日本へ戻るとやっぱりホッとする。時間通りに来るバス。整備された歩道。何を買おうか目移りするコンビニの総菜コーナー。手入れの行きとどいた公園。そしてホテルでも家庭でも蛇口の水をそのまま飲む事ができる。タイではありえない事が、日本では当たり前だったりする。日本を訪れているタイ人の旅行者たちも、きっと彼らなりの「凄い」を日本で見つけているのだろう。
しかし、そんな日本だがタイに負けている面も実はある気がする。日本には消費税があるが、タイには消費税はない。「えっ!」と思われるかもしれない。しかし、これは事実である。飲食店などで加算される7%の税金のことを消費税だと勘違いして、タイにも消費税があると思っている日本人は多い。しかし、あの7%の税金は消費税ではなく付加価値税なのである。英語でValue Added Tax (VAT)と呼ばれるものだ。
タイの付加価値税は文字通り付加価値のあるものに対して基本掛けられる税金である。従って、野菜や精肉、果物、お米など加工されていないものには税金は掛らない。
またタイの場合、新聞や書籍など学術的出版物なども課税の対象外となっている。
付加価値税は消費税と違って国民の生活に欠かせない食料の部分が非課税になるので庶民に優しい税制だと思う。
日本では消費税の引き上げによる救済処置としてマイナンバーを使った税金還付が議論されている。しかし、これは誰が考えてもナンセンスな処置で、現場が混乱するのは目に見ている。しかも還付金額には上限があるのだという。日本もタイの付加価値税の様に食料品など免税品目を設ける方が良いのではなか? タイの税制の方が日本より遥かに優れている気がしてならない。
あとマイナンバーだが、タイではもう何十年も前から普通に使われている。タイ人は16歳になるとバット・パシャション(国民証明証)の交付を受ける。これには国民番号が記載されており、この番号を一生使う事になるのだ。つまりマイナンバーである。この番号は銀行で口座を開設したり、会社に就職したり、結婚したりとあらゆる場で必要になってくる。たとえ海外に居てもパスポートにはID番号が併記され、マイナンバーから離れることはできない。
何かと規則が緩そうなタイだが、実は日本より進んでいる点も結構あるのだ。
中村蒸一 Profile
タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」