1月中旬、バンコクから成田へ向かうデルタ航空は満席だった。そして帰りの成田からバンコクもほぼ満席。どちらのフライトも日本人よりタイ人の乗客が多い感じだった。しかし席の過半数を占めるのはデルタ航空らしくアメリカ人の乗客である。
タイのテレビは反政府デモの影響でタイへの観光客が激減と報道している。そして観光業界の損益、損害は計り知れないとも・・・・・・。
しかし、バンコクからのフライトも、そしてバンコクへのフライトも満員御礼状態だった。たまたまだったのかもしれない。
隣り合わせになったアメリカ人の初老夫婦はバンコクへ着いたら、そのままパタヤへ向かうという。毎年、海岸沿いのリゾートホテルで1か月程のんびり過ごすのが恒例なのだとか。反政府デモのことはあまり気にならないようだ。
飛行機を降りると深夜にも関わらずトランジットカウンターへ向かう若者も多い。明日の朝一番の便でプーケットやチェンマイを目指すのだろうか?
反政府デモのお陰でタイの地方へと観光客が流れているのは事実のようだ。バンコクで落ちる予定だったお金がタイの地方へ回る。
実際にチェンマイ出張の際に使う馴染みのホテルは今年に入ってから満室が続いているらしい。
タイの地方都市は反政府デモの影響で「漁夫の利」の状態なのだろう。
いや地方都市だけではない。バンコク都内でも反政府デモ・バブルは起きている。反政府デモ隊が都内の主要交差点を封鎖したことにより、高架鉄道や地下鉄は流れ込んでくる乗客をさばくため、臨時便や車両を増やして対応している。新聞によると通常の1割以上の増収だとか。
またデモ周辺の飲食店はデモ参加者で大賑いとも聞く。決して悪いことばかりではないのだ。
損をする人がいれば、得をする人も必ずいる。いつの世も塞翁が馬なのだろう。
果たしてタイの反政府デモは何時まで続くのか。2月2日の選挙は予定通り実施されるらしい。早く落とし所が見つかれば良いのだが・・・・・・。
中村蒸一 Profile
タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。
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