壁に掛ったカレンダーも残りは1枚。いよいよ今年最後の月がはじまった。終わりよければ全てよし。12月ぐらいはやり残しのないよう精一杯頑張ろうと毎年のように思う。しかし、12月はあっという間に過ぎる。気がつけば大晦日がやって来て、来年こそはと心を入れ替える自分がいる。果たして今年の12月はどうなるのだろうか?
日本ではまさかの解散総選挙が12月に行われる。ただでさえ忙しい師走に選挙をしなくてもと国外に住んでいても思う。しかし、安倍政権にしてみたら師走の忙しい時にやるからこそ地の利があると判断したのだろう。低投票率と論点のない選挙であっても、それは国民の審判となる。消費税増税とアベノミクスの評価を乞うにはちょっと荒っぽいやり方ではないかと個人的には思うのだが。
一方ここタイの政治環境はどうだろうか? 先月バンコク大学が行った世論調査ではプラユット軍事政権について「大変満足」「満足」と答えた人が57.3%と過半数を超えている。日経新聞が行った同時期の安倍政権の支持率は48%であることを考えるとタイの軍事政権の方が安定していると言えるかもしれない。
しかし思い起こせば2014年のタイは凄まじかった。去年の年末からはじまった反政府デモ隊による交差点の封鎖は年が明けても続いた。大きな動きがあったのはソンクランが明け5月に入った頃のことである。5月20日にタイ全土に戒厳令が出された。その3日後にクーデターが起きたのだ。当然ながらタイの政権が変わった。テレビが一日中静止画像の日が数日続いた。夜間外出禁止令も出された。一体これからタイはどうなるのだろうとタイに住む日本人として不安になった。
しかし、夜間外出禁止令が解除されると庶民の生活は普段通りにもどり、経済活動もクーデターが起きる前と全く変わらなかった。雨降って地固まるである。立憲革命以来19回目のクーデターがタイに起きたのである。タイの政治にはクーデターが不可欠であり、タイの人はクーデターに慣れている。不謹慎かもしれないがそう思った。
いよいよ2014年が終わろうとしている。2015年のカレンダーを手にしながら、来年はどうなるのだろうと思う。不思議と不安よりも期待の方が勝る。クーデターも軍事政権も決して悪いことばかりではない。2014年という1年を通して自分が学んだことだ。
中村蒸一 Profile
タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」