すべては愛のために
タイのバレンタイン狂騒曲

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2月は28日しかない。うるう年だと29日。あっという間に過ぎてしまう月だ。しかし、タイではこの2月を待ちわびている人がいる。2月と言えばバレンタインデー。タイのバレンタインデーは日本のバレンタインデーとはかなり事情が違う。

タイでバレンタインデーというと一番に話題なるのが役所での入籍である。タイでは縁起を担いでバレンタインデーの日に入籍する人が多い。なかでもバンコク都内にある「バーン・ラック」という区役所はバレンタインデーの前後になると数多くのカップルが入籍するために訪れる。なぜなら「バーン・ラック」とは日本語に訳すと「愛の家」という意味だからだ。入籍する日だけでなく、入籍する場所にもこだわるタイ人。このロマンスと愛に対する思い、執念は流石だと思う。

そしてバレンタインデーといえばプレゼントである。果たして日本は今でもそうなのだろうか? 自分の記憶の中にある日本のバレンタインデーは女性が思いを寄せている男性にチョコレートを贈る日である。

しかし、ここタイのバレンタインデーは全く日本のバレンタイとは違う。まず男性が女性に贈るのが普通であり、マナーなのだ。そして贈るものとして一番メジャーなのがバラの花である。だからバレンタインデーのシーズンになるとバラの花の市場価格は2倍、3倍へと跳ね上がる。日本で母の日の前になるとカーネーションの価格が上がるとの同じ現象だ。だからか。最近はバラの造花やバラを模したお菓子、そしてぬいぐるみなどを贈るという人も多い。

2月に入るとスーパーやコンビニにはバレンタインデー用の特別コーナーが設けられるのは日本と一緒。だが並んでいるものは日本とはかなり違う。これもまたお国柄というやつだろうか。

考えてみると、タイでバレンタイデーというと「愛を告白する日」というよりは「愛を確認し合う日」という意味合いの方が強い気がする。だからバレンタインの日に入籍という発想になるのだろう。

そしてタイでは日本と違ってバレンタイデーに「義理」はない。あるとしたら男として「義務」である。そう、今年もちゃんと嫁さんに真っ赤なバラの花を贈るつもりだ。

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」