11か月ぶりに解除!
タイの戒厳令

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バンコクの街はソンクランの飾りつけで華やかさを増しています

ひとつの言葉が持つ重みの違い。それを一番に感じたのが「戒厳令」という言葉だ。日本で戒厳令が発令されたのは、日比谷焼打ち事件、関東大震災、二・ニ六事件の3回のみ。歴史的な一大事の中に日本の戒厳令はある。だから戒厳令という言葉に対して日本人がもつイメージは、「非常事態」というものではないだろうか? しかし、ここタイの戒厳令はどうだろう? 確かに法的な強制力は強いが、それほどの脅威や非常事態性を戒厳令という言葉に感じているタイ人は少ないように思う。
4月1日、タイの現政権は昨年5月20日から続いていた戒厳令を約11か月ぶりに解除した。タイで戒厳令が解除になったということより、これまでタイが戒厳令下にあったという事実。それに驚いた人が多かったのではないだろうか。自分を含めて。
何はともあれ、タイは政治と経済の距離感が日本とは違う。政治は政治。経済は経済。そんな微妙なバランスがこの国はある。その事をこの国の国民は良く分かっている。
政治的な混乱によって観光面などに多少、経済的影響が出るが、景気が凄く落ち込むかというとそうでもない。逆に円安、バーツ高を追い風に日本へ旅行するタイ人は年々増えている。
先月、福岡県の観光関係者からタイでのJR九州レールパスの購入者が前年比の18倍だったと聞いた時は、1.8倍の間違いではないかと聞き返したぐらいだ。それぐらい、日本へ旅行するタイ人が増えているのである。入国査証の免除やジェットスターなどのLCCの就航も日本観光の裾野を広げてくれてはいるだろう。しかし、根底にあるのはタイの景気の良さである。決してタイの景気は悪くないのだ。
いよいよはじまるソンクラーン。この期間中に海外旅行へ出かけるタイの旅行者数の予想は40万人で、人気の渡航先トップは日本だと言う。
タイが風邪を引けば日本が咳をする。そんな時代が遅からず来るのかもしれない。

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中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」