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やはりタイ人は「日本食」が大好き
日本大使公邸での懇談会

網走牛のしゃぶ

7月13日、所用でバンコクの日本大使公邸へ出向いた。網走市主催の食の懇談会が公邸で開催され、その招待を受けていたのだ。
バンコクの日本大使公邸では日本の地方自治体主催の催し事が開催されることが多い。大使公邸内には50畳ほどの舞台を備えた広間が設けられている。立席なら80名は余裕ではいるのではないだろうか? 今回の懇談会も、その広間で行われた。会は午後12時からのスタートだったが、公邸には30分前には着くようにした。なぜなら、大使公邸前に着いても中に入るまでが結構大変なのだ。招待状やパスポートの掲示が必要で、内部との照合に時間が掛ることもある。分厚い高さ4メートルほどの鉄壁が2重に設けられており、その門の開け閉めにも時間が掛るのだ。
ここまで大使公邸の警備が厳重になったのは、あの事件以降だと思う。
今から13年前、北朝鮮からの脱北者10名がタイの日本大使館に駆け込んで韓国への亡命を求めた事件が起きた。通常、脱北者はタイに渡った後は韓国大使館へ向かう。しかし、あの時は警備体制の厳重な韓国大使館ではなく、まさかの日本大使館が駆け込み場所として狙われたのだ。あの事件以降、日本大使館だけでなく、大使公邸や日本人学校までも警備体制が厳重になった記憶がある。現地に住む日本人としては面倒だな、厄介だなと思う。しかし、いつ、どこで、どんなテロが起きるか分からないこの現代。警備や警戒を厳重にすることは不可欠なのだ。
さて、今回参加した網走市の食の懇談会の話題に戻ろうと思う。参加者は40名ほどだった。世界遺産に登録された知床はタイ人にも人気の観光地であり、網走の知名度も高い。だからか、タイ人のバイヤーさんからは、様々な質問が飛び交い、会場は大いに盛り上がった。日本の、そして網走の食材が、ここまでタイ人に注目されているのか。そう思うと日本人として本当に嬉しくなる。
セミナーの後の昼食会では、網走の食材を使った料理が振る舞われた。もう、これは絶品のものばかり。なかでも、タイ人に一番人気だったのが網走和牛のしゃぶしゃぶ。そして、和牛を使った握り寿司だ。この2つはあっという間に参加者のお腹の中へと収まってしまった。
久しぶりの大使公邸。タイ人の日本食に対する色々な思いを耳にし、お腹だけでなく心も満たされた午後だった。

官邸入口・玄関は撮影禁止

この建物が日本大使公邸。入口、玄関は警備上の都合により撮影禁止です

会場内の様子

懇談会の様子。日本、タイ両国の参加者のスピーチからスタートしました

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」

チェンマイ出張の愉しみは
土地ならではの美食にあり!

カオソイ

チェンマイからバンコクまで飛行機で1時間。しかし、空港からバンコク市内の事務所まで昨日は、なんと2時間半も掛かった。空港を出たのが午後6時半。事務所に着いたのは午後9時。空路の移動時間より、陸路の移動時間の方が長いとは・・・・・・。雨季のバンコクの渋滞は半端ないのだ。ひと月に2回はチェンマイへ出張しているが、一番疲れるのが空港から事務所への移動のような気がする。慢性的な渋滞。タクシーの運転手さんのストレスが少しは理解できるようになった。

しかし、チェンマイ出張の時の楽しみもある。それは、やはりチェンマイならではの料理。ところ変われば、もの変わる。チェンマイにもおいしものがたくさんある。なかでも、一番有名で人気があるのが、カオソイと呼ばれる麺料理だ。カオソイとは、直訳するとカオ(米)、ソイ(細く刻む)で米を細かく刻んだものという意味になる。でも、実は全く米は入っていない。小麦粉で作った平べったい中華麺がカレー風味のスープに入っていて、その上には揚げた麺がのっている。華南菜の漬物や玉ねぎ、マナオ汁などの薬味を好みで加えて食べる。茹でた麺と揚げた麺を一緒に味わう、独特の食感が癖になる麺料理だ。ココナッツミルクの甘みがカレーのスパイシーさをやわらげ、日本人にも好まれる麺料理ではないだろうか。

ちなみにカオソイの語源は、この料理を最初に作ったタイ北部の少数民族であるシャン族が、すべての麺料理をカオソイと呼んでいることに由来しているのだとか。

以前、タイ人のスタッフと日本を旅行した際に、焼きそばは、そばと呼ぶのになんで中華麺が入っているのかと聞かれたことがある。彼はてっきり蕎麦が入っているものと思っていたらしい。日本では麺のことを「そば」と表現することがある。日本人には当たり前の焼きそばや中華そばという言葉も外国人にとっては紛らわしい表現なのかもしれない。

それと同じようにカオソイもタイ語を理解する外国人にしてみればヘンテコな名前である。しかし、タイ人にはごく普通の北タイの名物麺料理なのだ。

このカオソイ、バンコクでも食べることができる。でもやっぱり本場のタイ北部で食べるのがお薦めだ。札幌味噌ラーメンが札幌で食べるとおいしいのと同様、名物は本場で味わうのが一番。北タイで食べるカオソイは本当に個性的な味わいで、旅の良い思い出になること間違いなしだと思う。

 

カオソイの薬味

カオソイは、小皿に乗って出てくる薬味を加えて、好みのテイストにアレンジして食べるのが醍醐味です。

 

チェンマイ名物料理のセット

チェンマイ名物料理の盛り合わせ。『チェンマイ・ソーセージ』など、いろいろな味が試せるお得なセット。

 

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」

時代とともに成熟する
タイのビール業界

空港内のバービア

日本への出張ではタイ国際航空に乗ることが多い。その移動中の楽しみといえば、機内食とその前に出されるビールだ。タイ国際航空のキャビンアテンダントはビールをリクエストすると、コップに氷を入れてくれる場合が多い。昔はよく「氷を入れますか?」と聞かれることが多かった。しかし、最近では何も聞かれることなく氷入りのコップでビールが出てくる。完全にタイ人扱いなのだ。素直に喜んでいいのか、ちょっと複雑な気分である。
ただビールに氷を入れて飲むのは好きなほうだ。日本ではありえないだろうが、タイではビールに氷を入れて飲むのが、実は一般的だったりする。ちょっと昔までは冷蔵庫が普及していなく、常温のビールを氷の入ったグラスで飲むのがタイでは普通だった。その名残で今でもタイのビールは濃い目なのだ。
さて、そんなタイのビール市場だが、最近は3つの大きな流れが出てきている。1つ目は低価格ビールの人気沸騰だ。日本の発泡酒と同じような価格を抑えたビールで、とにかく安く飲んで酔いたいという人に支持されている。『アチャ』や『チアーズ』といった銘柄で普通のビールのより3割安めの価格設定になっている。労働者クラス向けのビールという印象がかなり強いビールだ。
2つ目は日本と同じく低カロリービールの登場である。日本ほど色々な種類はないが、カロリー控えめのビールは健康志の高まりもあって存在感が増してきている。実は私も家で飲むときはライトビール派である。しっかりコクもあって、アルコール度数も5度と気持ちよく酔える『サンミゲル・ビール』が一番お薦めだ。
さて、最後の流れは日本ビールの人気が高まっていることだ。10年以上前にアサヒのスーパードライがタイで現地生産されたが、人気はいまいちだった。しかし、日本食の人気が高まるにつれ、「日本食には日本のビール」という流れができたのだろう。今では日本食レストラン以外でもアサヒビールを飲むタイ人を見かけることもある。ハイネケンと同じようなプレミアムビールとしての地位をタイでもアサヒビールは築いている。そんな、アサヒを追い越せとキリンも3年ほど前からタイで現地生産を開始。今ではベトナムからの輸入品であるサッポロとキリン、そして老舗のアサヒと3種類の日本ビールをタイでは楽しむことができる。
日本の本家のビールとはちょっと違った味だが、タイでしか味わえない日系のビール。タイに来たらぜひお試しあれ。

ライトビアも人気

蒸一さんお気に入りの『サンミゲル』のライト(左)と、日本でもおなじみ『シンハー』ブランドのライト

日本のビール

3ブランドの日本ビールがそろい踏み。キリンは『ラガー』ではなく『一番搾り』!

 

 

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日本からも続々参戦!
国際的な食品見本市

日本企業のブース

今年も『タイフェックス』の時期がやってきた。1年に一度開催されるタイ最大級の国際総合食品見本市。タイへの販路拡大を目指す飲食関連企業がアジアをはじめ世界中から集まるイベントだ。この見本市への参加は毎年恒例の行事になっている。

開催される場所は、これも毎年同じでバンコクに隣接するムアントンタニ県の<インパクト・エキスハビジョン・センター>だ。頭が痛いのは、そこまでの移動手段である。バンコクの中心部であるスクンビット地区からは、なかなかタクシーはムアントンタニ県まで向かってくれない。日本と違ってバンコクのタクシーは近距離を何回もこなすのを好む。日本より安いとはいえ初乗り運賃を何回も倒すほうが彼らは儲かるのだ。

ならばどう移動するのが良いのか?以前タイ人に聞くと、BTSとよばれる高架鉄道でモーチット駅まで行き、そこからシャトルバスで向かう方法が一番効率的だと教えてくれた。費用も安い。高架鉄道の運賃は乗る駅に拠るがモーチット駅からのシャトルバスは32バーツだ。ただ乗り合いのために定員になるまで待たされるのと、狭い車内で15分ほど辛抱しなくてはいけないが・・・・・・。

今年も、もちろんこの方法で会場へ向かった。着いたのは昼過ぎ。会場はかなりの人だ。試食や実演があるゾーンはまるで山手線の通勤ラッシュのようで、歩くことさえできない状態になっている。売り込むほうも、それを聞くほうも真剣勝負。新しいもの好きなタイ人のバイヤーは目の色が違う。何か良いもの、変わったもの、ウケるものを仕入れてやろう。こんなに真剣な眼差しのタイ人を目にする機会は、そうあるものではない。

そして、お決まりだが日本のブースへも足を運ぶ。ジェトロさんによると46の日本企業が今年は出店したそうだ。かなりの数である。それだけ多くの日本企業がタイ市場への進出を望んでいることに驚く。そして、多くのタイ人バイヤーたちが日本の出店企業さんと真剣に商談しているのを見ると、やっぱり日本人として嬉しくなる。今年は和牛のコーナーが、かなりの賑わいを見せていた。日本に旅行に行き、日本のお肉のおいしさに気付いたタイ人は多いと思う。

かれこれ会場で3時間。毎年のことながら『タイフェックス』は良い刺激になっている。1年に一度の大人の遠足が今年も終わった。

和牛のブース

和牛のブースは大盛況。いろいろなブランド牛がお目見えしています

インパクト会場

『タイフェス』の会場、<インパクト・エキスハビジョン・センター>

 

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がまだせ、熊本、大分!
支援の輪はタイにも広がる

案内板

その日は、偶然ながらも東京にいた。日本での仕事を片付け、翌日にバンコクへ戻る前夜の4月14日。上野のホテルでテレビを見ながらビールを飲んでいると、テレビに字幕が走った。熊本で大地震発生。しばらくすると、テレビ番組が地震の速報番組に切り替わってしまった。これはただ事ではないぞ。
すぐに手元の携帯電話から実家の鹿児島に電話を掛ける。だが、回線がパンクしているのか繋がらない。ホテルのロビーに降りて、公衆電話から掛け直すと難なく繋がり実家の無事を確認することができた。公衆電話は災害に強い。一般の電話回線や携帯電話より優先的につながると東日本大震災の時に言われていたが本当だったのだ。
翌日バンコクへ戻ると会う人、会う人が日本の地震のことを、そして私の実家のことを心配してくれる。
「熊本が何処かわからないが、日本がまた大変なことになっているぞ。君の実家は大丈夫か?」
最初はその気遣いが嬉しかったが、余りに頻繁に続くと少々疲れる。
「心配して頂きありがとう。もし大丈夫じゃなかったら今ここに居ないから」。
そう答えると、『そうだな』と多くのタイ人は笑って頷いてくれる。
今回の熊本地震が起きた4月14日と15日はソンクラン休暇中で九州にも多くのタイ人観光客が訪れていたようだ。タイの外務省は熊本や大分で地震により足止めを余儀なくされていたタイ人127人を救出し、タイ国際航空の協力のもと福岡より全員を帰国させたと発表している。海外で災害が起きると自国民の安否を確認し援助に向かうのはどの国の政府も同じなのだ。
先週はお付き合いのあるアメリカンスクールからチャリティーの依頼があった。同スクールには日本人の生徒も在籍している。そんな縁から学校をあげて熊本地震の被害者へ義援金を贈るためのチャリティーを開催することになったようだ。
当日はタイの方々だけでなく、現地に住む日本人やアメリカンスクールの関係者が300名以上も駆けつけ会場は熱気に包まれた。タイ人だけでなく世界中の人がここバンコクで日本のことを、熊本のことを思ってくれている。そのことが日本人として本当に嬉しかった。
当日の売り上げに心ばかりの気持ちを加えて4000バーツの義援金をアメリカンスクールに託した。
がまだせ(がんばれ)、熊本。タイでも多くの人が熊本のいち早い復興を祈っている。

チャリティー会場

アメリカンスクールのチャリティ・バザー会場の様子

 

こんな動きもタイで

バンコクの日本人向けのショップのチラシでも熊本応援セール

 

 

 

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タイ人も日本人も心躍る
“限定商品”の魔力

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販売戦略とは分かっていても、季節限定とか数量限定と書かれていると、つい買いたくなる。なかでも日本に出張した際に期間限定のビールなどをコンビニで目にすると、もう迷う暇などない。今買わず、いつ買うのだ! 思わずガッツポーズをしてしまう。日本へ行くのは年間8回もない。そして滞在するのは長くても1週間。そんな日本での期間限定品との対面である。それはもうお宝を見つけた様な気分で、日本へ行った際の楽しみの一つでもあるのだ。

この”何何限定”という言葉、実は日本人だけでなくタイ人も好きな言葉だと思う。タイの市場にも色々な限定品があふれている。中でも限定品の宝庫と言えばコンビニの代表格、セブン・イレブンじゃないだろうか。

今月から発売になったマンゴー牛乳(パスチャライズ果汁牛乳)はタイ人の大好きなマンゴーの品種『モンムアン・オックロン』を使った新商品である。販売期間はこのマンゴーが収穫できる4月から6月までの3カ月間限定。しかも買えるのはセブン・イレブンのみと販売場所も限定なのだ。この商品を製造するのはCP明治乳業。セブン・イレブンの親会社であるCPグループの商品だからこそできる販売戦略だろう。

この他にもカルビーが作る海苔巻風味のさくらえびせん、日清の豚骨カップ・ラーメンなど、セブイ・イレブンでなければ買えないものが色々ある。これらはPB(プライベート・ブランド)という位置づけではない。しっかりと製造者のブランドが表記されているのでセブン・イレブン限定品という位置づけなのだ。ご丁寧にも「オンリー・アット・セブン」と英語での表記まである。

またタイには、タイでしか買えない日系ブランドの商品というのもある。地域限定商品というやつだ。代表格なのが、グリコのポッキー、トムヤムクン味ではないだろうか。元々はグリコがタイ人向けに現地で生産し販売していた商品である。しかし、日本人の間でタイ土産として評判になるや、お土産用の特別パーケージが登場するまでになった。日本での受けも良く、「お土産に買ってきて!」と頼まれることも多いようだ。

ちなみに個人的にはグリコのポッキー、マンゴー味がお薦めである。1箱12バーツ(36円)と手頃な価格にも関わらずタイらしいマンゴーの味が手軽に味わえる。

何はともあれタイに来たら、是非タイでしか買えない日本のお菓子を探してみたらどうだろうか。お宝なお土産になることと思う。

 

日本での限定品

こちらは日本でよく見られる「限定商品」。季節限定に地域限定とさまざま

 

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タイ限定のグリコの『プリッツ』と『ポッキー』。見つけたら即買いですね

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おしゃれでリーズナブル
フード・トラックに注目

フードトラック

ソンクランを控えた週末。急遽、チェンマイへ飛ぶことになった。どうしても現地入りしなければならない仕事が重なったのだ。

その日、チェンマイの空港へ着いたのは午後8時過ぎだった。空港を出てタクシー乗り場まで移動するだけで額に汗が流れる。暑い。日が暮れているのに、日中の様な暑さだ。一年で一番暑い時期とはいえ、バンコク以上の熱気に思わず足がすくむ。

そして、暑さ以上にびっくりしたのが空気の悪さだ。もしかしたら、この異様な暑さもヘイズと関係あるのだろうか。「ヘイズ」とは、英語で乾いた微粒子の浮遊により視界が悪くなる「煙霧」を意味する。タイの北部ではこの時期、焼畑によるヘイズが毎年のように起きて問題なる。交通渋滞の激しい大都会バンコクの空気より、田舎であるチェンマイの空気が悪いとは皮肉な話だが事実だ。

そして、空気が悪いとは言え、チェンマイの人は夜になると、お決まりの様に野外でビールを飲む。観光客の西洋人たちも同じように野外が好きなようだ。

定宿のゲストハウスの前は駐車場なのだが、ソンクランが近いからかビアガーデンになっている。仕事が終わり部屋に荷物を下ろすと、すぐにビアガーデンへ向かった。熱帯夜、野外で飲むビールはやはり格別だ。氷を入れて飲む生ビール。最初はかなり抵抗があったが、今では氷なしだと逆に物足りない。慣れとは本当に恐ろしいものだ。

そして、そこのビアガーデンには料理を売るフード・トラックが5台ほど集まっている。どれもこれもおしゃれな感じだ。タイのいわゆる屋台とは違う。売っている料理もピザやハンバーガーなどといった洋風のものが多い。そう、ここ数年フード・トラックという販売形態がタイでは人気を呼んでいる。初期投資が安く、通常の店舗と違って家賃も掛らない。そして2人から3人で運営するので身軽だ。だから経営者は若いタイ人の起業家が多い気がする。固定の店舗をもつ前に市場調査を兼ねてフード・トラックに挑戦する人も少なくない。起業家精神が旺盛なタイ人にとって、フード・トラックは新しいビジネスモデルでもあるのだろう。

屋台よりちょっとおしゃれで、お値段は普通のお店より安い。メニュー数は少ないが、その分、店主こだわりの味を気軽に味わうことができる。もし、街角でフード・トラックを見かけたらぜひトライして欲しい。

 

ヘイズでどんより霞む

「ヘイズ」でどんよりと霞むチェンマイ空港

 

生ビール150B肉のサラダ60バーツ

フード・トラックの料理を満喫。生ビールは150バーツ、肉のサラダ60バーツと値段はお手ごろ

 

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商売は決して楽じゃない
だから「危機」を「転機」に

次々とオープンするショッピングモール

バンコク市内には、ショッピング・モールが次々とオープンしています

 

タイは景気が良いのか、悪いのか。果たしてどうなのだろう。政府や金融機関が発表する数字は景気を判断する基準にはなっても、それが全てとは限らない。自動車の販売台数が落ち込んでいても、日本行きの飛行機はタイ人の観光客で満席だったりする。街中では乗用車より高い大型バイクを運転するタイ人の姿も、ちらほら見受けられるようになった。儲かって笑っている人がいれば、損して苦しみ泣いている人もいる。きっといつの世も、どの国でも同じことなのだろう。

さて、こんな話をタイでよく聞く。借りていた店舗の契約更新の時期が来る。すると家賃を倍に上げられた。そして敷金も追加で払わなくてはいけなくなった。とてもじゃないが、事業を続けて行くことができない。泣く泣く事業を撤退せざるを得なかった。そんな話だ。

運もある。景気が良いからとか、悪いとかの問題だけでもない気がする。この国の地主が皆そうだとは思わない。しかし、真綿で首を絞めるような地主もこの国には少なからずいる。タイでは日本と違って、借主の権利など認められないし、保護もされない。これはタイ人同士でも同じだ。

タイで事業に関わって18年目。経営者は孤独だ。決断をすることは苦悩でもある。だが、苦しい時間があってこそ、人が育ち、会社が伸びるのだ。お客様のため、従業員のため、会社のためと思いやってきた事が巡り巡って自分の為になってきた気がする。利己ではなく利他の精神。時には辛く、苦しいかもしれない。それでも自分のためだけに生きることはしない。それは品格のある生き方を身につけることだと思う。いや、そうだと信じてタイで頑張ってきた。しかし、品格より金。それがタイの現実なのだろうか・・・・・・。

実は私も理不尽な家賃の値上げと一向に進まない契約更新に悩まされている。覚悟はしていたが、やはり辛い。しかし、危機は転機でもある。恐がるな。この現実をドキドキしながら突き進んで行こうと思う。成長するチャンスが今、目の前に迫って来ているのだ。

 

高級バイク屋いつもお客が一杯

いつもにぎわっている高級な輸入バイクのお店。景気がいい人はいいのです

 

家賃の値上げに耐えられず撤退したお店

実際に家賃の値上げに耐えられず、撤退したお店。さびしい佇まい

 

 

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早くて安いのがモットー?
タイの車検はお手軽です

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雑な仕事に見えますが、車検を受けた証明になる大事な紙テープなのです

日本の3月と言えば年度末で一区切りつけなくてはならない忙しい月である。学生は進級が控えていたり、また卒業を迎えたりすることだろう。しかし、ここタイは一年で一番長い休みである夏休みを迎える月なのだ。だから日本の7月の様な感じである。なにせ一年で一番暑い時期やってくる。そしてタイ正月とも呼ばれるソンクランも来月には控えている。幼稚園に通う我が家の息子は18日が修了式。夏休みになったら日本へ連れて行ってねと毎日のようにおねだりがはじまった。とにかく夏休みが待ち遠しくてたまらないらしい。

さて、そんな3月だが忘れてはいけない事が一つある。車の車検だ。去年は車検を受けずに陸運局へ行ってしまい出戻りになった。タイの場合は新車を購入してから7年目を迎えると車検を受ける必要がある。逆にいえば車を買ってから6年間は車検を受ける必要がない。だから、つい車検を忘れてしまうのだ。

日本で車検を受けると車種にもよるが、それなりに時間と費用がかかる。しかし、タイの車検はいたって簡単だ。街中にある陸運局認定の民間車検場に車を持ち込む。そして係員に自動車登録証を差し出し車検を受けたい旨を伝えるだけで良い。装備や装置の点検、そして足回り、ブレーキなどの点検のあと排ガスのチェックをすれば検査は完了。最後に車両から車両番号を紙テープに写し取る。なんとも原始的な手法だが、この車両番号を転写した紙テープが実は車検で一番重要なのだ。車検終了証書に、その紙テープが付いていなければ証書として通用しないからだ。

今回の車検は午後の3時過ぎに行ったので待つ必要もなく約30分で終了。空調の効いた待合室で待っているとあっという間に終わる。そして検査の費用はたったの200バーツ(700円)だ。安い。日本の車検の様に部品交換などは全くしてくれない。必要最低限の検査だけなのだ。でも、それで十分じゃないかと思う。

ちなみに車検にかかった時間は30分だったが、事務所から車検場まで行くのに30分、そして車検場から事務所へ戻るのにかかった時間は1時間半。たった30分のために2時間の時間を犠牲にしなければならない。バンコク市内を車で移動するという事はそう言う事なのだ。

学校が夏休みに入るとバンコクの渋滞は幾分緩和される。あぁ早く夏休みよ来てくれ。息子じゃないが夏休みが待ちどおしい。

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たどり着くのもひと苦労
年に一度の入管参り

ビザ延長のスタンプ

今年も、またその日がやってきた。朝8時。自宅から一番近い高架鉄道(BTS)の駅、プロンポン駅へ向かう。噂には聞いていたが、朝の高架鉄道は東京の通勤電車並みの混み具合だ。あまりの混雑にびっくりしながらも隙間を見つけて体を車内へ潜り込ませる。とりあえず終点のモーチット駅まで移動。約30分で着いたが、実はここが最終目的地ではない。モーチット駅からはタクシーに乗り換えてスーンラチャカン(政府合同庁舎)があるジェンワッタナへ向かう。渋滞はしていないが、それでも30分は掛かる距離だった。なにせ合同庁舎の敷地の中が広い。日本の団地が2つから3つは収まるぐらいの広さなのだ。だから、その敷地内で行く先を間違えると、とんでもないことになる。

私が向かったのは入国管理局の庁舎。その日は1年に1度の入国管理局へ出頭する日だったのだ。入国管理局への出頭は業務ビザの更新には欠かせない。ビザ延長のための書類審査と簡単な質疑応答、そして写真撮影が行われる。それに掛かる時間は15分程だろうか。しかし、その順番が来るまでが大変なのだ。私が受け取った待ち番号札は「643番」。その時点で窓口が呼び出している番号は「223番」。約420人待ちだった。最終的に掛かった待ち時間は、おおよそ2時間半。書類の最終確認をして署名をした後は、普段はなかなかできない読書に没頭することができた。毎年のことなので、その辺は心得ている。人によっては、朝方行って終わったのは夕方という人もいる。私は朝方着き、なんとか正午過ぎに入国管理局を後にすることができた。

肝心のビザは延長が認められる予定だが、とりあえず審査中ということで1か月の延長の許可をもらう。正式に1年のビザが下りるのは来月になる。やはりここはタイ。そうすんなりと事は進まないのだ。

タイで外国人が働くには就労ビザに加え労働許可証が必要になる。まずは就労ビザを取得、または延長してから、労働許可を取るか延長する。それが一般的な流れだ。就労ビザは入国管理局。労働許可証は労務省と管轄が違う。それぞれの庁舎へ出向いて手続きが必要になる。ややこしい。そもそも、日本には労働許可証という制度がない。だから日本人の中には就労ビザを取得すればタイで働けると勘違いしている人もいる。注意が必要だ。

さて毎年の入国管理局参り。ここの官舎の中庭が凄い。無意味とも思える空間が広がっている。正直、東京ドームに行ったことはない。だから憶測だが、ドーム2個分ぐらいの無意味な空間が広がっているのだ。もし意味があるとすれば、失業対策だろうか。これだけの敷地内を掃除、維持するには最低でも20人は必要だろうなと、お節介な想像をしてしまう。やっぱりタイはアメージングな国だ。

入管の中庭

ただっ広い入管の中庭。横断するのも大変そうです

入管のビザ部門

ようやくたどり着いた入管のビザ発給部門

 

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