チェンマイからバンコクまで飛行機で1時間。しかし、空港からバンコク市内の事務所まで昨日は、なんと2時間半も掛かった。空港を出たのが午後6時半。事務所に着いたのは午後9時。空路の移動時間より、陸路の移動時間の方が長いとは・・・・・・。雨季のバンコクの渋滞は半端ないのだ。ひと月に2回はチェンマイへ出張しているが、一番疲れるのが空港から事務所への移動のような気がする。慢性的な渋滞。タクシーの運転手さんのストレスが少しは理解できるようになった。
しかし、チェンマイ出張の時の楽しみもある。それは、やはりチェンマイならではの料理。ところ変われば、もの変わる。チェンマイにもおいしものがたくさんある。なかでも、一番有名で人気があるのが、カオソイと呼ばれる麺料理だ。カオソイとは、直訳するとカオ(米)、ソイ(細く刻む)で米を細かく刻んだものという意味になる。でも、実は全く米は入っていない。小麦粉で作った平べったい中華麺がカレー風味のスープに入っていて、その上には揚げた麺がのっている。華南菜の漬物や玉ねぎ、マナオ汁などの薬味を好みで加えて食べる。茹でた麺と揚げた麺を一緒に味わう、独特の食感が癖になる麺料理だ。ココナッツミルクの甘みがカレーのスパイシーさをやわらげ、日本人にも好まれる麺料理ではないだろうか。
ちなみにカオソイの語源は、この料理を最初に作ったタイ北部の少数民族であるシャン族が、すべての麺料理をカオソイと呼んでいることに由来しているのだとか。
以前、タイ人のスタッフと日本を旅行した際に、焼きそばは、そばと呼ぶのになんで中華麺が入っているのかと聞かれたことがある。彼はてっきり蕎麦が入っているものと思っていたらしい。日本では麺のことを「そば」と表現することがある。日本人には当たり前の焼きそばや中華そばという言葉も外国人にとっては紛らわしい表現なのかもしれない。
それと同じようにカオソイもタイ語を理解する外国人にしてみればヘンテコな名前である。しかし、タイ人にはごく普通の北タイの名物麺料理なのだ。
このカオソイ、バンコクでも食べることができる。でもやっぱり本場のタイ北部で食べるのがお薦めだ。札幌味噌ラーメンが札幌で食べるとおいしいのと同様、名物は本場で味わうのが一番。北タイで食べるカオソイは本当に個性的な味わいで、旅の良い思い出になること間違いなしだと思う。
中村蒸一 Profile
タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」