商売は決して楽じゃない
だから「危機」を「転機」に

次々とオープンするショッピングモール

バンコク市内には、ショッピング・モールが次々とオープンしています

 

タイは景気が良いのか、悪いのか。果たしてどうなのだろう。政府や金融機関が発表する数字は景気を判断する基準にはなっても、それが全てとは限らない。自動車の販売台数が落ち込んでいても、日本行きの飛行機はタイ人の観光客で満席だったりする。街中では乗用車より高い大型バイクを運転するタイ人の姿も、ちらほら見受けられるようになった。儲かって笑っている人がいれば、損して苦しみ泣いている人もいる。きっといつの世も、どの国でも同じことなのだろう。

さて、こんな話をタイでよく聞く。借りていた店舗の契約更新の時期が来る。すると家賃を倍に上げられた。そして敷金も追加で払わなくてはいけなくなった。とてもじゃないが、事業を続けて行くことができない。泣く泣く事業を撤退せざるを得なかった。そんな話だ。

運もある。景気が良いからとか、悪いとかの問題だけでもない気がする。この国の地主が皆そうだとは思わない。しかし、真綿で首を絞めるような地主もこの国には少なからずいる。タイでは日本と違って、借主の権利など認められないし、保護もされない。これはタイ人同士でも同じだ。

タイで事業に関わって18年目。経営者は孤独だ。決断をすることは苦悩でもある。だが、苦しい時間があってこそ、人が育ち、会社が伸びるのだ。お客様のため、従業員のため、会社のためと思いやってきた事が巡り巡って自分の為になってきた気がする。利己ではなく利他の精神。時には辛く、苦しいかもしれない。それでも自分のためだけに生きることはしない。それは品格のある生き方を身につけることだと思う。いや、そうだと信じてタイで頑張ってきた。しかし、品格より金。それがタイの現実なのだろうか・・・・・・。

実は私も理不尽な家賃の値上げと一向に進まない契約更新に悩まされている。覚悟はしていたが、やはり辛い。しかし、危機は転機でもある。恐がるな。この現実をドキドキしながら突き進んで行こうと思う。成長するチャンスが今、目の前に迫って来ているのだ。

 

高級バイク屋いつもお客が一杯

いつもにぎわっている高級な輸入バイクのお店。景気がいい人はいいのです

 

家賃の値上げに耐えられず撤退したお店

実際に家賃の値上げに耐えられず、撤退したお店。さびしい佇まい

 

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」