大きな波紋を呼んだ。

●大トカゲが怖くて逮捕された窃盗少年。店舗の裏に20匹ほどの大トカゲがいる飲食店に盗みに入った少年たち。「そちらには大トカゲがいるぞ」の店主の声に逃げ場を失い逮捕。この店は大トカゲが観賞できる店としてマニアに人気だった。

などなど。どれも、これもタイらしいニュースではないだろうか?果たして2016年はどんな年になるのやら。テロなどの大事件が起こらない事を祈るばかりだ。

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見事にベスト・ドレッサー賞を獲得したアムちゃん。セクシーなドレス姿!

 

 

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タイ国民への一風変わった
新年のプレゼント

クリスマスツリー

暑い。タイの12月は通常だと涼しくて過ごしやすい月だ。にもかかわらず今年は一向に涼しくなる気配が感じられない。ちょっと期待外れの日々が続いている。

そんな暑いバンコクだが街中は年末ムードで盛り上がっている。ショッピングモールの前にでっかいクリスマス・ツリーが飾られ記念撮影をする人もいたりする。仏教国であっても関係なし。クリスマスは一つのイベントでありお祭りなのだ。それは日本も一緒だとおもうが・・・・・・。夜になると街中を覆うネオンの明かりの美しさも12月ならではだ。

さて年末といえばタイでも贈り物のシーズンである。日本のお歳暮のような感じで、お世話になった方へ贈り物をする習慣がタイにもある。私の会社にも取引先などから色々なギフトが届けられる。頂いたギフトは小分けにし、福袋に仕立て年末に従業員へプレゼントするのが我が社の定番イベントだ。何がもらえるかは運しだい。一年間頑張っていただいた従業員の皆さんへ感謝の気持ち込めて贈るようにしている。

ところで今年はちょっと変わった2つの新年プレゼントがタイで話題になっている。一つはバンコクの首都圏交通警察署が企画したプレゼント。それはバンコク都内で発生した交通違反に対し1000バーツ以下の罰金であれば100バーツに減額するという特別処置である。新年のプレゼントなので12月22日から1月15日までの限定措置だそうだ。

罰金を減額する警察から国民へのプレゼント。日本では想像もできないだろうが事実である。

そしてもう一つのプレゼント。それは政府から国民へのプレゼントである。タイ政府は12月25日から同月31日までの1週間の物品・サービスの購入費用を最大で1万5000バーツまで個人所得税から控除することを正式に発表したのだ。但しこの控除を受けるには付加価値税の制度登録をしている事業所からの購入に限られ、正式な領収書を発行してもらう必要がある。また酒やビール、煙草などの嗜好品、燃油、自動車や二輪車、船舶などの購入は控除外という細かい条件もついている。それでも、この措置によってタイ国内の個人消費が伸びるのは間違いないだろう。年末というタイミングになかなかのプレゼントである。見方によっては国民への人気稼ぎともとれるが、まんざら悪い傾向ではないと個人的には思うのだ。

従業員への福袋

『寅次郎』の従業員への福袋の中身はバラエティ豊富

 

 

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師走に大活躍する
タイの民間運送サービス

集荷所での手続き

運送サービスの集荷所。12月は次から次に荷物が持ち込まれ大忙しです

12月、ここタイもバタバタする月だ。何かと忙しい。それなのにタイの12月は祭日が多い。今年は12月に入って5日から7日まで3連休だった。休むために仕事をしているのか? それとも仕事をするために休むのか? この国にいると「休むために仕事をしている」、そんな気がしてならない。休みが近付くと仕事に追われる。休みまでには終えなければならない仕事が前倒しになるのだ。12月の連休はある意味、「有難迷惑」なのである。普段でも込み合う官公庁や銀行などは、12月になると激混みになるから堪らない。

なかでも一番混むのはバンコク市内の郵便局だ。12月になるとクリスマスカードやクリスマスプレゼントを出す人でごった返す。タイには宅配便などといった便利なシステムが存在せず一般的な物流は郵便局の小包がメインなのだ。

しかし、実は郵便局以外からタイ国内に荷物を送る方法がある。なんと冷凍物も送れる、いわば「個人版クール宅急便」を仕立てることができるのだ。しかも実は郵便局よりも安い値段で送れて、翌日には届く超特急便でもある。

このサービスを提供しているのは長距離高速バス会社を運営する『サイアム・ファースト』という会社だ。深夜バンコクを出発する地方行きの長距離高速バスに荷物を相乗りさせて運ぶのだ。バンコク市内にある集荷所へ持ち込むと翌日の朝には地方都市の営業所へ着く。しっかりドライアイスを入れれば15時間から20時間は冷凍物も大丈夫。クール宅急便と変わらない感覚で荷物を出すことができる。ただ難点は自宅まで届けてくれないことだ。営業所まで受け取りに行く必要がある。昔の日本の鉄道貨物みたいなシステムだが、さほど不便は感じない。食品だけでなく、書類やバイク、大型家電だって送ることができるから、このサービスは凄い。高速バス会社がはじめた物流サービスは、その迅速さと安さで大きな支持を今、集めている。

ちなみに先週チェンマイへ送った荷物は重さが16キロ。輸送費は110バーツだった。しかし、中に入れ込んだドライアイスの価格は120バーツ。チェンマイまでの輸送費よりドライアイスの値段が高いのもタイらしいと言えばタイらしい話かもしれない。

 

集荷所

 

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伝統行事に見る
「水に流す人々」

カトンの屋台

飛行機の予約が取れない。11月下旬、チェンマイへ出張しようとコンピュータに向かったが、全く空席がない。一体どうしたことかとカレンダーに目を向けてはじめて気が付いた。「そうか、ロイカトンだったかぁ」。タイ人なら誰も忘れることのない行事を、うかつにも私は忘れていたのだ。

今年は11月25日がロイカトンだった。このロイカトンという行事、日本語に訳すと「灯篭流し」になる。そしてロイカトンの起源はというと、かなり昔、13世紀のスコータイ王朝時代だそうだ。かなり伝統のある行事なのである。

当時の王妃が、川から日々受ける恩恵に対して、川の女神プラメー・コンカへ感謝を捧げるために、バナナの葉でハスの花をかたどった灯篭(カトン)をつくり、川に流した(ロイ)のがロイカトンの始まりだそうだ。

現在も毎年陰暦12月(新暦10~11月)の満月の夜になると、タイ全国各地で、ロイカトンが行われる。

そして、このロイカトンの日には街中にカトンを売る屋台がたつ。色鮮やかに花で飾られたカトンの仕込みと販売は大概、主婦や子供たちのサイドビジネスだ。小さなもので1個40バーツ。豪華なものになると200バーツ以上するものもある。水に流すだけのカトンにいくらのお金を掛けるか? それにも個人個人の思いがあるようだ。

もちろんカトンを自分で手作りすると言う人もいる。うちの会社の女性スタッフはこれまでに買った宝くじのハズレ券でカトンを作って流している。これまでの不運を水に流し、新しい運気を貰おうという心づもりなのだろうか? パン屋に勤める友人はパンでカトンを作って毎年流している。パンの灯篭は魚の餌にもなって一挙両得だと笑う。こういった変わった素材のカトンの登場は5年前くらい前からである。

以前は安価な発砲スチロールがカトンとして使われていた。しかし、ロイカトンの日に大量に川から海へ流される発砲スチロールが環境へ悪影響を与えていると問題になったのだ。タイ政府は天然素材を使ったカトンの使用を国民に呼び掛けた。その呼びかけが功を奏し、近年はバナナの葉や紙など、自然の素材を使ったカトンがほとんどである。これは本当に良い事だと思う。

穢れや不運を灯篭に託して水に流すロイカトン。そういえば、日本でも過去のことをとやかく言わず、すべてなかったことにすることを「水に流す」という。タイと日本、やっぱりどこかで繋がっている気がする。

 

ロイカトンが好きな息子

蒸一さんの息子くんも「ロイカトン」を毎年楽しみにしています。

 

ロイカトンと会社のスタッフ

蒸一さんの会社スタッフのみなさん。一堂に集まってカトンを流しました。

 

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