意外や意外?仏教国タイに
根付く西洋の縁起担ぎ

13階がないビルの案内板

タイに在住して19年目。日本へ一時帰国した際に、ついついやってしまうことが2つある。一つはタクシーのドアを自分で開けたり、閉めたりすることだ。その度に運転手さんから怪訝そうな顔をされる。タイには自動ドアのタクシーは一台もない。自分で開けて、閉めるのが常識だ。逆に自動ドアになっている日本のタクシーの方が世界的に見ても特異だと思うのだが・・・・・・。

そして2つ目は電話に出る時、つい「ハロー」と言ってしまう事だ。実家に居る時、家の電話でも、ついそれをやってしまった。電話を掛けて来た妹からは「掛け間違ったかと思った」と思わず切られそうになった。

染みついた習慣というのは本当に恐ろしいものだ。

タイでは電話に出る時「ハロー」と言って出る。これは英語の「Hello」から来ている。でもなぜハローというようになったのかは定かではないようだ。この他にもタイ人が普段タイ語の感覚で使う英語はいくつかある。「シュア?」(Sure / 本当・本気)とか「ショー」(Show / 見せる)、「ティービー」(TV / テレビ)などなど。

またタイでは意図的に「13」という数字を使わないことが多い。典型的なのはビルと飛行機。タイ、特にバンコクの高層ビルやマンションには13階がない場合がほとんどだ。実際にはあるのだけれど欠番だったり、AAとか――の表示になっていたりする。そしてタイ国際航空とバンコクエアウェイズには13番という座席が存在しない。また空港の荷物受け取り台も13番は欠番になっている。

ビルの階数や飛行機の座席に13がないのは言うまでもなく、キリスト教徒の方が忌み嫌う番号だからだ。仏教国であり、仏教徒が9割を占めるタイで、そこまでこだわる必要があるのか。日本人である自分は不思議に思った。しかし、これこそがタイ人なりの「おもてなし」であり、気遣いなのだろう。

そういえば、タイ料理にも面白い料理がある。「カオ・パット・アメリカン」だ。日本語に訳すと「アメリカ風炒飯」になる。ケチャップライスに目玉焼きとフライドチキン、ソーセージがセットになった料理である。店によってはハムが添えられていたりもする。要はモーニングセットのトーストがケチャップ・ライスになっただけだが、タイ人は朝だけでなく昼でも夜でも食べる。日本人である私には、お子様ランチようにも見えた。でも食べて見ると案外うまいし、味のバランスも良い。

カオ・パット・アメリカン。この料理にはタイ人のアメリカはきっとこうなんだ!という思いがギュッと詰まっている気がする。

アメリカ風炒飯

これぞアメリカ風チャーハン「カオ・パット・アメリカン」。盛り付けもちょっとおしゃれに。

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」