「今や怖いのは同業者よりもコンビニの新しい動きだよ」。日本で飲食店を経営する友人がため息交じりに呟いた。確か2年ほど前の事だったと思う。なぜコンビニが飲食店の脅威になるのか? そんなに日本のコンビニは凄いのか? タイに住んでいるとイマイチ実感が湧かない。しかし、日本に行く度に意識して日本のコンビニを見てみると「確かに!」と思うようになった。
作りたて、出来たてのお惣菜。お刺身や寿司、サラダ、煮物。冬はおでん。夏は冷し中華と季節ごとのメニューも充実している。そしてビールは当然のこと缶チュウハイから日本酒、ワインまでお酒類も豊富に揃いお値段は原価だ。クレジットカードも使え、ポイントカードにポイントも貯まる。
これでは飲食店がコンビニを脅威に感じるのは当然だろう。最近は淹れたて珈琲やドーナツなどのスィーツもコンビニでという人が増えているようだ。今や飲食店だけでなくファーストフードや喫茶店もコンビニの動向にヒヤヒヤしているのではないだろうか?
さてここタイのコンビニはどうだろう。これといって飲食店の脅威なりそうな動きはない気がする。しかし、気になるのは日本の商品がどんどん増えていることだ。
例えばバンコク都内のセブンイレブン買える日本のものを挙げるとこんな感じだ。
おにぎり、焼き餃子、冷凍枝豆、カラムーチョ、明治ブルガリアヨーグルト、伊藤園のお~いお茶、焼き豚丼などなど。凄いのはこれら全てがタイで生産されている商品だということだ。だから当然ローカルプライスである。逆にそうでなければコンビニでは売れないだろう。日本では160円ほどする伊藤園の「おーいお茶」はタイでは20バーツである。日本円換算では約70円になる。しかし、タイの物価水準で考えると200円ぐらいの感覚だ。普通のコカ・コーラが13バーツで130円ぐらいであるのを考えると、ちょっとした贅沢な飲み物には違いない。そのプレミア感を生みだしているのは日本のブランドと外装の日本語じゃないだろうか?
どんどん進化というか、日本化が進むタイのコンビニ。今度はどんな日本の商品が棚に並ぶのか? 現地に住む日本人としてはタイのコンビニのこれからがちょっと楽しみだったりする。
中村蒸一 Profile
タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。 詳しくはこちらをクリック! インタビュー「熱い思いで本物の日本居酒屋をタイに根付かせる!」