外務省 海外安全ホームページ(タイ): http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=7#ad-image-0
在タイ日本国大使館ホームページ: http://www.th.emb-japan.go.jp/index.htm
タイ人の誰もが予測していた結果だったのではないだろうか。5月7日、とうとうその日が来たのである。
タイの憲法裁判所はインラック首相を含む閣僚9名を失職とする判決を下した。この判決で2年9か月に渡ったインラック政権は崩壊することになった。
離任の記者会見で首相は「選挙で選ばれた首相として、在任中の2年9か月と2日、誇りを持って職務に取り組んだ」「今後も常に国民の皆さんと共にいる」などと述べている。政権に対する未練や反政府派に対する怒りは全く感じられず、逆に潔さだけが印象に残った記者会見だった。これも、こうなる結果を予測していたからなのだろう。
今回の憲法違反の判決は政権の人事における職権濫用を問うものだった。タクシン元首相派である与党『プア・タイ』は判決が出た日に次の様な声明を出している。
「憲法裁判所の判決は違憲であり、民主政体の破壊を目指す『新たな形のクーデター』の一環である」
タイの憲法裁判所はタクシン派と反タクシン派の抗争が本格化した2006年以降、一貫してタクシン派に不利な判決を下し続けている。今回もその流れは変わる事がなかった。
現在は暫定政権がおかれているタイ政府だが、今後はどんな展開になるか見通しは立っていない。
そして一時勢力を弱めていた反政府派のデモは5月7日以降、以前のような勢いを取り戻しつつある。デモ隊の拠点がこれまでのルンピニ公園から主要テレビ局、タイ首相府近くへと移った。そして<セントラル・ワールド>の前には特設のステージまで設けられている。
今のところバンコク都内に目立った混乱は見うけられない。街中の商店や企業は通常通り営業している。しかし、一部で爆弾の爆破騒ぎが起きている。不穏な動きが全くないわけではない。バンコクの雰囲気が悪い方向へ向きつつあるのは事実だ。
今後タイの政治はどうなるのか。タイに住む日本人の多くは不安より疲れを感じている気がする。
◆写真はwww.thaigov.go.thより転載。
中村蒸一 Profile
タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。
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