月別アーカイブ: 2016年11月

トリリンガルも夢ではない?
タイの充実した子育て環境

発表会もありました

タイの幼稚園で行われた発表会の一コマ

今年も残すところ1カ月。月並みだが、1年、また1年と歳月の流れる速さに唖然としてしまう。タイには日本のような四季がない。だから尚更そう感じるのかもしれない。そして、この時期になると気になるのが日本の新語、流行語大賞だ。今年一年、日本では何が起きて、何が問題になったのか。それを浮き彫りにしてくれているのが、新語や流行語だったりする。今年も30の言葉が流行語にノミネートされていた。その中で一番衝撃を受けた言葉が、「保育園落ちた日本死ね」という言葉だった。子供を育てながら働かざるを得ない母親の切実な悩み。そして、未だに具体的な子育て支援の対策を打ち出せていない政府や自治体の現状。決して心地良い言葉ではないが、日本の今がこの言葉には凝縮されている。ここタイではありえない言葉だ。

タイにも保育所や幼稚園にあたる公営の施設がある。市町村や区の運営のものや、お寺などの宗教団体、また病院が運営するものなど形態は様々だ。その他にも、民間の幼稚園や外国人向けのインターナショナル校もある。どの施設に通わすかは、両親の判断次第になる。中には幼稚園に通わせず自宅でヘルパーさんを雇い子育てする人もいる。

我が家の息子は私の判断で、日本語教室のある私立のインターナショナル幼稚園に通わせている。ここにはタイ語教室、英語教室、日本語教室の3つの教室があり500人ほどの園児が通っている。ここの幼稚園に決めた理由は日本人の先生たちが非常に熱心なのと環境が良いこと。そして自宅から近く送り迎えがしやすかったからだ。一年の半分が雨季で渋滞が激しいバンコクでは、この送り迎えがしやすいと言うのが非常に重要だったりする。月謝はタイのローカールの園に比べると倍以上だが、日本の普通の保育所並の負担で済むのはタイならではである。

我が家の場合は、母親がタイ人なので2歳半から日本語環境に慣らすために、ここの幼稚園の日本語教室に通わせた。しかし、なかには両親とも日本人なのに、同じ園の英語教室通わせている人もいる。駐在としてバンコクに滞在する人たちだ。いずれ日本に帰れば日本語はいくらでも勉強できる。せっかく海外にいるのだから「幼児期から英語教育を」というのが彼らの考えなのだ。これもありだなと思う。

何はともあれ、ここタイの子育て環境は恵まれていると思う。タイ人であれ、外国人であれ、幼児教育で困ることはない。ありがたいことだと思う。

一方、日本で暮らす外国人の子供たちの場合はどうなのだろう? 余計なお世話かもしれないが、ちょっと心配に思う。「保育所落ちた日本死ね」の言葉が頭をよぎる。

5月には鯉のぼりも

5月になると幼稚園でも鯉のぼりがはためきます

中村蒸一 Profile

ph7

タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」

航空会社の個性が光る
機内食の愉しみ

崎陽軒のしゅうまい弁当

日本へ出張する時のちょっとした楽しみ。それは移動中の空港で買う駅弁だ。人によっては空港で買う弁当を「空弁」と呼ぶ人もいる。確かに空港でしか買えない弁当は空弁でもいい。でも、私のこだわりは鉄道駅でも売られている名物の駅弁を空港で買うことなのだ。一番のお気に入りは『崎陽軒』の「シュウマイ弁当」。横浜駅の名物弁当を羽田空港で見つけた時は不思議なぐらい嬉しかった。しかも値段は駅で買うのと同じ830円である。列車の中で食べる弁当を飛行機の中で食べる。確かに風情は列車より劣る。だが、限られた日本での移動時間に懐かしい名物弁当を味わえるのは、何ともいえない贅沢な時間なのだ。

ここタイには駅弁も空弁もない。だから飛行機や長距離バスでは機内食や車内食が出されることが多い。日本の国内線飛行機ではドリンクのサービスしかない。しかし、ここタイでは国内線であっても機内食ないしは「おやつ」が出てくる。LCCと呼ばれる格安航空会社は有料だが、タイ国際航空やバンコク・エアウェイズは無料だ。その辺で、LCCとの差別化を図っているような気もする。なかでも、バンコク・エアウェイズの機内食は自らを「アジアのブティック・エアライン」と呼ぶだけあって、気合が入ったものが多い。バンコクとチェンマイ間はたった50分ほどのフライトだが、ちゃんとホットミールが出てくる。量は少なめだが、やはり温かい料理というのはお腹だけでなく心まで満たされる気がする。しかも、フライトの時間帯によって料理が変わっていたりする。イサーン風干し肉ともち米の機内食が出てきたときは、タイらしさが全開で、タイ料理が好きな人には堪らないだろうなと思った。

一方、タイ国際航空はサンドウィッチやパンケーキなどの軽食系が多い。機内食と言うよりは「おやつ」である。バンコク・エアウェイズと違い大型機材での運航が多いタイ国際航空の場合、短時間でホットミールを出すというのは無理があるのだろう。しかし、先月、「キンジェー」と呼ばれる菜食週間に、バンコクからチェンマイへ飛んだ時のタイ国際航空の機内食はちょっとビックリした。なんとベジタリアン仕様の稲荷寿司と豆乳が機内食として出てきたのだ。しかも、なかなかの味である。時に、こんな感じで期間限定バージョンの機内食に出会えるのも飛行機に乗る時の楽しみだったりする。

さて、次はどんな変わった機内食が登場するのだろう? チェンマイ出張の時の楽しみは、やっぱり機内食かもしれない。

PGの機内食 イサーン料理

バンコク・エアウェイズのイサーン風機内食

稲荷寿司の機内食

タイ国際航空は稲荷寿司と豆乳には蒸一さんもビックリ

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」

タイでは大人も子供も魅了
冷たいスイーツを賞味あれ

流しのアイス屋さん

道行く人に声を掛ける、流しのアイスクリーム屋台のおじさん

 

ゴールデンウイークと言えば、年に一度の大連休。小学生の頃はこのゴールデンウイークが待ち遠しかった。学校が休みになるのは、もちろんだが、それ以外にも、ある楽しみがあった。それは近所の駄菓子屋さんで、アイスクリームが買えるようになることだった。故郷である鹿児島ではゴールデンウイークになると再稼働する。初夏のちょっと汗ばむ陽気の中、家族で食べるアイスクリームは子供ながらに至福のおいしさだった記憶がある。今では年中いつでもアイスクリームが買えるが、昔は完全なる季節商品で1本50円が相場だった。

ここタイでもアイスクリームは一年を通して買うことができる。しかも、お店まで行かなくても流しのアイスクリーム売りが路地の中まで売りに来る。『ネスレ』などメーカーのアイスを軽快な音楽を流しながらバイクで売りに来ると、どこからともなく人が集まって来る。

また、昔ながらの手作りのアイスを手押し車で売りに来るアイス屋も健在だ。こちらは1杯10バーツと価格が安いことに加え、もう一つの売りがある。それは”アイスサンド”を注文できることだ。アイスサンドとは名刺サイズのコッペパンにアイスクリームを挟んで食べる東南アジア流のアイスの食べ方だ。タイだけでなく、シンガポールやマレーシアでも見かけたことがある。

最初はパンにアイスクリーム?とビックリしたが、食べてみると絶妙な食感がたまらない。ぼそぼそとしたパンにアイスクリームのしっとりした甘さが口の中でゆっくりと融合していく。子供だけでなく大人も大好きなタイを代表するスイーツの一つかもしれない。

さて、今年に入ってタイのアイスクリーム市場に大きな動きがあった。一つは日本で大人気のアイスバー『ガリガリ君』の現地生産がはじまったことだ。価格は1本20バーツ。現地の相場より若干高いが日本ならではの柚子やピーチといったフレーバーがタイ人の子供たちにも受けている。

そして、万を期してと言う感じで登場したのが『グリコ』のアイスクリーム。こちらも現地生産で、日本でも有名な『パリッテ』は1個40バーツと普通のアイスクリームの倍の価格である。いわゆるプレミアムアイスだが、販売開始当初は売切れが続出。しばらくは1人3個までと販売制限が掛けられていたほどだ。

これまでは『ネスレ』『ウォール』『マグノリア』と欧米系のアイスが主流だったタイ。そこに日系2社が新たに参入してくれたのは日本人としては嬉しいし、期待するところだ。でも、その一方で、昔ながらのアイス売りが消えなきゃ良いなとも思う。アイスサンドはタイにはなくてはならないスイーツなのだ。

 

アイスサンドは記念切手の絵柄にも

アイスサンドは記念切手の絵柄にも採用されるほどの人気ぶり

 

ガリガリ君

日本が誇る『ガリガリ君』がタイを席巻する日が

 

中村蒸一 Profile

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タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」