日本人が発明して世界に広めたもの。きっと色々あるはずだが、個人的に、まず思い浮かぶのは”即席麺”と”カラオケ”である。即席麺は、日清食品の創業者である安藤百福氏が発明し、世界に広めた食品なのは有名な話である。
カラオケに関しては諸説あるようだが、その言葉通り日本発祥の娯楽文化であることは間違いない。ここタイでも日本語の読み通り「カラオケ」と呼ばれタイ人も大好きな娯楽のひとつである。
18年前、タイの東北地方に赴いた時、昼間から酒を飲み自宅の軒先でカラオケに興じる現地の人々を見て何とも言えない親近感を覚えたのを今でも覚えている。
そして即席麺にかんしても、どんな田舎に行ってもタイでは売られていて、その浸透ぶりにびっくりした。特に東北部と言われるイサーンでは朝ごはんと間食は玉子を入れた即席麺という人が多い。食文化の豊かなタイで、どうしてこれほどまでに即席麺が食べられているのか? それはやはり貧困と結びついている気がする。1袋6バーツ。日本円で18円。屋台でバーミーと呼ばれるラーメンを食べると最低でも30バーツはする。即席麺はその5分の1の価格だ。タイでは物価の優等生、特に金銭に余裕のない人の”救済食”なのである。
但しタイの袋入り即席麺の麺の量は1袋60g。日本の一般的な即席麺が100gなのに比べ約半分のボリュームしかない。容量を小さくして価格を下げる。これもタイならではのマーケティングの一つなのだと思う。
そしてカップ麺も最近は人気だ。袋入りの即席麺に比べお湯を注ぐだけで食べられる手軽さ。日本と同じくコンビニでは、無料でお湯を注ぐことができる。日本のカップ麺と違うのは、カップの中に必ずフォークが入っていることだ。カップ麺はフォークで食べる。これがタイの常識。タイのコンビニでは箸を無料で配る習慣はないからだ。
そして、出来上がりまでの待ち時間も商品によって違う。タイ人はせっかちなのか? もしくは容量が少ないからなのか? 2分で出来上がる商品もあれば、1分というものもある。もちろん日本と同様3分なものも多い。日本のカップ麺は「3分で出来上がる」という常識はタイでは通用しないのだ。しっかり確認しないと、伸び伸びの麺を食べることになる。
たかが即席麺、カップ麺。でも、そんなところにも、ちゃんとタイらしさが見え隠れしている。
中村蒸一 Profile
タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」