コラム01」カテゴリーアーカイブ

タイでも食卓の定番
玉子にまつわるあれこれ

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ある程度、保存が効いて、価格が安い。それでいて使い勝手のいい食材。それはやっぱり玉子だろうか。タイでも玉子は食卓の必需品である。そして玉子を使った料理がタイには多い。なかでも私が一番好きな玉子料理といえば『ヤム・カイダーオ』かもしれない。簡単に日本語訳すると「目玉焼きの和えもの」だろうか。
この料理を最初に食べたのはイサーン・ノンカイ県の片田舎だった。今から17年前のことである。私は民間教育援護基金メコン基金の一員としてタイへ来ていた。当時何かと私に世話をしてくれたラチャニー先生は、夕方男性陣がビールを飲み始めると、よく『ヤム・カイダーオ』を作ってくれた。目玉焼きを細切りにした玉葱とタイの香草で甘辛く、そしてマナオ(ライム)で酸味を利かせて和えるだけのお手軽料理である。これが氷を浮かべたタイのビールに良く合うのだ。
何のお肉も入っていない。ただ目玉焼きと身近にある野菜を和えただけ。そんなシンプルな料理だが、マナオの酸味と唐辛子の辛さが微妙に目玉焼きの黄身と融和して何とも言えない味を醸し出してくれるのだ。何も高い食材を使った評判のお店で食べることだけがグルメじゃないと、この時私は悟ったのだった。
さてタイでは鶏の玉子以外に家鴨の玉子も多くのお店で売られている。鶏の玉子は赤茶色、家鴨の玉子は白色なのだ。そして鶏の玉子より家鴨の玉子のほうが値段が高い。そしてピンクに着色された玉子も時に見かける。これはピータンで中華系のタイレストランなどでは店頭に並べてある事も多い。とにかくタイの玉子は色によってしっかりと区別されているのである。日本は白色と赤茶の玉子が鶏の玉子として混在しているがタイは不思議なぐらいきちんと分かれているのだ。
そして、よく冗談で議論される「玉子が先か? 鶏が先か?」のあの話もタイでは鶏が先である。これは誰に聞いても同じなのだ。なぜなら日本語の50音「あいうえお」にあたるタイの「コーカイ」は鶏からはじまって次が玉子なのである。だからなのだ。
タイの玉子事情がわかると、ちょっとばかりタイ語の世界が見えてくるかもしれない。

 

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中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。
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インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」

クーデターがタイにもたらすものは
いったい何なのか?

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タイに来てから2度目のクーデターが起きた。戒厳令が出されて3日目。驚きよりも、安堵の思いの方が強かった気がする。結局タイの場合はこうなるのか。とうとう行き着くところまで行き着いたのだな。そう思わせてくれるクーデターだった。

そしてクーデターから6日間続いた午後10時から翌朝5時までの夜間外出禁止令。これは正直、飲食業を営む身には堪えた。当然ながら団体予約のほとんどがキャンセルである。従業員の安全確保の為にも営業時間を短縮して対応するが、現場はやはり混乱した。

4年ほど前のタクシン派デモ制圧の後に出された夜間外出禁止令の時は、外出禁止の必然性があったような気がする。セントラル・ワールド、テレビ局、銀行などに火が放たれ、殺気立った雰囲気が街中に漂っていた。しかし、あの時はクーデターではなかった。

確か非常事態宣言の延長に夜間外出禁止令があった記憶がある。今回のクーデターによる夜間外出禁止令は、あまり危機感を感じない。どことなく緩いかんじがする。外出禁止時間目前に家路を急ぐ人々の顔は明るい。普段より早く自宅へ戻れるのは大人でも嬉しいものなのだろう。

果たして、これからタイの政情はどうなるのか。悪夢は繰り返されるのだろうか。それとも雨降って地固まるの如く好転するのか。こればかりは誰も分からない。

今回のクーデターに対して日本政府は批判的な立場だった。確かに日本の民主主義からしたらタイのクーデターは容認しがたいだろう。しかし、軍政が発した「民主的権利の>表現方法がタイは諸外国とは違う」の言葉は妙に納得させられた。日本の正義が必ずしも世界の正義とは限らない。タイにはタイの民主主義がある。きっとそうなのだと思う。

今回の夜間外出禁止令によって家族の愛と絆が深まったというタイ人の声も聞く。テレビは静止画像。歓楽街へ飲みに行く事も出来ない。原則5人以上の集会も禁止されている。夜間外出禁止令によるベビーブームがきっと起きるぞと冗談を言う人もいる。どんな時も生きることにポジティブでいられる。これこそタイ人気質なのだろうか。

夜間外出禁止令も決して悪いことばかりではないようだ。

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※画像はWebサイト『ニュースクリップ』より転載。

 

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インラック首相の失職により
タイの政治状況は新たな局面に!

外務省 海外安全ホームページ(タイ): http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=7#ad-image-0

在タイ日本国大使館ホームページ: http://www.th.emb-japan.go.jp/index.htm

 
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タイ人の誰もが予測していた結果だったのではないだろうか。5月7日、とうとうその日が来たのである。
タイの憲法裁判所はインラック首相を含む閣僚9名を失職とする判決を下した。この判決で2年9か月に渡ったインラック政権は崩壊することになった。
離任の記者会見で首相は「選挙で選ばれた首相として、在任中の2年9か月と2日、誇りを持って職務に取り組んだ」「今後も常に国民の皆さんと共にいる」などと述べている。政権に対する未練や反政府派に対する怒りは全く感じられず、逆に潔さだけが印象に残った記者会見だった。これも、こうなる結果を予測していたからなのだろう。
今回の憲法違反の判決は政権の人事における職権濫用を問うものだった。タクシン元首相派である与党『プア・タイ』は判決が出た日に次の様な声明を出している。
「憲法裁判所の判決は違憲であり、民主政体の破壊を目指す『新たな形のクーデター』の一環である」
タイの憲法裁判所はタクシン派と反タクシン派の抗争が本格化した2006年以降、一貫してタクシン派に不利な判決を下し続けている。今回もその流れは変わる事がなかった。
現在は暫定政権がおかれているタイ政府だが、今後はどんな展開になるか見通しは立っていない。
そして一時勢力を弱めていた反政府派のデモは5月7日以降、以前のような勢いを取り戻しつつある。デモ隊の拠点がこれまでのルンピニ公園から主要テレビ局、タイ首相府近くへと移った。そして<セントラル・ワールド>の前には特設のステージまで設けられている。
今のところバンコク都内に目立った混乱は見うけられない。街中の商店や企業は通常通り営業している。しかし、一部で爆弾の爆破騒ぎが起きている。不穏な動きが全くないわけではない。バンコクの雰囲気が悪い方向へ向きつつあるのは事実だ。
今後タイの政治はどうなるのか。タイに住む日本人の多くは不安より疲れを感じている気がする。

◆写真はwww.thaigov.go.thより転載。

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ソンクランに思う
タイ人は「親水の民」

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4月13日から15日はタイ正月「ソンクラン」だった。チェンマイやパタヤなどの観光地は多くの観光客で賑わうがバンコクは違う。渋滞がない。タクシーが走っていない。スーパーに普段はあるはずの商品がない。とにかくないものばかりなのだ。

それでも普段通りに仕事をしている人もいる。バスもとりあえず走っていた。私もここぞとばかり事務所に籠って仕事をしたのである。

そんなソンクラン初日、13日の午後のことだった。スクンビット界隈ではザーッとかなり激しい雨が降った。これは恵みの雨だ。私はそう思った。雨が降れば、もう水掛けもやらないだろう。

しかし、そんな私の思いというか、期待はまんまと外れたのである。雨が降っているのに無邪気に水掛けを楽しむ人がまだ道路沿いにはわんさかいた。濡れること、濡らすことより水で遊ぶのがタイ人は楽しいのだろう。雨が降ろうが、そんなことはお構いなしなのだ。

1歳半になる息子は一日に3回は水浴びをする。しかも水浴びが大好きなようで、風呂場からは喜々とした歓声が毎回聞こえてくる。「暑い国だから」、そんな理由だけじゃない気がする。

下川裕治氏がある雑誌に寄稿していた。タイの人は親水の人々だと。なるほどと思った。

屋台で働く人たちはスコールが襲ってきても悠然としている。雨に濡れても不愉快な顔をすることはない。それどころか瞳の奥を輝かせながら、ものを片づけはじめる。

雨は、水は、街の汚れを洗い流すだけではない。目の前の淀んだ空気も洗い流してくれている。

そいえばタイ語で「思いやり」の事を「ナム・チャイ」という。直訳すると「水の心」である。

あって当たり前。でもなくては人が生きていけない。そんな水の様な心を「思いやり」という言葉に落としこむタイ人。素敵だと思う。やっぱりタイ人は親水の民なのだ。

雨のバンコク

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タイのお正月がやって来た!
「ソンクラン」を楽しむための心得とは?

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暑い。車の温度計に目をやると外気は39度。しかし湿気がないから日本の夏の様な不快感はない。ちょっと汗をかいてもバイクに跨り路地中を走るとすぐに汗も引く。日差しはきついが、体を横切る風は案外心地好い。

4月のタイは暑期の真最中。タイらしい季節の到来だ。学校も長い夏休み休暇に入る。

そして4月と言えばタイ正月と呼ばれるソンクランがやってくる。4月の13日から15日の3日間がソンクランで祭日となる。しかし多くの会社がソンクランに前後して5日から1週間休む。地方からバンコクへ出稼ぎに来ている人達はソンクランになると実家へと帰る。ソンクランはタイ人にとって日本のお盆と正月を一緒にしたぐらい大事な国民行事なのだ。

このソンクラン、別名水掛け祭りとも呼ばれている。本来のソンクランは仏像へ水を掛けてほこりを落とし清める儀式である。今でもその儀式はあちらこちらで目にすることができる。日本の灌仏会とルーツは同じなのではないだろうか。日本のお寺では釈迦の誕生日である4月8日に仏像に柄杓で甘茶を掛けて祝う習慣があったと記憶している。

そんな儀式がどうしてこうなったのか。祭り好きなタイ人の気質なのか。ソンクランになると沿道ではバケツや水鉄砲を使って水掛け合戦が繰り広げられる。外国人だろがお構いなし。まさに無礼講のお祭りなのである。

この水掛け合戦を楽しみにソンクランの時期を狙ってタイを訪れる旅行者も少なくない。しかし現地に住む多くの日本人は日本へ一時帰国したり近隣諸国へ旅行に出かける。まさに水から逃れる為の国外脱出だ。最初は楽しかったソンクランの水掛けも2年目、3年目となると「もう、うんざり」というのが現地に住む日本人の本音なのかもしれない。ソンクランの時に携帯電話やデジカメに水を掛けられて駄目にしてしまったという嘆きの声もよく聞く。

そしてもっと気をつけなければいけないのがエアコンである。水を掛けられ濡れたままエアコンの効いた場所に入る。タイの空調施設は日本以上に冷えていて風邪をひくこと間違いなし。ソンクランになると体調を崩すタイ人は本当に多い。その一番の原因が濡れたままの服でエアコンの部屋なのである。

どうかソンクラン期間中にタイを訪れる方は防水対策と沢山の着替えをお忘れなく! そして挨拶は「サワディー・ピーマイ!(新年明けましておめでとうございます)」と元気よく行きましょう。

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これは便利! 思わず感動した
タイならではのサービス

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日本で日本語の分かるタイ人の社員と路線バスに乗った。バス停に時刻表がある。そしてほぼ時刻表通りにバスがやってくる。タイでは考えられないと彼らはまず驚く。

そしてバスの車内では次の停車駅を案内してくれる。急停車にご注意下さい。お忘れ物にご注意下さい。そんなアナウンスも流れてくる。日本のバスの心配りに彼らは再度驚くのだ。

中でも彼らが一番驚いたのは「ご乗車お疲れ様でした。次は終点・・・・・・」というアナウンスだった。見ず知らずの人にまでねぎらいの言葉を掛けてくれる日本のバス。日本人には聞き慣れた言葉でも、タイ人には驚きの言葉だったに違いない。

日本はサービスが良い。いや良すぎる。路線バスに乗るだけで感動してもらえたのは嬉しいというよりびっくりだった。

しかし、その逆もある。タイにはタイなりのサービス精神がある。それに私が感動することもあるのだ。

先週、陸運局へ出かけてきた。1年に1度、自動車やバイクを所有する人は車両税を納めなくてはならない。

なんとバンコクの陸運局ではドライブ・スルーで車に乗ったまま納税することが出来る。ファースト・フード店でハンバーガーを買う感覚で納税が終わるのだ。しかも予想していたより掛る時間は短い。今回は約15分足らずで納税が終わり無事に徴収票を貰って車のフロントガラスに張る事が出来た。

実は陸運局だけでなく水道局の一部でもドライブ・スルーで水道代が払える。しかも両局とも朝7時半から受け付けているので、会社に行く途中に立ち寄ることも可能なのだ。

ドライブ・スルーは車から降りなくてもいい。駐車場を探す必要もない。とにかくサバイ(楽)でサドゥアック(便利)なシステムである。ファースト・フード店だけでなく役所にまでドライブ・スルーが浸透するタイ。これぞタイ人のサービス精神と日本人の私はびっくりしたのだ。

「役所イコールサービスが悪い」、決してそうでもないのがバンコクの役所なのである。

面倒だと足が遠のく。便利にしてどんどん来てもらおう。そんな深読みをするのは私が日本人だからだろうか?

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+ こちらはタクシー専用の「ドライブ・スルー」窓口

 

 

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大英帝国になれなかった
「微笑みの国」の秘密

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朝日新聞といえば天声人語である。大学受験に有利だと聞いて高校生の時はここを欠かさずに読んでいた。その習慣が社会人になった今も抜けきれずにいる。しかし、まんざら悪い事でもない。

先週の天声人語が面白かった。

「『日の沈まず』と形容された大英帝国はなぜできたか。珍説を聞いたことがある。イギリスという国は女性が何とも魅力に乏しいし、料理がまずい。だから男はみんな国の外に出て行ってしまう。それで大英帝国はできたのだと」

天声人語からの引用である。大英帝国の珍説はどうでもよかった。書いてあることが全くタイとは正反対なので思わず噴き出しそうになった。

微笑みの国であるタイは女性が魅力的で美しい。だから世界中から男性が集まってくる。そして料理がおいしいので住みついてしまう人も居るほどだ。

何を隠そう私もその一人である。

タイ人が帝国を築けなかった理由は大英帝国の逆説にある。そう考えるととても愉快だし、説得力があって面白い。

さて、女性はともかくタイ料理は確かにおいしい。タイ料理が大好きだという日本人は多い。日本人の口にもあう。だからタイを定年後のロングスティ先に選ぶ日本人が増えてきている。そんなタイ料理になくてはならないもの。欠かせないものが何かご存じだろうか?

ソンタムやトムヤムクンにも必ずいれるもの。それは味の素である。「ポンチュロット」(化学調味料)という呼び方もあるが、タイ人の多くは「アジノモト」と呼ぶ。それぐらい親しまれているし、タイ料理に使われているのだ。どんな田舎に行っても味の素の小袋がない家庭はない。恐るべし日本の調味料、アジノモトなのである。もちろん最近は化学調味料を控えようという声もチラホラ聞こえてくる。それでもアジノモトは屋台でもレストランでも威勢堂々と鎮座している。

なぜタイ料理が日本人の口に合うのか?  米や麺を食べるという食文化の相似。新鮮な野菜や刺激的な香辛料。しかし、その裏に日本生まれの魔法の調味料の存在があることを忘れてはいけない。

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タイにいる限り避けては通れない
憂鬱な2月がやって来た

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+ ビザの更新スタンプと再入国許可書

 

2月は疲れる。当たり前のことながら2月は普段の月より日数が少ない。だから、どうしても仕事が前倒しになる。自営業者にとって月末の3日間というのは本当に侮れない。

しかし、それ以上に心重たいのが滞在査証と労働許可証の更新が2月だということだ。

たまたま最初に査証を申請したのが2月だった。これがそもそもの間違いだったのである。ただでさえ忙しい2月に本来の業務以外の仕事がごっそりとやって来る。だから2月は他の月以上に疲れるのだ。

タイで働くにはまず就労者としての滞在査証を取得する必要がある。ビジネスビザ、時には略してBビザとも呼ばれる。この査証は基本的に1年ごとに更新が必要で、かつ延長しなければならない。

この更新の際に必要な書類が実に大変なのだ。タイで働き始めた16年ほど前は、いとも簡単に更新が可能だったのに・・・・・・。

しかし、ここ数年は不法就労者が増えている事もあって審査は年が変わるごとに厳しくなってきている。必要な書類もどんどん増えてきているのだ。

会社の登記簿・謄本、所在地証明、収支決算書、納税一覧証書、従業員一覧表、社会保険納付書など会社の経理に関わる書類がほぼ全部必要。登記簿は複写ではなく原本ではなくてはいけないなど細かい決まり事もある。

そして個人的なものでは医者による健康診断書も必要である。しかも血液検査が義務づけられているのだ。

また、会社の住所が確認できる写真、会社の建物全体が確認できる写真も用意しなければならない。入管が立ち入り検査に行く際に辿り着きやすいいよう提出が義務付けられている。実は、それでもまだ終わりではない。

本人が自分の会社で雇用している従業員と一緒に働いている写真も5枚ほど用意しなければならない。そしてお決まりの顔が写った証明写真も2枚用意する必要がある。

あぁ、こう書いているだけでも気が重たくなる。不正をする人が多いから審査を厳しくしなくてはならない。その理屈も分かる。でも、自分らで自分らの仕事を増やしているだけじゃないのか。そう思うと、ちょっと入管の職員が気の毒でもある。

基本は不正ありき。これがタイの入国管理審査の基準なのだ。

なにはともあれ今年も査証と労働許可証の更新が無事に終わった。極寒の日の翌日に春の風を体全体に受けたような爽快感を今味わっている。

 

 

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タイ人の心を動かすイベント
大人気の『さっぽろ雪まつり』へ

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+ 雪まつり最後の夜。そこではフィナーレの式典が行われていた

 

日本の冬の風物詩といえば『さっぽろ雪まつり』だ。1950年にはじまった雪まつりは今年で65回目を迎える。いまや歴史と伝統を感じるこの祭りに実はタイも大きく関与しているのをご存じだろうか。

『さっぽろ雪まつり』会場内で行われる国際雪像コンクールにタイチームは1974年から参加を開始。その後、参加を取りやめた年も何年かあったようだ。

そんなタイチームが雪まつりで注目を浴びるようになったのは2000年に入ってからのことである。これまで準優勝止まりだったタイチーム。しかし2008年から2010年まで3年連続で雪像コンクール優勝を獲得。雪に全く縁のない国の人がまこと器用に雪像を彫り上げる。その姿は会場に足を運んだ多くの人たちの感動を誘った。前代未聞の快挙は日本でもかなり話題になったようだ。

そしてこのビッグ・ニュースはタイでも大きく報道され「さっぽろ雪まつり」が多くのタイ人に知れ渡るきっかけになったのは間違いない。

2012年の冬からバンコクと札幌間にタイ国際航空の定期便が就航。2013年の秋からは週3便だったフライトがデイリー就航へとなっている。

いまや「さっぽろ雪まつり」だけでなく北海道はタイ人に人気の日本を代表する観光地なのだ。

さて今年も『さっぽろ雪まつり』にタイ人スタッフと参加してきた。これまで5回は雪まつりに参加している。しかし今年のお目当ては雪まつり自体ではなかった。

雪像大破壊。

雪まつりが終わった翌日に行われる雪像の解体式に参加してきたのだ。

午前8時。雪像作りに協力した陸上自衛隊と大会実行委員会の関係者が雪像の前に整列。雪像に清酒をたむけ、一同で敬礼を終えると重機が雪像へ向かう。

「どさっ、どさっ・・・・・・どっ、どっ、どぉ」。

重苦しくも乾いた音が会場内を包む。

「あぁ・・・・・・っ」

タイ人の口からも、日本人の口からも、こぼれ出た言葉はこの一言だけだった。驚き、動揺、そして何とも言えない儚さと寂しさ。

解体された雪像の雪は春まで大通公園で雪山になって過ごすらしい。

帰り際、雪山に向かってタイ人と一緒に手を合わせる。

墓じゃないのだから・・・・・・。

でも手を合わせたくなる何かが雪山にはあった。

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+ 解体式に臨む陸上自衛隊の隊員の方々

 

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+ いよいよ重機のスコップが雪像へ向かう

 

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+ だんだんと雪像が雪山へと変わっていく

 

 

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長引くデモにもくじけない!
「漁夫の利」をつかむ人々

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1月中旬、バンコクから成田へ向かうデルタ航空は満席だった。そして帰りの成田からバンコクもほぼ満席。どちらのフライトも日本人よりタイ人の乗客が多い感じだった。しかし席の過半数を占めるのはデルタ航空らしくアメリカ人の乗客である。

タイのテレビは反政府デモの影響でタイへの観光客が激減と報道している。そして観光業界の損益、損害は計り知れないとも・・・・・・。

しかし、バンコクからのフライトも、そしてバンコクへのフライトも満員御礼状態だった。たまたまだったのかもしれない。

隣り合わせになったアメリカ人の初老夫婦はバンコクへ着いたら、そのままパタヤへ向かうという。毎年、海岸沿いのリゾートホテルで1か月程のんびり過ごすのが恒例なのだとか。反政府デモのことはあまり気にならないようだ。

飛行機を降りると深夜にも関わらずトランジットカウンターへ向かう若者も多い。明日の朝一番の便でプーケットやチェンマイを目指すのだろうか?

反政府デモのお陰でタイの地方へと観光客が流れているのは事実のようだ。バンコクで落ちる予定だったお金がタイの地方へ回る。

実際にチェンマイ出張の際に使う馴染みのホテルは今年に入ってから満室が続いているらしい。
タイの地方都市は反政府デモの影響で「漁夫の利」の状態なのだろう。

いや地方都市だけではない。バンコク都内でも反政府デモ・バブルは起きている。反政府デモ隊が都内の主要交差点を封鎖したことにより、高架鉄道や地下鉄は流れ込んでくる乗客をさばくため、臨時便や車両を増やして対応している。新聞によると通常の1割以上の増収だとか。

またデモ周辺の飲食店はデモ参加者で大賑いとも聞く。決して悪いことばかりではないのだ。
損をする人がいれば、得をする人も必ずいる。いつの世も塞翁が馬なのだろう。
果たしてタイの反政府デモは何時まで続くのか。2月2日の選挙は予定通り実施されるらしい。早く落とし所が見つかれば良いのだが・・・・・・。

 

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