呑み助にはつらい4日間?
「禁酒日」は神聖な日

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今年は7月30日が「三宝節」、そして翌日の31日が「入安居」とよばれるカオパンサーだった。三宝節とは旧暦8月の満月の日に仏陀が悟りを開いた日である。悟りを開いた仏陀が弟子たちを集め、「仏」「法」「僧」の三宝を説いたことから三宝節と呼ばれタイでは祭日となる。翌日の入安居は僧侶がこの日から3カ月間修行に籠る最初の日のことだ。祭日ではないが、仏教徒にとっては神聖な日に違いない。

そしてこの2日間はタイ国全土で酒類の販売が法律で禁止される。

「えっ、何?タイには禁酒日なんてあるのかよ?」

自分も確かにそう思った。はじめてタイに駐在した日本人の誰もが驚くのがタイの禁酒日だろう。特に酒好きには辛い。中にはたまたまタイの禁酒日に観光に来て酒が買えなくて、飲めなくてがっかりしたという旅行者もいるかもしれない。

実はこの2日間以外に仏教関連の禁酒日がタイにはあと2日間存在する(つまり合計すると年間4日)。そして仏教関連以外に不定期に訪れるのが選挙前日と当日の禁酒日だ。

選挙に関する禁酒日はお酒による収賄を防ぐのが一番の目的らしい。しかし、人によってはお酒に酔って正確な投票判断ができなくなるのを防ぐためだという人もいる。

日本人にしてみれば選挙の前日と当日が禁酒日とは全く信じがたい話だろう。ましてや選挙権のない外国人なのに酒類の購入が禁止されるのは本当に迷惑な法律でもある。

もし日本で選挙の前日と当日を禁酒日にしたら酒造業界や飲食業界から猛烈な反発運動が起こるに違いない。

いずれにしても、ここはタイなのである。郷に入っては郷に従え。タイに住む以上はタイの法律を守らなければならない。

しかし、禁酒日といえども厳密にお酒を飲む事を禁止しているわけではない。お酒の販売を禁止しているのである。刑罰もお酒を販売した者には科されるが買った者が処罰されることはない。つまり、お酒類は禁酒日の前までに買って置き、自宅でひっそり飲む分には全く問題ないのだ。そう、タイに慣れた酒好き達は当たり前のように禁酒日をそうして乗り越えている。

何はともあれ飲食店にとって禁酒日はつらい。絶対に売上は落ちる。しかし、健全な雰囲気の店内が妙に新鮮だったりもする。不思議なものだ。

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中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」