道端のモノ売り。路地のバイクタクシーの運転手。屋台のジュース屋さん。軒先の縫製職人や靴職人。流しの宝くじ売り。タイには日本で見かけない職業の人が沢山いる。
一見、彼らは呑気でのんびり、自由気ままに働いているように見える。でも実際は家族や田舎の両親の生活を支える為に一生懸命なのだ。しかし、だからといって悲壮感はない。その仕事が好きで、その仕事を楽しんでいる人が多い気がする。個人事業主だから休みたい時には休む。また何時から仕事をはじめて、何時に終わるかも自分で決められる。その辺の緩さがタイ人の気質に合っているのだろう。だからか? サラリーマンよりも個人事業主として何か仕事を見つけたいというタイ人は多い。お金に対する憧れよりも自由に対する憧れかもしれない。
大学を卒業しても就職せず、タクシーの運転手をしている若者も最近は多いらしい。タイのタクシーは個人タクシーがほとんどだ。タクシー用の車を買えない人は、タクシー会社からタクシー用の車を1日400バーツほどで借りて運転する。売上からレンタル代の400バーツとガソリン代を差し引いた金額が自分の取り分になる。週に何日働かなくてはいけないという決まりはない。2種免許とタクシー用の車を借りるお金、そして土地勘があればタクシードライバーになれる。なかには会社勤めをしながら、週末の休みだけタクシーの運転手という人もいる。これがタイのタクシー運転手という職業の実態なのだ。
さて、タイでは軍が政権を把握して5か月が過ぎようとしている。政治的な混乱は収まった。観光客も戻ってきて、街に活気を感じるようにもなった。でも景気回復の実感はイマイチといったところか?
10月の末にはハロウィーンがやってくる。息子が通う幼稚園ではハロウィーンの日、仮装して登校させてくださいと連絡があった。ここ数年、タイではハロウィーンを楽しむ人が確実に増えて来ている。仏教国のタイで祝うハロウィーンは何かチグハグな感じがする。でもタイ人はお化けやイベント事が大好きなのだ。皆が楽しめれば良いじゃない。そんな自由さもタイ人ならではの個人主義なんだろうか?
中村蒸一 Profile
タイで日本居酒屋<寅次郎><どんたく 九州酒場>を展開する、なえぎ(タイランド)株式会社代表。
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