ソンクランを控えた週末。急遽、チェンマイへ飛ぶことになった。どうしても現地入りしなければならない仕事が重なったのだ。
その日、チェンマイの空港へ着いたのは午後8時過ぎだった。空港を出てタクシー乗り場まで移動するだけで額に汗が流れる。暑い。日が暮れているのに、日中の様な暑さだ。一年で一番暑い時期とはいえ、バンコク以上の熱気に思わず足がすくむ。
そして、暑さ以上にびっくりしたのが空気の悪さだ。もしかしたら、この異様な暑さもヘイズと関係あるのだろうか。「ヘイズ」とは、英語で乾いた微粒子の浮遊により視界が悪くなる「煙霧」を意味する。タイの北部ではこの時期、焼畑によるヘイズが毎年のように起きて問題なる。交通渋滞の激しい大都会バンコクの空気より、田舎であるチェンマイの空気が悪いとは皮肉な話だが事実だ。
そして、空気が悪いとは言え、チェンマイの人は夜になると、お決まりの様に野外でビールを飲む。観光客の西洋人たちも同じように野外が好きなようだ。
定宿のゲストハウスの前は駐車場なのだが、ソンクランが近いからかビアガーデンになっている。仕事が終わり部屋に荷物を下ろすと、すぐにビアガーデンへ向かった。熱帯夜、野外で飲むビールはやはり格別だ。氷を入れて飲む生ビール。最初はかなり抵抗があったが、今では氷なしだと逆に物足りない。慣れとは本当に恐ろしいものだ。
そして、そこのビアガーデンには料理を売るフード・トラックが5台ほど集まっている。どれもこれもおしゃれな感じだ。タイのいわゆる屋台とは違う。売っている料理もピザやハンバーガーなどといった洋風のものが多い。そう、ここ数年フード・トラックという販売形態がタイでは人気を呼んでいる。初期投資が安く、通常の店舗と違って家賃も掛らない。そして2人から3人で運営するので身軽だ。だから経営者は若いタイ人の起業家が多い気がする。固定の店舗をもつ前に市場調査を兼ねてフード・トラックに挑戦する人も少なくない。起業家精神が旺盛なタイ人にとって、フード・トラックは新しいビジネスモデルでもあるのだろう。
屋台よりちょっとおしゃれで、お値段は普通のお店より安い。メニュー数は少ないが、その分、店主こだわりの味を気軽に味わうことができる。もし、街角でフード・トラックを見かけたらぜひトライして欲しい。
中村蒸一 Profile
タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」