日本は梅雨が明け、いよいよ本格的な夏の到来だろうか?
日本の夏の暑さはタイの熱帯の暑さよりも過酷な気がする。そう思うのは日本を離れ17年もタイに住んでしまったからだろうか。そんな私でも、子供の頃は日本の夏が待ち遠しかった。一年で一番長い休み、夏休みが来るからだ。そして夏休みというと林間学校と花火大会である。
なかでも林間学校は夏休みの一大イベントだった。海水浴の後に食べるのは決まって「カレーライス」。飯盒で炊いたご飯は焦げくさく、焚火の香りがした。しかし、そんなご飯にカレーはよく合うのだ。逆に考えると、飯盒で炊いたご飯をおいしく食べるのは、カレーが一番なのかもしれない。私にとって夏の思い出の味といえばスイカよりも林間学校のカレーライスなのである。
さて、そんなカレーライスがここタイで、じんわりと根付いてきている。流行りだとかブームといった感じではない。気がつけば冷凍食品コーナーに色々な種類のカレーライスが並んでいるのだ。しかも流行り廃りの多いタイで5年以上も売れ続けるロングセラーのカレーもある。
またスーパーの総菜コーナーでもごく普通にカレーライスやカツカレーが並べられていて逆にびっくりすることがある。あまりにも普通に売られているので見逃してしまうぐらいだ。きっと買って食べているタイ人もカレーライスが日本食だと意識していないだろう。日本人がスパゲティーをイタリアンと思わずに食べているのに近い感じだと思う。
コンビニ大手の『セブンイレブン』では色々なカレーライスがプロモーションメニューとして登場する。そして売れ行きが良かったメニューはレギュラーメニューとなる。『セブンイレブン』のカツカレーは価格も55バーツとお手頃で近所の子供たちの間では人気商品だ。これは食事というより軽食、おやつに丁度いい量だからかもしれない。その辺のマーケット調査力はさすが『セブンイレブン』である。
ちなみに日本人として一番お薦めなのがCPのポークカレーである。1食だいたい85バーツ前後で売られている。安くもなく高くもない絶妙の価格帯だ。冷凍食品なのでレトルトとは違った本格的なポークカレーが味わえる。ご飯がちゃんと日本米なのが日本人として何より嬉しい。
こうしてタイにじわり、じわりと根付く日本のカレー。機会があればぜひタイでお試しあれ。
中村蒸一 Profile
タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」